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何処で私の事を知ったのか? 彼はそこにやって来たのです。
参加自由だからなのか、殆どが演者です。純粋な観客は殆どいません。身内が数名いる程度です。だから彼のような観客は珍しいとも言えます。私に会ったのが本当に偶然だったらの話ではありますが。
彼は私に偶然だねと声をかけて来ました。ヴァイオリン弾くんだ? なんだか意外だよね。ウコンちゃんは俺とは違う世界の住人かと思っていたよ。
どう言う意味なのって聞くと、彼は目を輝かせて長々と話をしてくれました。
彼は私の事を可愛い眼鏡っ娘だと呼び、音楽は聞かない漫画オタクだと想像していたようです。その発想の根源は理解しかねますが、抱いていたイメージとはかけ離れていたのです。
私は確かに可愛い眼鏡っ娘です。漫画オタクでもあります。けれど、音楽は聴きます。クラシック畑で演奏をしていましたが、聞くのは何でもありです。音楽なんて楽しめればいいのです。彼はまさにそういうタイプだと思っていました。私は彼らの音楽も好んで聴いていました。
それから彼は私の演奏を褒めちぎり、好きな音楽を羅列し、興奮しながら私のヴァイオリンが参加した時のバンドの想像を語っていました。その内容は別として、楽しそうに話す彼は魅力的でした。異性としてとかは超越した人間的な魅力に溢れています。この人と一緒に音を出せばきっと楽しくなる。そんな予感はしていました。
いいえ、それは嘘です。予感ではなくて確信だったのですから。
翌日の予定は一杯でした。月曜日だったので朝からは学校の授業があり、夕方からはアルバイトです。教師になるつもりでしたが、お金は必要です。今を生きる為には仕事を途絶える訳にはいきません。親からの仕送りなしで始めた一人暮らしです。家賃も自分で払っていたんです。授業料は払ってくれていましたから文句は言えません。
その日の私は、自己採点は満点以上でしたが、周りからの冷たい視線も過去最高でした。
クラシックなんて言葉が悪いんです。本来の目的を理解していない頭の固い連中の作り出した言葉であり、そこには妬みしかありません。
当時を再現することが目的になっている事に疑問を抱かないのが不思議です。クラシック音楽は、当時から繋がっている音楽ではないって事です。過去を再発見したからこその言葉でしかありません。




