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 お前は最初オマケに過ぎなかったんだ。

 そんな発言に黙っていられる僕ではありませんが、反論をする前に先輩が言葉を続けます。

 期待以上なのは間違いない。俺はお前の音が好きだ。いつかきっと、トシさんとタメをはれると信じているよ。

 その言葉は嬉しくも悔しくもある。トシさんは確かに凄い。けれど僕は負けてなんていません。ふざけるなって思いながらも、現実は理解しています。負けてはいないけれど、勝てなかった。トシさんのお陰で輝けた。それが現実だと理解しています。

 メンバーにはなりたくないのか?

 僕が苦い顔を浮かべると、先輩は目を輝かせます。

 お前を先に誘ってくれって仲嶋由に言われているんだ。まぁ、断るのもありだ。どうする?

 ちょ・・・・ ちょっと待って下さいよ。断るなんて言ってないっすよ。っていうかずっと前からメンバーのつもりだったですけど!

 慌てる僕に対して先輩は真顔を崩さない。

 だったら素直に受け取れよ。嫌なら他を当たるだけだ。メンバー候補は多いんだよ。

 僕は負けない。そんな言葉には騙されない。このバンドには僕が必要だ。それはライヴを終えたからこその確信でした。

 僕がいなければ味気ない。僕の音は確かなスパイスになっている。先輩が気付いていない筈ありませんよね?

 僕はしっかりと先輩の瞳の奥を覗き込む。

 ほんの少しではあるけれど、ゆらゆらおかしげに揺れているのを見逃さなかった。

 僕が辞めたらきっと、ロックナインは完成しない。違いますか?

 真剣な表情でそう言ったつもりだったけれど、途中で顔が崩れてしまいました。

 単純に先輩よりも優位に立った事が嬉しくて堪らなかったのです。まさしく僕のミスです。

 そうだよな。お前の気持ちはよく分かったよ。

 先輩はそう言って僕に背を向け何処かに消えようとしました。

 やっぱり敵わないなと僕は苦笑いでその背中を追いかけます。そして、まだ先輩が手に持っていたチラシを奪い取った。

 僕は既にメンバーっすから、これは受け取らない訳にはいきません。

 立ち止まった先輩は振り返って僕を見つめた。僕は黙って見つめ返します。

 そうなのか? だったらまぁ、仕方がないな。

 先輩はチラシから手を離し、その手を挙げて、それじゃあまたなと何処かに消えて行った。

 と言ってもフェスはまだまだ続きます。僕は先輩の背中を追いかけます。ほんの少し見失ってしまいましたが、その後合流しています。フリーパスを首からぶら下げているので行動自体は自由ですが、先輩といるとお楽しみばかりです。そんな機会を見過ごすほど僕は愚かではありません。

 大トリよりもトリ前の方が最高だったりするのはアルアルです。

 トリ前の北欧出身バンドが最高でした。僕はその日から、そのバンドに夢中です。北欧なのに東南アジアの首都名を冠にしているのがまたセンスを感じます。

 僕はそのメンバーと会話出来た事がとても嬉しくて、先輩には感謝が尽きません。メンバーとして誘われた事以上の幸せを味わっている次第です。

 そしてこの後に由が仲間になった事はとても嬉しくあり、ほんの少し悔しくもあり、先輩には感謝しかありません。

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