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暴食の少年~最弱ステータスで追放された少年は、暴食スキルで成り上がる~  作者: カンチェラーラ


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調理

「クリーン。……おおぅ。これはすごいな。かなり効果があるっぽいぞ」


 地下水道から地上へと戻ってきた俺は、まず最初に自分の体をきれいにしてみることにした。

 地下水道に入る前に手に入れたクリーンという生活魔法を使ってみたのだ。

 呪文を唱えるだけで対象を洗浄できる魔法だ。

 だが、これもかなりありがたい効果を感じられた。


 地下水道へ入り、スライムを倒すために汚水の中まで踏み込んだせいで、俺の体はひどく汚れていた。

 全身には悪臭が染みつき、足先から膝にかけては、特に強烈な悪臭を放つ泥がこびりついている。

 ただでさえ孤児の俺は、着ている服もボロボロだ。

 それがさらに、人前に出れば間違いなく顔をしかめられる姿になっていた。


 いつもはここからが大変だった。

 共同井戸にこの姿のまま行くわけにもいかないので、まずは土を体にこすりつけて汚れを落とし、それから体を洗いに行ったものだ。

 だが、その井戸のそばに誰かがいたらその時は井戸が使えなかった。

 「こんな格好でくるな」と殴られかねないからだ。

 だから、こそこそしながらなんとか身ぎれいにして、それでようやく孤児院に帰ってもそれでもほかの子たちに臭いと言われるくらいだったのだ。


 それがどうだ。

 クリーンの魔法を使っただけで完全に汚れが落ちてしまった。

 自分ではわかりにくいが、悪臭も消えているはずだ。

 足元の泥はもちろん、飛び跳ねて髪の毛についていたであろう水滴すらもなくなっている。

 さらに驚いたのは服だ。

 古着と呼ぶのもためらうボロ服まで、きれいになっている。

 さすがにつぎはぎだらけでボロには間違いないけれど、見違えるほど小ぎれいになっていた。


 このクリーンという魔法があれば、もしかして汚れ落としの掃除仕事もできたのかもしれない。

 いや、無理か。

 MP消費は3。

 俺の最大MPが3しかないから現状では一度しか使えないしな。

 それになにより、暴食というスキルを得たことで、食べ物がいくらでも欲しい状態だ。

 掃除屋だけじゃあ、この空腹感は満たせないだろう。


 というわけで、今日の戦果を改めて確認する。

 スライムの核、つまり魔石は六個だ。

 これは露店かどこかで売るしかない。

 問題は、魔ネズミの肉が四つもあることだ。


 ……これ、食えるよな?

 おそらく味は期待できないし、肉として取れる量は少なそうだけどいけると思う。

 が、問題はどうやって食べるか、だ。


 幸いにして、クリーンを使ったことで魔ネズミの体もきれいにはなっている。

 目に見える範囲で汚れはない。

 肉と一緒に下水を食べるという心配はないはずだ。

 だが、どうやって調理するのがいいんだろうか。


 食べ物を売っている屋台へ持ち込むか?

 お金を払うか、肉のいくらかを支払うという形で肉串にでもしてもらう、とか。

 それも一つの手だ。

 だが、それだと、最終的に俺が食べられる肉の量が減ってしまうことにつながる。

 できれば、手に入れたものは少しでも多くお腹に入れたい。


 ということは、自分で料理をするか?

 一応孤児院にいるときに院長の手伝いはしていた。

 が、火を熾すには場所が必要だ。

 薪もいるし、燃やしていい場所でなければ街中では料理できない。

 孤児院に持って帰って食べようとしたら、ほかの子が寄ってくるだろうしどうしたものか。


【SKL:調理(SPを10消費して獲得可能。食材の鑑定や調理法の知識・技術の獲得)】


 きた。

 また新しいスキルの情報が出た。

 調理、か。

 本当に欲しいと思ったものが表示されるな。


 だけど、これはどうなんだろう?

 肉を焼いて食べるだけなら、やろうと思ったらできる。

 とはいえ、俺は料理が得意なわけでもない。


 それに気になるのが、料理を作るだけじゃなくて食材の鑑定というのも調理スキルには含まれていることだ。

 例えば、この魔ネズミの体でも食べていい部分があったり、駄目な部分があるかもしれない。

 そういうのを知ることができるのかもしれないな。


 なら、このスキルは取っておくべきだ。

 暴食スキルがある以上、食べ物について考える時間が今までよりもはるかに増えそうだし。

 そう考えた俺は、新たに調理スキルを手に入れることにしたのだった。

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