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 由も帰りが遅かったんでしょ? 音合わせないんだけど、別に問題ないっしょ! 新曲は一曲だけだし、由のソロもあるから、昨日とは別物になるんじゃないかな?

 私のソロ? 当然よね。そう感じる私はすでにあの人に感化されているのかも知れない。

 演奏会でのソロは当然だった。学生時代も私のソロは必ずある。自分で言うのは少し恥ずかしいけれど、楽曲の中心に私のソロを持ってくる。観客は大喜びだし、私の気分も良くなる。

 マリンバの音はソロ向きなんだ。跳ねるリズムが気分を高揚させる。

 サケロックっていう曲があるけれど、私の理想はそのリズム。

 っていうか今日なの?

 今更気がついたのかとノビは笑う。あの人から聞いただろ?

 そんな事を言われても、まさかの言葉は耳には入り難い。来週の話だと思い込んでいた。

 今日これから武道館?

 そうだけど、何か問題でもある?

 平然とそんな事を言うノビには驚いた。たった1日の経験の差は大きいようだ。

 と言ってもさ、いつものように前座だよ。一体いつになればワンマンが出来るのかって、あの人は苛立っていたよ。

 今日の武道館。それが誰なのか知っていた。どうして? その繋がりが理解出来ない。

 武道館での最多公演を誇る彼は、ロックをエンターテイメントに昇華した天才だ。

 正直言うとあまりその魅力が分からない。カッコいいけれど、なんだか別世界の音楽のように聞こえてしまう。

 それでもカッコいいのは確かだし、ウチには多くのCDが並べられている。私がその日の公演を知っていたのは、お父さんがそのチケットを持っていたからだ。

 お父さんが来ちゃうじゃん!

 椅子を後ろに飛ばしながら立ち上がり大声で叫んだ。

 まぁ・・・・ そういう事になるよな。でもいいじゃん! 僕は由のお父さん好きだもん。是非観て欲しいものだよ。

 ノビは笑顔でそう言いながら私をハグする。お前は外国人か! そんなツッコミは心の中で消えていく。

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