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暴食の少年~最弱ステータスで追放された少年は、暴食スキルで成り上がる~  作者: カンチェラーラ


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健康

「えーっと、なになに? 魔ネズミの肉は食えるけど、少しだけ毒性があって腹を下す可能性が高い。これが健康値の減少って項目に関係しているのか。でも、これは暴食スキルの効果でAGIが微増するってあるな。体に悪いのにステータスの数値が上がる食べ物もあるのか……」


 手に入れた調理スキルで魔ネズミの肉について食材鑑定を行った。

 その結果、ステータス画面に表示された内容を見て、思わずうなる。

 AGIは素早さに関係する数値だ。

 魔ネズミの肉を食べることでほんのわずかに速くなる。

 だが、健康には悪いらしい。

 そんな食べ物があるのか。

 てっきり、ステータスの数値が上がるような食べ物は体にいいものばかりかと思っていた。


 まあ、普通に考えて汚水が流れる地下水道にいる魔ネズミを食べて健康にいいってことはないだろう。

 むしろ、腹を下す可能性がある程度の弱い毒性ってだけなら食べる一択だな。

 俺の育った孤児院は決して裕福ではなく、むしろ建物が崩れそうになっても修理もできないくらいの貧乏なところだ。

 満足に食べられることなんて今までになかった。

 そのせいで、街で残飯をあさったことも数えきれない。

 腐りかけの食べ物を食べておなかを壊すこともあった。


 今回も、やることは同じだ。

 いや、少しでも強くなれるなら無理をしてでも食べるべきだろう。

 けど、気になることがあった。

 それは、今後もこういう風に体に悪いけれどステータスの数値を伸ばす食べ物というのがある可能性についてだ。


 ちょっとお腹を下すだけで強くなれるなら、俺は間違いなく食べる。

 だが、死ぬ可能性が高い代わりに数値が上がる食べ物となると、さすがに躊躇する。

 どうなんだろうか?

 ほかの食材はどのくらいリスクとリターンがあるものなんだろう。

 できれば、数値を上げられる食べ物は何でも食べられたらいいんだが。


【SKL:健康(SPを10消費して獲得可能。健康値の強化と減少緩和)】


 ……本当に、誰かが俺の頭の中を覗いているんじゃないだろうな?

 俺が欲しがったから表示されたのか?

 それとも、表示されたから欲しくなったのか?

 あまりにも都合よく欲しいスキルが表示される。

 さすがに不気味だった。

 こんな話、誰が信じる?

 っていうか、ほかの人はこんな風にスキルを得るものなんだろうか?


 見習い時代にはこんな話は聞いたことなかったな。

 ステータスに表示されるスキルは二種類あるって話だったはずだ。

 一つは才能。

 生まれ持った才能がスキルとして備わっていて、そういう人は大成しやすいらしい。

 要するに天才と呼ばれる人がそうだ。


 もう一つは、長い期間をかけて技術を習得することでスキルを得ることもあるってのもあった。

 剣術スキルがなくても剣の練習を頑張って、実戦も経験したりして、いつのまにかスキルが増えているってことらしい。


 例外として、教会でお金を払って生活魔法を覚えることもあるらしいけどね。

 クリーンみたいな便利な魔法が後天的に苦労せずに手に入れられるってことだけど、そのためには高額のお金が必要だ。

 本来であれば俺みたいな孤児には関係のないスキル取得手段だろう。


 そのどれもが俺には当てはまらない。

 なぜかSPの消費という行為だけでスキルが手に入ってしまうし、欲しいと思ったスキルが提示される。

 不思議を通り越して怖いくらいだ。


 だが……、この健康スキルは取る。

 欲したスキルが手に入るのはなぜ、どうして、と思いはするが、いまさらだろう。

 これまでに手に入れたスキルは決して偽物ではなかった。

 察知やクリーン、調理は間違いなくこれからの生活に役に立つ。

 だったら、ここで健康スキルを手に入れないなんて選択肢は俺にはない。


 理屈はわからない。

 不安もある。

 けれど、こうして俺は六つ目となるスキルを新しく手に入れた。



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