突撃
『国民の祝日』という言葉を疑っているグルクンです!!
今回のお話は、25話の続きになります。一応、26話も読んでもらうと内容理解が進みますよ〜
26話で出てきた《 Chord Name コードネーム: CHOUETTE シュエット》の内容がここで明かされます。
どうぞお楽しみくださいませ〜
それでは、第27話スタートです(^^)
第27話 突撃
昨日の仕事終わりに、総司令部内の射撃場で行った射撃練習は悲惨なものだった。
士官学校時代から射撃の成績が悪かったクロイツの銃の腕前は、卒業後一度も握らなかったことで更に落ちていた。
結果から言うと、装弾数12発の内30%の4発しか的に当たらなかった。たったの4発である。
的までの距離は5mしか離れていなかった。
クロイツが来たことにより、射撃場では佐官の階級章を付けた男が練習に来たということが珍しいようで、ギャラリーが出来上がっていた。
皆が期待を込めて見守っていた中で、この残念な結果だ。マガジンを変えようとした時には、すでにギャラリーは解散していた。
「人の目があるところでは、恥ずかしくて集中できないって…」
悲しい言い訳を口走りながらも的目掛けて引き金を引くクロイツ。
マガジン3つ分の弾を放ったが、当たったのは13発だった。これほどまで低い結果を出すのは、そうそう出来ることではないだろう。それもクロイツは、昨日今日、銃を撃ち始めたわけではない訳だから、最悪85%は当てておきたいものだ。
ちなみにだが、マガジン3つとも的までの距離は5mであった。そのうえで13発しか当たっていない。これ程までに壊滅的なセンスを持った人間が他にいるのだろうか…
合計32発撃ち続けたクロイツは、疲れた様子で射撃を出ていった。
この日、射撃場で練習をしていた兵士達からは《的外しの天才》と裏で囁かれるようになったことを本人は知る由もなかった。
射撃場を出た時には、夕方の6時を回っていた。その時、ちょうどポケットに入れていた携帯端末の通知がなった。
ピロロン!
クロイツが端末を覗くと、ハレル総司令官よりデータファイルが送られて来たようだった。
《Chord Name : CHOUETTE》
身に覚えのない羅列に困惑するクロイツは、不特定多数の目を避けるため、家に帰宅してから内容を確認することにした。
家へと帰ってきたクロイツは、普段ならすぐソファーに寝転がってダラダラするが、今日は言葉数少なく自室へと入っていった。その光景に不思議がるアレンだったが、夕飯を作っている最中だった為、それを無視して鼻歌まじりに料理を続けていた。
自室へと入ったクロイツは、総司令部を出た直後に送られてきたデータファイルを開くことにした。
《Chord Name : CHOUETTE》
・目標を警護している武装私兵が抵抗するようなら射殺しても構わない。その時の責任は私がとる。
なお、本命令書を確認後、直ちに処分すること。
辺境星系防衛艦隊総司令官ハレル・バーモント大将
その内容は、一昨日ハレルから言われた作戦とほとんど変わらなかった。相違点といえば、射殺やむなしという事ぐらいだろう。
何が総司令をそうさせたのか分からないクロイツは、その命令書を確認するとすぐにデータ削除を行った。
あとで世間に露見した場合よろしくないものは原則、見た後すぐに処分しなければならない。クロイツもその方針に習って行ったまでであった。
内容を確認し終えて、データを削除して終わったちょうどそのタイミングで、アレンから夕食ができたとの報告を受けた。
アレンの作った最高に美味しい夕食を済ませたクロイツは、明日の作戦決行に備えて早めに就寝することにした。
夜が明けて新しい日がやってくる。
作戦決行当日、この日のクロイツは遅刻をしなかった。非常に珍しい出来事に、ハレル総司令含めて驚きを禁じ得なかった。
急襲部隊を乗せた装甲車と、彼らを現地指揮するクロイツとレータを乗せた指令車が、辺境星系首都星の中央区郊外にある《不正取得物資保管場所》に向けて走り出した。
ハレルの言っていたスペシャルゲストが乗っているのがクロイツ達の前方を行く装甲車である。
急襲部隊の全員が、覆面をしてヘルメットを被っているので、クロイツはその素顔を見ることはできなかった。
車を走らせること40分。ようやく目標が見えてきた。
目標から500m離れた地点で一度車を停め、ドローンを使ってこの先の警戒網をチェックすることにした。
指令車の天井にあるドローン射出口から発射させる。赤外線カメラやサーマルビジョン等を備えた高性能のドローンは、目標までの道のりとその周辺を周回しながら観測する。異常がないことを確認すると、ドローンを回収して目標まで進むことにした。
例の《不正取得物資保管場所》は、郊外から少し脇に逸れた林の中の小屋が使われていた。これなら、夜に人目を忍んで、横流し物資を出し入れすることができる。
装甲車は少し林に入ったところで、クロイツ達はその真後ろに車を停めた。
ここで初めて、昨日送られた特殊命令書の内容を全員に打ち明けた。それを聞いて唯一驚いた反応を見せたのが、今回クロイツに同伴してきたレータ・パルトノーイ少尉であった。
「射殺って……それはさすがに不味くないですか?」
その言葉にクロイツは補足を入れた。
「レータ少尉、あくまで抵抗したらという限定付さ。相手さんが抵抗しなければ良いってことだよ」
クロイツのその言葉に、急襲の面々はウンウンと首を頷いて同意を示した。
続いて急襲部隊の1人が挙手をした。
「クロイツたぃ…少佐よろしいですか?」
階級を言い間違えそうになった兵士は、誤魔化すように訂正した。隊員より振られたクロイツは、質問をするようにと指をさしてそれを促す。
「射殺の判断は、各自でということでいいですか?」
それにクロイツは、即答で返す。
「もちろんだとも。危ないと感じたら躊躇わず撃て。1人も死なずに帰ってくるのが今日の目標だからね」
そう笑顔を見せながら答えるクロイツに、レータ1人は不安と恐怖が混じった表情を浮かべていた。
作戦開始時刻になり、建物を包囲する形で急襲部隊が接近し始めた。
クロイツとレータの2人は、建物の周囲の安全が確保されるまで指令車に待機することになっていた。
安全確保までに私兵の射殺報告は1人だけだった。
安全の確保ができたとの報告を受けたクロイツとレータは、指令車を降りようと扉を開けた。
すると目の前には自分が去った後、特別偵察艦アネモイの艦長に就任した幼馴染のイヴァンが急襲部隊員の格好をして待っていた。
突然の出来事に驚きを隠せないクロイツは、作戦実行中にもかかわらず声を大きく出しそうになった。それをイヴァンが、すかさず手でクロイツの口を押さえつけた。
「しー!話は後だ。今は作戦を成功させるぞ。そこのお嬢ちゃんは車で待機しておいてくれ。もしもの場合は総司令官に直通回線で緊急連絡を送ってくれ」
イヴァンは、レータをお嬢ちゃん扱いすると、驚きのあまり固まっているクロイツを強引に外へと下ろすと、駆け足で目標の小屋手前まで戻っていった。
1人置いてきぼりにされたレータは、『お嬢ちゃん』という言葉に少しイラッときていた。
(私はしっかりとレディーなんですぅ〜!!)
走って行くイヴァンを頬を膨らませて睨みつけるレータであった。
イヴァンに連れられて小屋の手前まで来たクロイツは、茂みの中で身を低くして突入の機会を伺っていた。
そのクロイツの隣では、イヴァンがサブマシンガンを片手に警戒を行なっていた。
ちなみに、小屋から200m離れたポイントにはスナイパー2人が、スコープ越しに小屋の様子を伺っている。
スナイパーより今がチャンスとの通信を受けたクロイツは、小屋周辺に待機している全隊員に突入を命じた。
次回に続きますよ〜
Twitterでも言ったけど、PVが3000を突破しました!!
毎度読んでいただきありがとうございます!
慢心せず精進してまいりますので、これからも何卒よろしくお願い申し上げます!!
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