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【週刊】目が覚めるとそこは…異世界だった!【第6章、連載中。長編にも拘わらず読んでくれてありがとう】】  作者: 鷹茄子おうぎ
第6章 ロスマリヌスの不義

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つるっぱげの男

「ご苦労さま。ちょっと買い出しに行ってくるから」

アミティエは門前で暇を持て余しているゴロツキにそう伝え、邸宅を後にした。


「おう、気をつけてな」

アミティエがここに帰って来ることはもうないが、ゴロツキはそれを知る由もない。可愛い女の子に声を掛けられたこともあり、ご機嫌で送り出してくれた。


道中はそれとなく追跡を警戒していたアミティエだが、誰にもつけられてはいないようだ。これまでの行いが功を奏したな…おかげで特に問題もなく『フォルノノンノ』に戻ってこれた。


こういう時にはどう動けばいいのか…それは誰もが分かっている。アミティエはいつものように厨房に入り、てきぱきと回し始めた。エザリアさんは用事でも思い出したかのように立ち上がり、2階へ上がる。


「上で少し寛ぐか…」

「そうですね」

フリゼルは伸びをしながら立ち上がり、サラビアも同調した。2人は他愛もない話をしながら2階へ上がっていった。


そうしてごく自然に2階の個室で合流すると、エザリアさんが魔法の呼び鈴を鳴らした。それを受けたアミティエが、人数分の紅茶を淹れて2階へ上がる…上手いことやるもんだぜ。こうして誰にも怪しまれることなく、4人は2階の個室へ集まった。


アミティエのもたらした情報には、誰もが驚きを隠せなかった。すぐにワルホルムに知らせる必要がある…そう判断したエザリアさんは、精巧な装飾がされたコップを2つ手に取った。


それは急を要する場合にのみ使う伝声の魔法具だ。相手はワルホルム、当然だな。どうやらワルホルムは東部方面の拠点で書類の山の始末をしていたようだが、報告を受けるとすぐに『フォルノノンノ』にやって来た。


それからエザリアさんは、朝の会合を終えてコテージで寛いでいた俺達を呼びに来た。そうやって俺達は再び2階の個室に集まった。


ここは華やかさの中にも落ち着きがある大人の雰囲気の部屋。壁際の棚には芸術作品がいくつも展示されている。例の伝声の魔法具も、さりげなく置かれている。こういう部屋だからこそ大丈夫という判断なのだろう。


「とんでもないことが判明しました…」

強面のワルホルムが、厳かに口を開いた。何というか…それがよく似合うね。


「シウテクトリ商会のブロメルの正体ですね?」

「よくお分かりで」

俺達を代表して、ユリーシャが確認してくれた。それを受けたワルホルムは、感心したように頷く。


「シウテクトリという名を聞いて、もしやと…そこから黒翼とラデガスト商会の繋がりが類推されました」

そんなことはユリーシャだからこそ分かることだと言っても過言ではないだろう。だから、ワルホルムも驚きを隠せないでいる。


「ブロメルの名を騙るナイトンこそ幽霊分限者。違法な土地転がしでボロ儲けをしている悪党ですな」

ワルホルムはラデガスト商会とシウテクトリ商会の繋がりを簡潔に説明したが、それだけでは不十分だ。ラストピースはアミティエが埋めてくれた。


「ラデガスト商会の会長ナイトンと、がらくた屋の主バラトフは実の兄弟でした」

それは俺達にとっても既知の事実だが、改めて聞くと驚きしかない。


「兄が堅気の商売人で弟がスリ。そんな兄弟が世の中におるとはな…」

これまでに多くの事件を捜査してきたワルホルムにとっても、このような関係は初耳のようだ。


「それから…ヤツらはフィオドラを殺す相談もしていました」

フィオドラはラデガスト商会が抱える秘密を知り過ぎた。それを踏まえると当然の対応だ。それでもアミティエの報告を受けて、一同に緊張が走った。


バラトフはフィオドラを始末することに不満を抱いていた。だが、そうする以外にないことも分かっていた。その腕前を考えると仲間に引き込みたいところだが、レメキのことがあるからそれは不可能だ。それがなくてもフィオドラの過去を知れば、それはやはり不可能だ。


「今日はいつでも出れるように待機しています」

フリゼルは緊張感の中にもある種の余裕を感じさせる表情で表明し、サラビアも力強く頷いた。頼もしいね。そして、それに応えるように、ヤツらの準備も着々と進んでいった。


俺達が『フォルノノンノ』で会合を開いていた頃、あの用心棒らしき男はラデガスト商会に戻っていた。再び裏口から出てきたのはヤツだけではない…同様に腕が立ちそうな者達を数人連れて、例の邸宅へ向かった。


もちろん、その中には因縁の相手もいる。ウォーダンだ。いつものように空を見上げ、にんまりと笑みを浮かべた。気付かれているのは今に始まったことじゃない。だから、気にしなくてもいいさ。


そして、ヴァルキュリアの代わりと思しき者もいる。つるっぱげの男だ。年齢はよく分からないが、ウォーダンの後ろを歩いていることから、この男がウォーダンの新たな相棒だろう。


こいつは俺より頭一つ分は大きいぞ…それだけではない。腕や足、首の太さ、胸板の分厚さ…まるで筋肉という名の鎧を身にまとった重戦車だ。


サクリファスで初めてヴァルキュリア…サラフィナを見た時、彼女は自らの槍を見せつけるように持っていた。だが、つるっぱげは何も持っていないし、あの時のようなヤバさも感じない。見た目だけで十分ヤバいんだけどね…。


ヤツらの準備は万端のように思える。だが、肝心なことが手付かずだ。どうやってフィオドラをここに連れてくるのか?カルルタリチェでは実力行使をしたが、今回はそのつもりはないようだ。ならば、どうする?


こういう時にいらんことをするのがアルクニクス商会だ。今回もその例に漏れなかった。

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