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 そろそろ本気でロックナインの組み立てをしなければならない。このままだと単なるイカしたロックンロールバンドで終わってしまう。しかも大所帯で経費だけかかるお荷物だ。俺達は九人ならではの存在感を得なければならない。ついでに九人分稼がなければならないんだ。

 幸い次のメンバーは既に決まっている様なもんだ。最後の一人をどうするかって問題はまだ残っているが、それなりに事は進んで行くのがこの世の常ってもんだ。

 最後まで参加した俺は、それなりに顔を売ることが出来たし、まぁ、満足だったよ。

 あいつは嫉妬丸出しだった。

 あそこまであからさまだと笑えてくる。そりゃ皆が声をかけるのに戸惑う気持ちも分かる。あいつは大馬鹿だからまるで気がついていないしな。その上嫉妬した事もそれに対する事象もまるで無かった事にしているんだから参るよ。

 大トリのアーティストだけに許されたアンコールに、俺は呼ばれた。

 その時間はまさに夢の中だった。

 あいつにとっては悪夢だった様だ。

 俺の活躍が疎ましいんだとさ。全く困ったもんだ。

 俺はステージ上で大トリの最高傑作を一緒に歌った。その日持ち合わせていた楽器はブルースハープしかなかった。彼らのフロントマンがよく演奏していたから、俺が代わりに演奏しだすと大盛り上がりで、その後大きな話題になったよ。俺の歌も彼らに新しい息吹を吹き込んだと騒がれたしな。

 不貞腐れるあいつと一緒に電車で家に帰ったんだが、俺は終始好奇の視線を浴びていた。

 ステージを見ていた奴らで溢れかえる電車の中だ。仕方がないよな。俺は喜んで愛想でも振り撒くつもりでいたが、あいつがそうはさせてくれなかった。

 あいつは終始しかめっ面で辺りを睨みつけていた。固定型の監視ロボットの様だった。もっともあいつに可愛らしさの欠片なんてなく、チンピラ崩れの取り巻き程度ではあったんだがな。まぁ、つまりは相手にしなければ何の問題もない小物って事だ。

 フェスのお陰なんだろうな。俺達を取り巻く環境は翌日から一変した。当然あいつは高評価だ。全く、お調子者は扱い易くて助かるよ。

 あいつは適度に天狗になり、俺への嫉妬心は弱まった。

 俺の方があいつに嫉妬しているっていう事実は、永遠に隠し通すつもりだ。

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