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暴食の少年~最弱ステータスで追放された少年は、暴食スキルで成り上がる~  作者: カンチェラーラ


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10/33

木宿

「大部屋に一泊で」


「150ジェニーだ。空いているところで好きに寝な。ただし、盗難があっても自己責任だ」


「わかってるよ」


 地下水道から出て魔ネズミの肉串を食べ終えた俺は、今日泊まる宿へと移動した。

 見習いを終えて正式な冒険者になれば、孤児院を出て一人暮らしを始めるはずだった。

 ……そのはずが、ギルドを追放されてしまった。

 このことを話せば、しばらくの間は孤児院で寝泊まりさせてもらえるかもしれない。

 だが、弱すぎるという理由で追放された手前、帰りづらくなってしまった。

 なので、今日から独立して生活を始める。

 今日から俺は、一人だ。

 そう思うと、宿の空気が少しだけ重く感じた。


 俺がやってきたのは最低ランクの宿だ。

 肉串二つでも100ジェニーはするのに、一泊150ジェニー。

 貧乏人御用達の木賃宿だ。

 大部屋には寝具もなければ、荷物を置く棚すらない。

 床に雑魚寝して夜を明かす。

 本当に寝るためだけに屋根のある場所を求めて泊まるようなところで、当然ながら客層は悪い。

 なんせ、貧民街の内部にある宿だしな。


 荷物を盗まれないように抱きかかえて寝る必要があるだろう。

 普段の俺なら盗まれるようなものを持っていないのだが、今は一つだけ取られる可能性のあるものがある。

 それは小剣だ。

 地下水道の汚水の中で見つけたこの小剣は、錆びていなかったうえに俺のクリーンできれいになっている。

 特別高価な剣ではないが、こんな木宿に泊まる連中のなかではほかに持っている奴は誰もいないんじゃないだろうか。


 その証拠に、俺が大部屋に入ってから視線が集まった。

 一応、予備に持っていたボロ布で小剣を巻いているんだけど、目ざといやつは俺が隠しているという行為自体に意味を見出している気もする。

 人目を避けて隠している以上、中身が何であれ高価なものだと思われたのだろう。


 ……今晩はちゃんと眠れるだろうか?

 小剣のことが気になって眠れない、なんてことになれば明日も地下水道に行く予定なのに活動に響くかもしれない。

 なんとか、金を稼ぐ方法を確立して、少なくとももう少しまともな宿に泊まれるようにならないといけないな。

 当面の目標は二つ。

 空腹を満たせるだけの食料を確保すること。

 そして、個室の宿に泊まれるだけの金を稼ぐことだ。


────────────────────────────────────

名前: ルーク

職業: -

レベル:1

HP: 9/9(H)

MP: 0/3(H)

ATK: 8(H)

DEF: 7(H)

AGI: 7(H)

INT: 4(H)

SPI: 8(H)

LUK: 3(H)

SKL: 暴食・空腹耐性・クリーン・察知・調理・健康

SP:9

────────────────────────────────────


 弱いな。

 だけど、うれしい点が一つある。

 それは、AGIが1だけ上がっていることだ。

 最初は6だったのが7になっている。

 これは魔ネズミの肉を食べてAGIが微増したってことなんだろう。

 わずかな変化でも、それだけで希望が湧いてくる。

 同じように成長するかはわからないけれど、少なくとも魔ネズミの肉を食べていけば素早さが上がるのだから。


 だけど、なんか変だな?

 なにか違和感がある。

 ステータスにどこか気になるところがあるがすぐにはそれが分からなかった。

 が、そこでなにかの気配を感じた。


 荷物を抱えて横になっている俺を見て、熟睡しているとでも思ったのだろうか。

 同じ大部屋の男が一人、ゆっくりと起き上がった。

 そして、こちらに歩み寄ろうとする。

 薄暗い部屋。寝息と、酒臭い息。

 その中で、ひとつだけ違う呼吸が近づいてくる。


 ほかにも寝返りをしたり、まだ起きていて動いている奴もいる。

 だが、そのときはどうしてだか嫌な気配を感じたので、俺はすぐに目を開いてそいつのことを見た。

 すると、こちらが起きていることに気が付いたからか、「チッ」と舌打ちし、その男は再びその場で寝ころんだ。


 もしかして、察知のおかげだろうか。

 俺に何かしようと考えて動いた気配を感じて教えてくれたのかもしれない。

 その夜は何度か同じことがあり、そのたびに俺は目を開けて牽制した。

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― 新着の感想 ―
京都駅近くのサウナの雑魚寝の大部屋で寝ている 足を触られた 当時1泊ネット割500円で安かった
考えると木賃宿は格安だけど同じ雑魚寝の ユースホステルは高いよな 一晩中騒いでうるさいし ナンパ目的用だからか
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