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暴食の少年~最弱ステータスで追放された少年は、暴食スキルで成り上がる~  作者: カンチェラーラ


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まさかの判定

 地下水道探索も今日で二日目だ。

 見習い冒険者のときにもここには頻繁に来ていたが、毎日来ようと思う場所ではなかった。

 それは今も同じだ。

 が、それでも積極的に来ることができたのは、スキルのおかげだろうか。

 汚れてもクリーンという生活魔法があるし、一日中この汚水まみれの空間にいても、体調を崩しにくい。

 そう思えば、なんとか耐えられる。

 だから今日も、汚水に濡れるのを気にせず進んでいく。


「シッ!」


 小剣を振り抜く。

 伸びたリーチが、魔ネズミの喉元を裂いた。

 ――近づかれる前に、仕留める。


 今は魔ネズミとの戦闘中。

 昨日と違うのは、相手が群れで現れたことだ。

 基本的に俺は今まで魔ネズミは一匹で行動している奴を狙うことが多かった。

 いくら相手が俺でも倒せる程度の強さであるとはいえ、複数から攻撃されて傷を負うのを避けるためだ。

 数が多ければ、即撤退。

 それが俺の基本だった。

 だが、新しい武器とスキルを得た今なら、以前より攻めに出られる。


 錆びた短剣の刃渡りは二十センチほどしかない。

 が、昨日手に入れた小剣は刃渡り五十センチほどある。

 これが、思った以上に扱いやすい。

 もしこれが長剣だったら、俺は多分、剣に振り回されていたかもしれない。

 が、この小剣くらいの長さであればリーチを生かしつつも小回りが効くことで対多数の戦いがやりやすかったのだ。


「よっと、これで終わり、だ」


 伸びたリーチと察知スキルによる相手の動きの予測。

 だが、これらだけで俺がいきなり複数相手に大立ち回りができるようになったわけではないだろう。

 やはり、ステータスが上がった効果も大きいのだろう。

 素早さの数値であるAGIが1上がったことで、わずかながら速く動けるようになった、気がする。

 たった1。

 それでも世界がわずかに遅く見える。

 魔ネズミの跳躍が、ほんの一瞬だけ止まって見えた。

 本当にわずかだが速く動けることで、戦いやすくなっているように思う。


 ……やっぱり、世の中ステータスだな。

 高ステータスは正義。

 冒険者ギルドがステータスオールHの俺を正式加入させなかったことも分からなくもない。

 AGIがわずかに上がっただけでこれなのだから、ほかも上がればさらに強くなれるんだろうな。

 世の中にはSランク以上の人がいるみたいだけど、どのくらい強いのか想像もできない。


 まあ、そんな雲の上の人のことを考えても意味ないか。

 今はとりあえず、腹が減った。

 群れで襲ってきた魔ネズミから、肉を五つ分確保できた。

 ……この場で食べるか?

 汚水が流れる水路脇の歩道で解体してしまおうかとも考えた。

 が、さすがにそれはちょっと人間としてどうかとも思う。

 もう少し肉を集めたら、一度地上へ戻って調理しようかな。


「お、この感覚はスライムかな? ……そこか」


 魔ネズミの群れを倒して少しすると、今度はスライムの気配を察知した。

 そして、その姿を視認する。

 相変わらず、半液体状のどろどろした姿だ。

 が、昨日とは違う情報が頭の中に浮かぶ。


「……え? スライムって食べられるのか……?」


 それは調理スキルの反応だった。

 昨日スライムを倒したときにはまだなかった調理というスキル。

 このスキルには食材鑑定ができる能力がある。

 食べ物を見て、食用が可能かどうか、調理法がどんなものがあるのかが分かるようになる。

 スライムを見た瞬間、「食用可能」と頭の中に情報が流れ込んできた。


 本気か?

 下手をすればヘドロのような液体、……いや、ゲル状の塊だぞ?

 あんなものが食えるのか。

 食う人間が存在するのか。

 俺に多大な恩恵を与えてきた数々のスキル。

 それでも、今の俺はそのスキルの力がはたして本当に正しいのかと疑問を抱かずにはいられなかった。

 だが、もし本当に食えるなら――

 地下水道は、宝の山になる。

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