48
その日は多くの掘り出し物に出会えた。五人がかりで探せばそりゃそうだよなと思う。だがいくら探してもいい物に出会えない日もある。その日は単純にいい日だった。俺は本気でいいなって思ったレコードを五枚見つけ、面白そうだなっていうレコードを十枚買った。
俺以外の四人も幾つかのレコードを買っていた。家にはプレイヤーがないにも関わらずだ。まぁ、俺の家に来れば聞ける。問題はない。むしろ嬉しいくらいだ。
俺も皆もその成果に夢中だった。音楽堂の前を過ぎるその直前までは。
その日の演者は俺も皆も尊敬をする神様のような人だった。元はバンドを組んでいて、その解散ライヴをその地で行なっている。その後ソロになってからはあまりにも人気すぎてたまの気まぐれでその地に立つ事はあっても殆どが収容三万人越えのスタジアムだ。チケットを取るのも大変だ。
偶然にもその日は彼のデヴュー四十周年の記念ライヴの日だった。
その音漏れがもう最高だった。正直に言うと、俺は彼の存在が嫌いだ。いいイメージなんてない。曲は最高だ。けどファンがね・・・・ 人気と楽曲評価がアンバラスな珍しいパターンだ。
俺は何度もそのレコードを手に取り、悩んだ。その結果その日初めてその中の一枚を手に入れている。作詞家が大好きだったんだからその欲求は止められない。
生で聞く音漏れはやっぱり最高だ。曲間の声援にはうんざりだが、曲中はそんな事を完全に忘れさせてくれるから凄い。俺は改めて、その場に立った事に感動した。
俺達もあそこに立ったんだよな。
俺の言葉が漏れる。
すると皆も同調した。
そうなんだよな・・・・
そうよね・・・・
まぁなぁ・・・・
あぁ・・・・
なんともつまらない反応の勢揃いだよ。まぁ、仕方がない。感動っていうのは、そういうもんだ。




