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僕達三人は同じクラスに配属された。それは偶然でしかない。
必然だとしたら、永井さんも同じクラスになっている筈だし、このクラスに将来のメンバーが存在しているって事になる。
ロックナインは大掛かりだ。
それにしても何故だ? 速井君の音楽はロックナインに拘るような域を乗り越えている。ロックナインは大好きだけれど、音楽なんて楽しければそれでいい。ジャンルに拘る理由が謎だ。
音楽を好きになった理由はロックナインではない。純粋なロックンロールが好きなんだ。
お母さんの恋人の影響で好きなった。フェスやライヴにも連れて行かれた。小学校に入学する前から連れて行かれた理由はお金がかからないからだったけれど、僕にとっては喜びでしかなかった。小学校に上がってからも連れて行ってくれたし、今でも感謝している。
彼が好きだったのはフィンランドのロックンロールバンド。ヴォーカルのソロも大好きだ。その人のステージは面白い。曲もカッコいいけれど、パフォーマンスが最高だった。
まるで猿だ。
あれ程に動き回りながら歌っては観客を煽るなんて初めてだった。じっくりと歌を聞かせるアーティストが悪いとは思わない。一見大暴れしている風のパフォーマンスも悪くない。所々で行う破壊行動も一見の価値はあるけれど、所詮は予定調和に過ぎないと後に気がつく事になる。その時の虚しさは耐え難い。
けれどあの人はまるで違う。言うなれば動物園のチンパージだ。思いのままに暴れながら歌っている。バンドのメンバーはその様子を微笑みで包み込む。僕等観客は時に同調し、時に客観視して時間を共有する。これこそが幸せで自然な状態だと感じてしまう。特にファンではなくても楽しめるのがあの人のライヴだ。実際に僕のお母さんは騒がしい音楽が好きではない。それでもあの人のライヴは大好きだ。フェスに参加をするとそんな人が多いのがよく分かる。始まる前は意外な程に観客数が少ないけれど、始まった瞬間から通りがかりの音楽好きが反応を示す。何これ? 超楽しそうじゃんと大勢が集まってくる。
そのおかげというか、入場規制がかかるのが茶飯事になっている。
僕の理想とロックナインはかけ離れている。そもそも僕の作る曲はロックナインともロックンロールとも呼び辛いけれど、楽しければロックだろ?
この日の僕はまるで授業に集中出来なかった。そもそも始業式に授業はしないけれど、先生の言葉が一言も耳に残っていないなんて初めての事だった。
僕は急いで家に帰った。速井君達が近づいてくる気配は感じたけれど、脇をスルッとすり抜けて走り出す。当然サヨナラの挨拶は交わしたけれど、目を合わす暇もなかったのが事実だ。
家に帰ってする事は決まっている。パソコンを起動してUSBを挿す。僕は基本音楽は大音量で大きな空間で聴く事にしている。
耳栓で音楽を聴くのは趣味じゃない。
音尾君達の音源を聴きながら、まずは妄想を膨らませる。その後はギターを手にもう一度聞き流す。三度目で僕は自分の感情をぶつけた。その後は何度もそれを繰り返す。僕にとっての準備はそれでお終い。




