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本格的な二日酔いは初めてだ。おかまちゃんがいないと制御出来ない。まだまだお子様だ。
頭の痛みと携帯の着信がシンクロする。現実と夢との境目を失い、表示をスライドさせた。
海外デヴューを断ったんだって?
その声がトシさんだって事はその声色からだけでなく、背後の音ですぐ分かる。
朝っぱらから波の中。俺は海では泳がない。海っていうのは波の音を聞きながら日向ぼっこをする場所だと思っている。
何の事? 俺がそう言う前にトシさんが言葉を発する。
今一緒にいるんだけどさ、レーベルには参加しないんだろ? まぁ、お前らしくていいよ。
俺は少し考えた。前日の会話に記憶はない。本音が漏れる事は多々ある。俺は自分達だけの力で世界を制したい。常に考えていた事だ。
それじゃあ変わるから。そう言われてすぐにあの人の声が聞こえてきた。
残念だけど、受け入れるよ。お前なら俺なんかの力がなくても世界に羽ばたける。まぁその時はよろしくな! 是非とも前座を担当するよ。
俺からの返事を待たずに通話は終了した。
海外デヴューの話はなくなった。それで構わない。どのみち世界は俺達を放っておかない。
あの人はライヴ後も数日間日本に留まっていた。名古屋と大阪でもライヴは行われたが、俺達は帯同していない。学生っていうのは案外と自由が利かないものだ。
合間にトシさんとサーフィンを楽しみ、その後もサーフィン三昧だった。何しに来たんだよってトシさんに聞いたら、サーフィンをするのが目的だと笑っていた。
二人の関係は今でも続いている。まぁ、あの二人の間で音楽話は殆どない。
あの人と出会えた事に感謝をしている。先の未来が大きく変わったのを実感したからだ。意識が変わってからの行動には楽しさしかない。俺達はもう、迷う暇を無くしてしまった。




