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大人に近付いた今ではよくある事だと理解しているけれど、当時はただただ怖かった。
ノビは大人達の目を見てこう言った。
格好悪い大人にはなりたくない。先生もだよね?
そう言いながら保護者にも視線を送る。
一瞬の困惑を表現した後は、ゆっくりと頷いてみせる。義こちない笑顔を浮かべながら。
翌日から虐めはパタリと止んだ。
大人達が大馬鹿だって事は、子供達が教えてくれる。虐めはなくなったけれど、翌日私はすぐにその真実を知った。
ママが意地悪はするなって言うんだ。今までごめんね。
前はママが虐めろって言ってたのに、急に仲良くしろって言うのよ。だからまた今日から仲良くしようね。
子供の感情はいつでも素直だ。当時は私も素直で、その言葉を疑いもなく受け入れた。
その後は一度も虐められていない。
私は思った。大人も子供、人の思考はいい加減なものなんだって。
その時から私はノビに恋しているけれど、今はまだ内緒事。ノビはそういう感情には無頓着だからバレていない。それは喜ばしいようで、悲しくもある。ノビは何故だか私に対しての片思いの悲劇を楽しんでいる。
音楽は好きでも、ロックの楽しさに気がついたのは去年の事だと理解している。
その前からもロックは聴いていたし、大好きだった。けれどそれは、既存のロックであり、新しいものではなかった。
たまたま誘われて行ったライヴの前座で、本物に出会ってしまった。
それまでに聴いていたテレビの中のロックとは大違い。友達に誘われて行った流行歌手のライヴだったけれど、その前座が凄かった。
予告なしのサプライズ。
喜んでいる人が意外と少ない事に驚いた。
私の感覚では、全員が大喜びでメインアクトなんてもういらないと考えていた。
けれど現実は過半数にも満たない。四割を超えていた事実は黙認されているのが愉快だ。
彼等はロックナインと名乗っていたけれど、当時はまだ六人だった。六人だからロック? そんな筈はないけれど、そんな噂も流れていた。
兎に角カッコいい。見ていて楽しい。私も参加したい。世界中の人に知らせたい。一目で様々な感情が巻き起こる。それはまさに初体験で、その興奮はいまだに続いている。
その後のメインアクトの記憶は全くない。




