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第82話 王の仕事

 朝食の席。




 ノア、ソフィア、アウルの三人。




「今日は執務で忙しい」




 ソフィアが淡々と告げる。




「付き合えぬぞ」




「あー、了解」




 アウルは軽く手を振る。




「さて今日はどうするか」




 顎に手を当て、少し考える。




「島を周ってもいいが……」




「まだ何か見つかるもんかねぇ」




「報告書でも書いたらどうだ?」




 ソフィアが即座に返す。




「えぇ、俺がぁ?」




 露骨に嫌そうな顔。




「お前が先頭に立って開拓するのだろう?」




 ソフィアは表情を変えない。




「自らが情報をまとめて報告した方が心象が良いのではないか?」




「……ぐっ」




 言い返せない。




「私が見てやる」




「えぇ……」




 さらに嫌そうな声。




 そこに。




「殿下」




 クラリスが口を開く。




「言い出しっぺなのですから」




「事務仕事も必要ですよ」




「マジかぁ……」




 肩を落とすアウル。




 だがクラリスは微笑んだまま。




「私も手伝いますから」




「……はぁ」




 少しだけ顔を上げる。




「おいおい、報告するならよ」




「泉があった、温泉があっただけじゃダメだよな?」




「どっちにしろ、また見て調べないとじゃん」




「そうだな」




 ソフィアが頷く。




「はぁ……」




 深いため息。




 だが――




「しゃあねぇなぁ」




 諦めたように、しかしどこか楽しげに笑った。




「護衛、二人借りれるか?」




「問題無い」




 即答。




「クラリスも来てくれ〜」




 軽く手を振る。




「俺が乗せる」




「承知しました」




「やれやれだな……」




 ぼやきながらも、立ち上がる。




 その様子を見て。




 ノアはくすりと笑った。




「お前は呑気そうだなぁ」




 アウルが振り返る。




「おいっノアっ」




 指を向ける。




「お前も手伝えよ」




「え?」




 少し驚いた声。




 だが。




「駄目だ」




 ソフィアが即座に遮る。




「ノアにはノアの仕事がある」




「仕事ってなんだよ〜?」




 アウルが不満げに眉を寄せる。




 一瞬の間。




 ソフィアは――




「……言わん」




 それだけ言った。




「えぇ……」




 アウルは肩を落とす。




 だがそのやり取りを見て。




 ノアは、ただ静かに笑っていた。

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