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翌日のコンサートを知らされても普段通りに過ごすのはいい事だと思います。コンサートには平常心が必要ですから。緊張感のある演奏は、聴いている側も緊張してしまうのです。
けれど前日に新メンバーを誘うのはどうかと思います。当日っていう事も以前にはあったそうですが、やはりいまだに理解に苦しんでいます。
その誘いを受けた私もどうかしているのですが、彼等との初ライヴは最高でした。
クラシックコンサート専用の会場で、ロックを演奏するなんて素敵です。そもそも私は、ジャンル別けが嫌いです。特にクラシックなんて呼び方も定義も大嫌いです。
音楽は、ただそれだけで楽しい事を再認識したライヴでした。観客は最初、キツネ状態でしたが、次第にノリノリになっていく姿を見るのは新鮮で楽しかったです。
音楽をジャンル別けするなんて、おバカなだけです。どんな形であれ、心の見える音楽は素晴らしい。それが負の感情だとしても、上辺だけよりは遥かにマシなのです。人間なんて、八割が負の感情で構成されているのですから。
ライヴが終わると、楽屋でまったりしていました。与えられた時間を一杯一杯まで演奏したんです。疲れてまったりしているんだと感じていました。
けれど現実は少し違っていました。
彼等はただ待っていたのです。何をと言われれば困りますが、それがいつもの事のようです。
会場で巻き起こっている歓声は、止みそうにありませんでした。
後で知ったのですが、クラシックファンではあり得ない行動の数々にスタッフ達が戸惑い、その対処に遅れが生じたようです。
もう一曲を求める声はクラシックではないものです。予定が終われば終りです。それ以上はいりません。曲順も曲目も決められていて、時間通りに事が進んでいきます。予定調和こそがクラシックの醍醐味なんです。
普段のクラシックファンが声を荒げる事もありません。終了のアナウンスがなされているのに尚更です。
ひょっとしてだけどさ、これって俺達待ちなんじゃない?
ドラムの音尾君がそう言い出すと、楽屋内が騒つきました。
マジでそうじゃんよ!
遊佐さんがそう叫びます。
そういえば今日は前座じゃなかったよね。
永井さんは冷静にそう言います。
それじゃあ行ってみるか?
何故だか他人事風に彼がそう言うと、全員が立ち上がり準備をしました。そして歩き出した彼の後をついて行きます。
私は当然最後尾でした。そして、一人緊張で震えていたのです。




