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九番ライト、右近響 主にヴァイオリン担当
彼の事は今でも苦手です。
その顔が、趣味ではありません。もっと整っているディカプリ顔が好きなんです。
けれど彼の声は大好きです。そのメロディーもまた、素敵です。
音楽的にも面白いです。クラシックなんてやっている私から言わせると、その音楽は最高としか言いようがありません。
自由に楽しむ音楽が、こんなにも楽しいって事を、彼が教えてくれました。
クラシックも本来はそうだった筈なんですが、今ではその当時を再現する事に重点が置かれています。それもまた、悪くはありません。当時の作曲者や演奏者、更には観客の気持ちが分かったと思われる瞬間の感動は他では得難いものです。
とは言ってもそれは、あくまでも想像に過ぎません。やっぱり生の現実の方が楽しいんです。残念ながら私はまだ、達観の域には至っていませんから。
彼は私より三つも歳下です。それなのに、すでに達観していました。
私はプロではありませんが、楽団に所属をしてコンサートに出たりイベントに参加したりしていました。どういうわけか彼は、私の音が気に入ったようです。
誰でも参加自由のクラシックコンサートがあります。大きな会場で、演者も観客も出入りが自由です。大きなテーマはありますが、基本的にはその場で流れる音に参加をします。一曲毎に入れ替わりが出来るので、中途半端にはなりません。曲順は決まっていませんが、次の曲は決めてから演奏が始まります。クラシックなので、基本は譜面通りに弾かなければなりません。
当然それに倣います。
けれど何故かいつも注意を受けます。私の演奏は、譜面通りにも関わらずクレームを産みます。それは教室に通っていた時から音大に入学してからも変わりませんでした。
君は少し、個性的過ぎる。
そう言われた事がありますが、その真意が分かりません。
私はいつだって譜面通りの記号しか鳴らしません。それがクラシックのルールであり、それこそがクラシックの楽しさでもあるとの理解をしています。
音大には合格出来ましたが、それはたまたまだそうです。私に対する評価はいつも割れてしまいます。譜面通りに弾いていても、その音が個性的だと言われ、その間合いのズレがおかしいと言われ、もっとその時代の空気を読みなさいと言われる。作曲者の気持ちを考えるのがクラシックです。




