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暴食の少年~最弱ステータスで追放された少年は、暴食スキルで成り上がる~  作者: カンチェラーラ


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拾い物

 「ふう……ふぅ……」


 地下水道へ潜ってから、もうしばらく経った。

 これまでに何度か戦闘が起こった。

 最初の魔ネズミに続き、スライムも倒した。

 しかも、かすり傷一つ負わずにだ。


 だというのに、俺はかなり疲労していた。

 薄暗い地下水道。

 中央を汚水が流れ、その両脇の歩道で俺は立ち止まり、肩で息をしていた。

 普段はここまで疲れることはないんだけどな。

 多分、戦った回数が多いことが原因だと思う。


 俺の手元にはスライムの核である魔石が六個と魔ネズミの肉が四つある。

 つまり、十回戦ったことになる。

 だが、地下水道に降りてきてからまだ一時間も経過していない。

 こんなに短時間で何回も戦ったのは、きっと察知スキルの影響だ。


 相手の動きを読むだけでなく、気配そのものも思った以上に拾ってくれる。

 わずかな明かりしかない地下水道では、魔ネズミやスライムを探すのは結構大変だ。

 魔ネズミの場合なら俺を弱い相手だと判断して向こうから近づいてくることもある。

 けれど、スライムは基本的にこちらから何かしないと何もしてこないから気づきにくいのだ。

 スライムの主食は泥や汚水だ。

 生きた人間にそれほど食指が動かないんだろう。

 わざわざ攻撃される危険を冒してまで相手を食べなくても、十分な食い物がこの地下水道にはあるんだから、それも当たり前だ。


 つまり、この地下水道ではスライムは厄介だ。

 それをスキルのおかげで何回も見つけることができ、見つけるたびに短剣を振り回したおかげで疲れてしまったというわけだ。

 しかもスライムは歩道ではなく、水路の中にいることが多い。

 それほど急な流れではないけれど、一定方向に流れる水の中に降りていってスライムを倒すのは体力的にもしんどかった。


 ……早いかもしれないけど、もうそろそろ帰ろうかな。

 最初はもうちょっと時間をかけて地下水道を探索する予定だったけれど、十分な成果を得られたと判断し、引き返すことにした。

 入ってきた出入口に向かうように、これまで来た道を引き返していった。


「ん? なんだろ。あそこに何かある、のか?」


 そんなふうに帰り道を歩いているとき、ふと違和感を覚えた。

 この感覚は察知スキルが反応したのか?

 だが、これまで何度かあった魔ネズミやスライムを見つけたときのような気配ではない気がする。

 この地下水道にほかの生き物がいるとすれば、小さな虫くらいだと思うけど、それが反応したわけでもないだろうし、なんだろうか。


 察知が反応したのは、歩道間の水道だ。

 汚れた水が流れているために内部が見えない。

 が、その水道の中央当たりになにかがある気がした。

 動きはない。

 スライムっぽい感じでもないし、もしかして動く相手ではないのかな。


 しばらく、歩道の上から気になる場所を観察していたが、妙に気になる。

 だが、生き物の気配も危険も感じない。

 俺は水路へ降りて確かめることにした。

 水の中をジャブジャブと歩きながら進んでいき、そのポイントに到着した。

 そのまま、靴の先で何かがあるのかを確認する。

 流れる水の下に泥かヘドロでもたまっているのか、まとわりつくような重い感触があった。

 が、その重たい流体のなかに硬い何かが足先に触れた。


 それを拾うために手を突っ込む。

 ……もし噛みつかれたら笑えないな。

 それでも、俺は手を伸ばした。

 足先に感じた硬いものを掴んで引き上げると、それは鞘に収まった小剣だった。

 泥まみれになったそれを汚水で洗い流す。

 俺の持つ短剣よりも長いけれど、長剣とは言えない小剣。

 水道から歩道に上がって、鞘から引き抜いてみると、汚れはあるものの欠けたり錆びついたりはしていないようだ。


 誰かが落として、そのまま見失った剣……だろうか?

 こんなところで物を無くしたらすぐに見つけない限り、絶対に発見できなくなるだろう。

 だが、それを見つけてしまった。

 これもスキルのおかげなんだろうか?


 ラッキー。

 思わず、そうつぶやいて喜んでいた。

 錆びた短剣よりも攻撃に適した小剣をゲットできたこと。

 それ以上に嬉しかったのは、察知スキルが敵だけでなく、こうした落とし物まで見つけられるかもしれないことだった。

 これは、当たりだ。

 最初はギルドを追放された最悪の一日だったけれど、だんだんと自分にも運が向いてきたんじゃないだろうかと天に感謝したのだった。

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