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キチンキチンキチン!
なんなのよ! 一体!
さぁ、これでも食べて力をつけなさい。
校長先生は背後に隠していた袋を差し出す。
あの人が受け取り、中から取り出したのは人数分のタッパだった。同じ大きさで、律儀にそれぞれの名前が貼ってある。
おかまちゃんからの差し入れか? いらないって言ったんだけどな。全く、困った人だよ。
そうは言いながらもあの人は嬉しそうだった。
急に決まったはずのライヴの予定を知っているなんて、どんな関係の人なんだろうと不思議に感じた。その呼称にも興味が湧いた。けれど私は何も聞けなかった。
おぉー! 美味そうじゃん!
多分だけれど、音尾さんの声だった。
チキンじゃん!
思わず声を上げてそう言ってしまった。
皆の視線が一気に突き刺さる。
由は鶏肉大好きだもんね。
ノビがそう言うと、一斉に皆が笑った。校長先生まで一緒に。
私は俯いたままに骨付きチキンを手に取り齧り付いた。
美味しい! その言葉は必死に飲み込んだけれど、周りの皆からは漏れていた。
食後はまた練習だった。その日は音楽の授業がなかったようで、誰もやって来ない。
そう思っていたけれど、後で思い出した。私のクラスは五時間目が音楽の授業だった。
臨時の休講は初めてだ。
練習といっても、堅苦しい事はない。ただ音楽を楽しむ。持ち曲を演奏したりその場でジャムっては新曲のアイディアを生み出したり、突然有名曲を演奏し始めたりしていただけ。
就業のチャイムと共に、ドアがまた開く。
さぁ、お迎えが来たよ。今日は精一杯楽しんで来なさいな。
そこに立っていたのは、少しふくよかな女性のような男性のような判断の難しい人だった。
勝手に学校にまで来て平気なのかよ。
あの人は乱暴な口調で視線を向けずにそう言った。
ちゃんと許可は取ってあるわよ。
勿論ですよ。でなければここには入れませんから。
背後からヌッと現れる校長先生は、少しそれまでの印象とは違って見えた。校長先生っていうのは、お爺ちゃん以上に怖い存在だと思っていた。
あの人の言うおかまちゃんを先頭に校門まで歩いて行くと、そこにはスクールバスの様な車が扉を開けて待っていた。
こちらへどうぞなんて言う黒服のお兄さんがエスコートしてくれる。私達はまるでスターなの? そんな勘違いはバカらしい。
メインの彼が特別で、しかも気を遣える紳士だったからに過ぎない。スターでも、酷い人間は意外と多い。




