表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/64

 イスクゥーは義憤に駆られていた。

 いくら罪人とはいえ、闘技場において人間を玩具のように持て遊び、無慈悲に殺戮する女王など生かしてはおけぬ。

 白昼堂々空を飛び、ローヌ王城に近づいていく。

 イスクゥーは他に比のない魔術の才覚を持っていた。

 一般の魔術師はその手から魔術を放つ。だが、イスクゥーは両肩からも超強力な原子分解消滅魔法を発射することが可能だ。

 しかも発射の初速は他の魔術師の二倍だ。

 思念で動くマジックミサイルを全身から発射することも可能だ。

 さらにマジックバリアーを展開し、進行方向に波形を変えた魔力バリアを両肩化の先端から放射することで大気の干渉を減散させ、飛行魔法なしに大気圏内を高速で飛行できるようになる。この状態でのイスクゥーは、空中で肉体全体が発光するような姿となる。

 マッハ2を超える速度での航行がしながら、地上を空爆することも可能なのだ。


「女王の過ちは、このイスクゥーが粛清する!!」


 イスクゥーがローヌ城に突っ込んだその瞬間。彼は全身の汗腺に針を突き刺さされるような感覚をかんじ、そして地面に叩き落された。


「あら、お客様ですか?エリナ女王様をお呼びしますね」


 若い娘の声がした。歩み去る音。しばしして、別の女が近づき、声をかけてきた。


「歓迎するわ。預言者気取りの不正なる王座の簒奪者。そしてさようなら」


 捕えれたイスクゥーは闘技場で八万人の民衆が見守る中、銃殺された。

 引き金を引いたのは元31白馬騎士団団長で今はレストランのコックをしている彼の実の父親であった。


「で、今日は処刑の見学を見せられたわけだけど、これ。なんか意味あんの?」


 貴賓席に座るジャスィーナ修道院長は隣いるエリナ女王に尋ねた。


「貴女魔王の部下だそうね」


「元。をつけてほしいわね。今は関係ないし」


「ローヌ城には面白い仕掛けが幾つもしてありますのよ。そのひとつが戦略魔術に反応する結界」


「なにそれ?」


「城内で大きな破壊魔法を行使しようとすると、その瞬間に術者の魔力神経をズタズタに引き裂くんですのよ。あそこの偽預言者のようにね。もちろん外側から強力な破壊魔法をぶつけても無駄。無効化されますわ」


「なんでそんな事をアタシに教えるのかしら?」


「強力な武器というのは飾って楽しい美術品ではない。という事かしら」


 女王は鉄の扇ではなく、一冊の本を持っていた。

 タイトルは『盟主論』である。


_________________________________


 城の本来の意味は、外敵の侵入を防ぐ防御施設を兼ねた居住、軍事施設である。

 の、はずなのだが、ライトノベル世界ではどうもそうではないらしい。

 スレイヤーズの時代から、王城を魔法で丸ごと吹き飛ばす、或は壁や天井をぶち抜いて玉座の間まで一直線。というのが度々ある。

 そんなの俺TUEEEEラノベだけだろ。と思いきや、ロードス島戦記のラスボスの灰色魔女が初登場時に何やったかと言えば「隕石落としの魔法でお城を壊す」である。ラノベ創世記の時点でお城と言うのは安全な場所とはほど遠い。

 史実に目を向けても、もぬけの空のオルレアン城に察そうと駆けつけた農家の娘(後のジャンヌ・ダルクである)がフランス全土を救う英雄になったかと思えば大阪冬の陣において徳川軍の大砲の音に驚いた淀君があっさりと和睦に応じ、これが豊臣家の滅亡に繋がった。

 どうやら城主の能力イコール城の性能というのは間違いないらしい。

 俺TUEEEEキャラが暴れ回っている世界ならば、入り口入ってすぐもしくは直進した場所に謁見の間、或いは玉座の間があるドラクエのお城のような構造が理想的である。

 この構造ならば城主の命を狙う不届き者が現れた場合の犠牲者が最小限で済む。それは城主の可能性もあるし、自分こそが世界最強だと勘違いしている自称勇者様或は魔王かもしれない。いづれにせよ無為やたらに剣を振り回したり無駄に魔法で吹き飛ばされて被害に遇う使用人の数は減る。

 さて、それでは一般的な城の構造の説明に移る。

 城の周囲には水の張った堀が用意されている。兵士が大勢で攻撃しようとしても、彼らの着ている鎧は金属製だ。

 水の中に沈んでしまうので、お城に辿り着く前に溺れ死んでしまうと言う訳だ。

 仮に城攻めをしようという敵兵がいるならば、堀を埋めるか、正面から攻撃するしかない。

 正面には橋と門がある。さらに城をぐるりと囲む石造りの城壁にはカタパルトや大砲などの大型兵器が設置されていることが多い。

 人間の軍隊のみならず、ドラゴンや巨人にだって攻撃を加えることができるだろう。

 軍事的な色彩の強い城、国境沿いだの戦争中だの場合は城内で食料となる野菜を育ているだろう。

 井戸は勿論、家畜小屋で牛や豚などを飼育しているので、長期間の籠城戦にも耐えうるだろう。

 勿論兵士達も日々の鍛錬や見張りを欠かさない。

 逆に内地の城、平和な時代が百年くらい続いて「魔王?そんなもん子供をベッドに送るときの昔話に決まってるじゃないかww」というような世の中ならば美しい草花で彩られた庭園が内部にあり、武器庫の代わりに領土の各地から送られる財を納める宝物庫があり、宮廷音楽家や宮廷画家などか城内に多数いる。

 会議室があっても大臣たちが内政についてまともに議論することは少なく、絵画が飾られ、鮮やかな絨毯が敷かれた大広間で毎晩のように宴が行われるだろう。

 そんな国が戦乱とは無縁の国が突如戦乱に巻き込まれたのならば、国境を護る砦から敵軍の奇襲を知らせる早馬が来るより早く王城に大軍が来ることは間違いないだろう。

 そのようなことになれば普段まともに武器の手入れもしていないような兵士達ではまともに相手の攻撃を受け止めることすらかなわないだろう。

 また、城があるからといって必ずしもそこに王、または女王が住んでいるとは限らない。貴族には身分制度があり、上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の五つに分かれている。

 このうちに伯爵より上の階級の貴族、もしくは騎士は王でなくても自分の城を持ってもよいということになっている。たとえば、マッシュルームという名前のその国最強の騎士がいたとしても、彼の爵位が男爵であれば彼は城を持つことはできない。

 逆にフェニックスという飛行魔法と遠距離魔法が特異な女性の騎士がいて、彼女の爵位が伯爵ならば彼女は自分の城を持っているという事になる。

 また公爵は基本王族の親戚筋に当る者にしか与えられない爵位である。王家の世継ぎをめぐる御家騒動があるとすれば、基本この公爵家が中心となるだろう。

 たとえば、領民を大切にする公爵がスレイマンという名前の養子を貰った直後に国を乗っ取る野心に燃えるその養子に戦場で流れ弾に見せかけて暗殺される。ということもあるかもしれない。あ、これ例え話ね。

 また男爵は領土なしでも任命できる、ある意味非常に便利な爵位である。戦場で功績を上げた者にとりあえず騎士に任じたりとか、国王が町娘を見初めて、

「ワシ、この娘気に入った。結婚したい」

「ダメです王様身分が違います」

「じゃあ父親を男爵にしよう。貴族の娘になるから無問題になるお」

 という風に使われるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ