第47話 港町へ
朝。
宿の部屋。
ベッドの中で、ノアはまだぼんやりしていた。
コンコン。
控えめなノック。
「ノア様」
柔らかな声。
ノアは目を開けた。
「……アリス?」
扉を開けて、アリスが入ってきた。
いつもの穏やかな笑顔。
「おはようございます」
「そろそろ出発の準備です」
ノアは身体を起こす。
「もうそんな時間か」
アリスは少し楽しそうに言った。
「王太子殿下は、もう起きていらっしゃいます」
「裏口で鍛錬をされているそうですよ」
ノアは少し驚いた。
「朝から?」
「はい」
ノアは苦笑する。
「……すごいな」
「さすが王太子」
アリスがくすっと笑う。
「ノア様も身支度を」
「朝食の準備ができています」
「分かった」
ノアは顔を洗い、身支度を整える。
そしてアリスと一緒に食堂へ向かった。
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食堂には、すでにソフィアがいた。
席に座り、腕を組んでいる。
ノアを見ると小さく頷いた。
「起きたか」
「おはようございます」
ノアが挨拶する。
ソフィアは短く言った。
「もうすぐ出る」
「今日は港町までだ」
ノアは頷く。
そのとき。
食堂の扉が開いた。
入ってきたのはアウルだった。
軽く手を上げる。
「悪い」
「ちょっと身体動かしてた」
ノアが笑う。
「すごいね」
「朝から鍛錬してたって」
アウルは肩をすくめる。
「まあ習慣だ」
「身体鈍ると嫌だろ」
ノアは感心したように頷く。
それから三人で朝食をとった。
旅の途中の静かな朝だった。
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食事を終え、一行は宿の裏口に集まった。
馬車。
騎士三人。
御者。
ソフィアは馬に跨る。
そして短く言った。
「行程も残り少ないが」
「油断するな」
騎士たちが頷く。
「気を緩めるな」
それだけだった。
「出るぞ」
馬車が動き出す。
宿町を後にする。
街道は穏やかな草原を抜けて続いていた。
アウルが馬車の中で言う。
「昼過ぎには港町だな」
ノアは窓の外を見る。
海の匂いが少しずつ強くなってきた。
やがて。
丘を越える。
視界が開けた。
港町。
海。
帆船が並ぶ港。
馬車はそのまま町の中へ入った。




