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   六、七人での野外フェス


 予想外の展開で決まった野外フェスは最高の一言に尽きた。フェスとはいえ念願のスタジアム公演だ。オープニングアクトだからと言って悔しがるレベルではない。国内からも海外からも大物が集まっていた。名前を売るには最高の場なんだよ。

 伸の噂は聞いていた。あいつはトシさんの後輩になる。本人はいまだに気づいていないがな。

 トシさんも吹奏楽部出身だった。OBとして何度か練習を指導した事があったらしい。その時に伸を見て気に入っていた。当然そのヤンチャな見た目がではなく、演奏スタイルがだ。

 あいつのトロンボーンは耳に心地がいい。

 当然吹奏楽部の中では浮いた存在だった。中学の吹奏楽部は団体競技だ。自由な音は必要とされない。全体の一部になる事が求められてしまう。

 上手な生徒は全体と一つになりながらもソロの時にだけ個性を発する事が出来るが、中学生レベルでは難しい。トシさんもそんな生徒は一人しかいなかったと言っていた。俺としてはそっちの子が七人目候補だったんだが、トシさんの意見を尊重する事にしたって訳だ。

 言ってしまえばあいつは下手くそだ。

 音程がズレたり外れたりが多く、間違いも目立つ。

 けれど不思議だ。

 あいつのトロンボーンは歌っている。

 それも情感たっぷりなプレスリー風だ。

 一瞬で恋に落ちたよ。決して上手じゃないからこその味わいは、俺達には必要不可欠だ。

 俺から話しかけるのは正直面倒で、乗り気がしなかった。けれど優美がそうしろと言うんだから仕方がない。華撃が騒いでいるだけならシカト出来るんだがな。

 あいつは馬鹿だから、その態度も返答もチグハグだ。

 敬語とタメ語が入り混じるのは問題がない。けれどあいつのタイミングは天然過ぎる。わざとらしさがない。テレビで見かけるタメ語キャラとはレベルが違う。面白い事を言ってなくても、その落差だけで笑いが起こる。

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