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無貌の神
以上が橘源次郎の身に起こった不運の一先ずの顛末でございます。ご拝聴いただき、謹んで御礼申し上げます。
さて、本日お集りの賢明なる諸兄姉におかれましては、こんなバカな話はあったものじゃないと仰る方もございましょう。時間移動や邪神、旧き神々の眷属たる怪物などいるわけがないと仰る方もございましょう。それで良いのでございます。然して一度終末の歌声が聞こえれば、向きを変えるがよろしいでしょう。
人類こそ最古、或いは最後の地球の支配者と思うべからず、生命と物質からなる尋常なる生物のみが、この世に生きるとも思うべからずでございます。
この警告をどうかお忘れなきように、名状し難きものどものことを常に心に置くことを願います。彼の者どもは、強大にして白痴なる恐ろしい存在であり、外なる空間と、常に我らの傍らに潜んでおります。避けるに越したことはない神々なのでございますれば。
千の異形を取る我に、二度と再びまみえぬよう全ての空間に祈るがいい。そして心せよ。我こそは千の無貌にして這い寄る混沌、ナイアーラトテップなればこそ。




