表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/97

第78話 異質なる者

 朝。




 柔らかな光が、部屋に差し込む。




 ノアはゆっくりと目を開けた。




 隣には――




 ソフィア。




 静かな寝息を立てている。




「……」




 ほんの少しだけ、微笑む。




 そのまま手を伸ばし、髪を撫でる。




「……ん」




 わずかに反応するソフィア。




 やがて目を開ける。




「……ノア」




「おはよう」




「……うむ」




 短く返しながらも。




 その距離は近いまま。




 自然と、抱き寄せる。




 ソフィアも抵抗はしない。




 むしろ、少しだけ身を預けてくる。




「……昨夜は」




 小さく呟く。




「満足したか?」




 ノアは少しだけ考え――




「うん」




 素直に頷いた。




「ソフィアは?」




「……当然だ」




 そう言いながらも。




 わずかに視線を逸らす。




 その頬は、ほんのり赤い。




「……だが」




 ふっと息を吐き。




「そろそろ出る」




「え?」




「アリスが来るだろう」




 あっさりとした口調。




 だがその目は、どこか余裕を含んでいた。




「……なるほど」




 ノアは苦笑する。




 ソフィアは静かに起き上がり。




 乱れた髪を整える。




 そして、扉へと向かう前に。




 一度だけ振り返った。




「……あまり、困らせるなよ」




 そう言い残し。




 部屋を後にした。




 入れ替わるように――




 コンコン、と扉が叩かれる。




「ノア様、おはようございます」




 アリスの声。




「入っていいよ」




 扉が開く。




 アリスが入室し――




 その一瞬で、全てを察した。




「お、おはようございますノア様っ」




 少しだけ声が上ずる。




 ノアも、わずかに間を置いた。




「……えっと……おはよう、アリス」




 一瞬。




 妙な沈黙が流れる。




「……」




「……」




 互いに視線を逸らす。




 だが。




 アリスはすぐに小さく息を吐き。




 いつもの微笑みを浮かべた。




「朝食の準備が出来ています」




「うん、ありがとう」




 そのまま、二人は部屋を出た。





 ---




 朝食。




 ノア、ソフィア、アウルの三人。




「今日はどうするの?」




 ノアの問いに。




 アウルは顎に手を当てる。




「ん〜そうだなぁ」




 少し考え。




「ノアは普段、何してんだ?」




「のんびりしてるよ?」




「そっか〜」




 軽く頷き。




「じゃあさ」




 にやりと笑う。




「俺とトレーニングでもするか?」




「トレーニング?」




「おう」




 だがノアは首を振った。




「僕、スキル発現しないんだよ」




「マジかよ」




 アウルが目を丸くする。




 ソフィアが静かに口を開いた。




「レベルに従わぬ理外の存在なら」




「理の力の恩恵も受けぬのが、私の見解だ」




「成程な」




 アウルは頷きながらも。




「まぁそれはそれとしてさ?」




 興味深そうにノアを見る。




「お前がどれくらい動けるのか見てぇ」




「付き合ってくれねぇか?」




 ノアは迷わず頷いた。




「分かった」





 ---




 訓練場。




「まぁ、とりあえず走るか」




「うん」




 並んで走り出す。




 しばらくして。




 アウルが横目で見る。




「動きは悪くねぇな」




「そう?」




「体力はどうだ?キツいか?」




「今のところ平気だよ」




「なら――」




 ニヤリと笑う。




「速度上げるぞ」




 一気に加速。




 だが。




 ノアは問題なくついてくる。




「う〜ん」




「どうしたの?」




「お前、余裕そうだな」




「うん、平気だよ?」




「いや、並の兵士でもキツい速度なんだが……」




 少し考え。




「……ちょい本気出していいか?」




「いいよ」




 さらに加速。




 地面を蹴る音が変わる。




 だが――




 ノアは、変わらず並走する。




「……は?」




 アウルが足を止めた。




 ノアも止まる。




「お前やっぱ人間じゃねぇ気がする」




「そっか」




「魔法は使えんのか?」




「全く」




「ふむ……」




 アウルは一歩近づき。




「動くなよ?」




 ノアの顔面すれすれで拳を止める。




「?」




「反射なしか」




「今の見えてたか?」




「いや?びっくりしたよ?」




「その割には落ち着いてんだよなぁ」




 腕を組む。




「運動能力は高い」




「魔法は使えない」




「動体視力は……並か?」




「まぁ分からねぇか」




 ぶつぶつと呟きながら。




 思考に沈む。




「アウル?」




「あぁ悪い悪い」




 顔を上げる。




「考えちまってた」




 そして振り返る。




「ソフィアはどう見る?」




「ふむ」




 少しだけ観察し。




「まぁ、あれだけの運動能力があれば肉体強度は問題あるまい」




「レベルに換算すれば50は優に超える」




「レベルが無いのは、0ではない」




 静かに言い切る。




「ノアは、私達とは違う存在かもしれんな」




「まぁ……そう考えるしかねぇよなぁ」




 アウルは肩を竦めた。




「アウル」




「なんだ?」




「有意義な検証だった」




「まぁ単純に興味本位だったけどな」




 そう言いながらも。




 その目は、確かな興味で輝いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ