表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/97

第21話 共和国の目

 ノルヴァン共和国。




 海洋交易国家。




 アルセリアでも有数の港湾都市。




 リヴァリエ。




 朝の光が港を照らしている。




 無数の帆船。




 交易船。




 軍船。




 情報船。




 海はこの国の血流だ。




 その中心にある建物。




 共和国情報局。




 石造りの静かな執務室。




 一通の書簡が机の上に置かれていた。




 封蝋には見慣れた印。




 海路通信。




「中央島……」




 女が小さく呟く。




 マリア・セルヴェン。




 共和国情報局、上級監査官。




 報告書を開く。




 簡潔な内容だった。




 ──ヴァルディア本土、港町酒場。




 ──中央島補給船の乗組員の会話。




 ──ヴァルグレイン城館に男がいるとの噂。




「……男?」




 思わず声が漏れる。




 中央島。




 アルセリアの中央。




 直径八キロほどの小島。




 だがその価値は巨大だ。




 帝国。




 聖国。




 共和国。




 そしてヴァルディア。




 四つの勢力が睨み合う場所。




 現在その島を押さえているのはヴァルディア王国。




 そして統治しているのが




 ソフィア・ヴァルグレイン。




「王国の剣ね」




 マリアは椅子にもたれた。




 中央島は小さい。




 だがあの島を押さえるということは




 海路を押さえるということだ。




 共和国が長年欲してきた場所。




 だが。




「そこに男?」




 この世界の男女比は一対九。




 男は希少だ。




 だが中央島は軍事拠点。




 常駐しているのは女兵ばかりのはず。




 考えられる可能性はいくつかある。




 漂着者。




 交易船の客。




 あるいは──




 マリアは書簡をもう一度読む。




 噂。




 確証はない。




 だが。




 中央島で起きることは




 小さな話では終わらない。




「調査ね」




 短く呟く。




「追加の報告を集めて」




 部下が頷く。




 窓の外には海。




 そしてその向こう。




 中央島。




「面白くなってきたわね」




 マリアは静かに笑った。




 世界の中心で生まれた小さな噂は




 今、




 共和国の机の上に置かれている。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ