食堂にて
「おいしー。今日のスープ、めっちゃおいしいよ、ルーク兄ちゃん」
「このパンも柔らかくておいしいね」
「スープおかわり!」
「パンまだあるー?」
現在この孤児院にいる子どもたちの数は二十三人。
そんな子どもたちとサリーママ、そして俺が食堂で集まって夕食を食べている。
俺が用意した食事を皆がおいしそうに食べている姿を見て、うれしくなってしまう。
作った料理をこんなふうに食べてもらえるのは、やっぱりうれしい。
今までも調理場で手伝いをしたことはあっても、あくまでもサリーママの補助という形だったからこんな風に思ったことはなかった。
調理スキルを取って、本当によかったと思った。
今日の料理は俺が自分で買ってきた小麦粉で作ったパン。
そして、野菜たっぷりの香草スープだ。
こちらも俺が買ってきた塩や調味料をふんだんに使っている。
スパイスがほどよく効いた、パンチのある味だ。
なんだかんだで、普段の食事は薄味が多いからな。
サリーママの工夫で薄味でもおいしくないわけではないけれど、調味料の力でガツンとした味付けにしたことで、子どもたちからは大好評だ。
これを毎回出せるわけではないだろうけど、俺が作った初めての夕食ということで、子どもたちの記憶には残っただろう。
ちなみに、このスープを作るうえで分かったこともある。
それは、一から十までを調理スキルで完結させるよりも、自分の手で料理をしたほうがコスパがいいらしいということだ。
つまり、調理スキルがあるならば食材を用意してMPを消費すれば料理が出来上がるけれど、実際に手で作ったほうがたくさんできるということだ。
夕食に出した香草スープのほうが、俺が作った肉団子スープより量が多い。
多分、スキル調理では、工夫すれば使える皮やヘタまで切り捨ててしまうのかもしれない。
そのほうがよりおいしいものが作れるのかもしれないが、孤児院で出す料理は質よりも量が重要だし、なるべく手作りのほうがいいのかもしれない。
スキルのおかげで調理法などは頭の中に浮かんでくるし、調理器具も新品同様になったおかげで、手作業でも十分効率よく料理ができる。
なるべくはスキルの力に頼り切らずに作っていこうかな。
「あ、食べ終わったら食器は一か所に集めてね。あと、皆が食べ終わるまでこの部屋を出ないようにな」
多分すぐに全員が食べ終わるだろう。
ここにいる子はみんな、お腹を空かせている。
多少の好き嫌いはあっても食べ物を残してしまう子や皿を前にして食べられずにいる子もいない。
俺の言葉を聞いて「はーい」と返事をしながらも食べ続ける。
そうして、食べる速さに違いはあったものの、やがて全員が食べ終わった時、俺は生活魔法を発動した。
「クリーン」
皆が集まって食べる食堂。
そうはいっても孤児院の一室であり、そこまで広大な部屋の広さでは決してない。
なので、俺は机に向かって椅子に座る子どもたちへ向けてクリーンを発動する。
食べ終えた皿と一緒に、子どもたちの体もきれいになっていく。
「わー、なにこれー。きれいになったよー」
「うわっ! 服まできれいになってる!」
「ほんとだ! 泥が消えてる!」
俺のクリーンにより食器と一緒に子どもたちが見違えるほどきれいになった。
スープで口の周りが汚れていたところも、髪の毛の汚れから服のシミまで、あらゆるものが対象となり、きれいになる。
やっぱいいな。
お金持ちが入るような風呂なんてここにはないし、毎日水浴びができるわけでもない。
普段は濡れタオルで体を拭くだけだった子どもたちの体がピカピカに磨き上げられ、食堂内はさらなる声量で子どもの声が響き渡ったのだった。
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