第三話 触れるな危険、魔力の塊
第三話!
楽しんで!
「見つけたぞ、エルナ! ……ん? なんだ、その奇妙な浮いているものは」
追いついてきたのは、エリート意識の高いクラスメイトたちとボルツ先生だった。
私は慌てて、目の前でぷかぷかと浮いているロゴスを両手で隠そうとした。「あ、これ……これはその、流行りの……『自律浮遊するぬいぐるみ』です! 魔法の仕掛けで勝手に浮くだけの、中身のないおもちゃなんです!」
『おい小娘、我を綿が詰まった玩具と一緒にするな。……と言いたいが、今の私は魔法の知識を忘却しているからな。実際、浮くことしかできん』
「静かにしてロゴス!」
必死に誤魔化そうとする私を、一人の男子生徒が鼻で笑いながら突き飛ばした。
「ふん、魔力ゼロの癖に生意気な。そんなガラクタ、僕が没収して調べてやる。貸せ!」
彼が乱暴にロゴスを掴もうと、そのもこもこした体に手を伸ばした。 その瞬間。
『――いただくぞ。……鮮度はいまいちだがな』
ロゴスの瞳がギラリと光った。
男子の指先がロゴスに触れた……と思った次の瞬間、パァン! という空気が弾けるような音が響く。
「な、なんだ……魔力が、抜けて……ぎゃあああああああッ!?」
男子は、全身の魔力を一瞬で根こそぎ「奪われた」ショックで、弾き飛ばされるように後ろへ吹っ飛んだ。演習場の壁に激突し、そのまま白目を剥いて崩れ落ちる。
残された生徒たちが、呆然と立ち尽くす。
「な、なんだ今の……!? あいつの魔力反応が、一瞬で消えたぞ!?」
先生が慌てて魔力測定器をロゴスに向けるが、針が振り切れた(カンストした)瞬間に「バキンッ!」と音を立てて結晶が粉々に砕け散った。
「ば、馬鹿な……測定不能!? この小さな羊、触れた者の魔力をすべて喰らったというのか!?」
周囲がパニックに陥る中、ロゴスは私の頭の上に戻ってきて、満足げに口をモグモグさせていた。
『ふむ。魔法を覚えていない私にとって、これ(魔力奪取)は唯一の自衛手段でな。……安心しろ小娘、空っぽのお前からは奪うものがない。お前だけが我に触れられるのだ』
「安心できないよ! また目立っちゃったじゃない!!」
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