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 学校の授業以外では中学生になるまでに一度も楽器に触れる機会はなかったけれど、私には才能がある事を理解していたから少しの不安も感じていなかった。

 現に私の演奏は楽しいとよく言われる。

 私の才能はたった一つ。どんな事でも楽しめる。それしかない。

 演奏技術で敵わなくても、私の音を好きになってくれる人はとても多く、その為に妬まれる事は多かった。

 ノビに関しては例外だけれど。ノビは私よりも技術が薄い。そして私よりも他人を魅了する音を奏でる。

 実際ノビには嫉妬している。

 それは音楽を始める前からの事だった。

 保育園に通っていた頃からの記憶が今でもある。ノビは絵を描くのが上手で、足も早くて鉄棒も上手だった。顔はまぁ、あれではあるけれど、当時はよくモテていた。

 私は好きではなかった。仲は良かったし、本気で嫌いと思う事はなかったけれど、意地悪な同級生、当時の素直な感覚がそれだ。

 けれどあの日の記憶が今でも引きずっている。その後にちょっと頼りない弟になってはいるけれど、あのインパクトは一生ものだ。

 ノビは私を守ってくれた。

 いまだに自覚はないけれど、顔だけは可愛いと言われて育った私は、男の人から変な目つきで見られる事や虐めを受ける事が多かった。

 今では分かる。可愛い子は虐められる。それは男の子でも変わらない。ノビは見た目に関して可愛いとは言えず、そんな対象になった事がない。だから私を平気で守ってくれた。

 虐めのカラクリが分かってしまうと、虐めから誰かを救うのは難しい。あの頃のノビは無邪気だった。まさかその後どうなるのなんて考えもしなかった。

 私にちょっかいを出してくるのは主に自己中男子達だ。親の影響だかメディアの影響だか知らないけれど、汚い言葉しか喋れない。私は今でもそんな輩が苦手だし、近寄る事はない。

 ノビは虐めっ子にではなく、黙認する先生と保護者に牙を剥いた。

 それを嫌味なくやって退けたから凄かった。

 私への虐めは、その発端が悪い子の親で、保護者会の会長で、先生達も賛同して虐めを助長させていた。

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