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僕が大好きな日本人シンガーの出番の時、先輩が突然こんな事を言い出しました。
これを受け取ってくれないか?
差し出された一枚の紙を見て驚いた。
今更っすか?
思わず飛び出した言葉です。
一応決まりなんだ。初ライヴ後にメンバー募集のチラシを渡す。受け取る事がメンバーになった証になる。
なんだよそれって思うのが当然です。僕はとっくにメンバーだったのですから。
正直ふざけるなって思い、その想いをぶつけました。当然僕はお子様ではないので、直接的な言葉は控えます。
これってバカにしています? 選ぶ権利は僕にもあるんですけれど?
面白い事言うんだな。
先輩は真顔でそう言いました。僕が大好きな曲が、停止する。
お前にそんな権利があろうがなかろうがそんな事は関係ない。俺が望んでいる。それだけだ。嫌なら断ればいいだろ? そもそも嫌ならここにはいないだろ。
何とも我が儘な言い分ですが、僕は首を横には触れませんでした。ただ頷くだけです。
仲嶋由はお前の友達だろ?
突然そんな事を言いました。返答に困ります。由は家族です。それ以外の答えはありません。
まぁ、どうでもいいけどな。
先輩の言葉は時に無機質です。
あの子は天才だな。はっきり言うが俺は仲嶋由を求めている。あの子はまさに理想だよ。
そんな言葉にはイライラする。由は僕のモノだ。先輩にだって渡せやしない。
そんな想いは内に秘めておくに限ります。
正直に言うと、由が入れば完璧かも知れないと思う。由の音はピタリと嵌まる。僕には既にその音が聞こえている。ロックナインは完成間近だ。




