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暴食の少年~最弱ステータスで追放された少年は、暴食スキルで成り上がる~  作者: カンチェラーラ


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状態保存

 孤児院での朝食作りを終えた俺は、子どもたちが食事を始める前に、一人でご飯を食べている。

 孤児院の建物の外にあるわずかな空き地で、俺は収納の指輪に入れていた鍋を取り出した。

 こいつは昨日、急に調理場へやってきたサリーママに毒性のある肉団子スープを見られないよう、スープが入った鍋ごと指輪へと入れたものだ。

 鍋は孤児院の備品だ。

 中身を空にして返しておかなければならない。

 というわけで、皆に見つかる前に一人で毒物スープを食べて鍋の中身を空っぽにしておこう。


 そう考えた俺が指輪から取り出した鍋を食器代わりにそのままスプーンを突っ込んで掬う。

 それを口に入れた瞬間、俺は飛び上がった。


「あっつ!!」


 思わず鍋を落としかけた。

 スープが熱かったのだ。

 口の中を火傷したかと思うほど熱い。

 なんでだよ。

 昨日の夕方に作ったスープのはずなのに。

 まるで、息を吹きかけながら冷ましつつ食べた昨日の状態がそのままになっているようだ。


「……待てよ」


 俺はもう一度鍋の中を覗いた。

 ……もしかして、これって収納の指輪の効果なんだろうか?

 アツアツの料理を入れておいたら、熱いままで保管できるってことか?

 ってことは、作りたての料理を入れておけば、いつでも温かいものを食べられるってことになるんだろうか?


 いや、それは俺にとってはあんまり意味がないかな。

 無意味ではないが、料理が温かいかどうかはそんなに重要ではない。

 なぜなら、俺は調理スキルを持っているからだ。

 このスキルのおかげで、たとえ道具がなくても簡易的に、即興的に料理を作り上げることができる。

 焼いたり煮たり、蒸したりした料理をいつでも食べられるんだ。

 出来立ての料理を温かいまま保存する目的では、俺にはあまり意味がない。


 むしろ俺にとっては、食材の保管に使うほうが便利かもしれない。

 俺は食べ物を食べることでステータスが上がる暴食スキルを持っている。

 なので、これからも地下水道などで魔ネズミやスライムを倒して食べ物を確保するつもりだ。

 が、そのすべてを一度に持ち帰ることは難しい。

 食材を持ち運ぶ手間もあるし、食材の鮮度の問題もある。

 一日中地下水道にいたら、朝に狩った獲物の肉は腐るんじゃないかという心配もあったのだ。

 調理スキルで持ち帰る分は肉団子にしたり、燻製にしたりする必要があるかと考えていたが、この指輪が状態を保存する機能があるのであれば話が変わる。

 手に入れた肉を新鮮なまま持ち帰れる。

 ……つまり、もっと食べられるってことだ。


 というわけで、俺にとっての収納の指輪の使い道がほとんど決定した。

 鮮度が落ちそうなものを優先して入れていこう。

 そんなことを考えながら、俺は肉団子スープを汁一滴残さず平らげた。

 空になった鍋にクリーンをかけてきれいにし、調理場へ戻す。

 その後、俺は早速地下水道へと向かうことにした。

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