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苦悩からの

GWスペシャル!!!!!


今日で特例の更新は終了です。次から通常運行に戻ります!


今回の話は、視点を変えて防衛艦隊総司令部のハレル総司令官にしました。


これまで詳しく書かれなかったハレルの事が書いてありますので、ぜひ読んでください!!!


あまり重要性は無いけども、この後の話を読むときの補助的な感じにはなりますよ。


クロイツの報告を受けたハレルは、どういう反応をするのでしょうか。



それでは第26話をどーぞ!!!


        第26話 苦悩からの



 所変わって、ここは防衛艦隊総司令部内の艦隊総司令官執務室である。そこには1人の男がデスクに肘をつきながら暗い顔をしてブツブツと独り言を呟いていた。


「…まさか前総司令官のマティス先輩が実行犯達のリーダーだったとは。それに目的が亡くなったネリ軍部大臣の懐を潤す為だけのものだったなんて…」


 先日クロイツからの報告を受けたハレルは、あまりの事の重大さと内容の凄さにショックを受けていた。


 ハレルは、命令したからにはクロイツから報告を受ける責任がある。が、不正があった事を政府中枢まで報告を上げなければならない義務も生じている。


 だが、ハレルが暗い顔をしているのはそれだけではない。今回の不正で実行部隊のリーダーをしていた前総司令官のマティスは、彼が現職になる前の上官であり、士官学校の仲のいい先輩でもあった。


 ハレルの中でのマティスは、見た目とは裏腹に謹厳実直(きんげんじっちょく)で親しみやすい人柄であった。その為、周りからの信頼に厚く幅広い交友関係を築いていた。見た限りでは、不正などの邪道には一切縁のない人間だと思っていたが、しかし今回の調査の結果で、それが裏切られる形となった。


 信頼していた人が、その様な事に関わっていたということを知った時の裏切られた感は、実際に受けた人でないと分からないものである。


 学生時代から尊敬していた先輩が悪に手を染めていた事を知ったハレルは、執務用のデスクに隠していたバーボンをグラスに注ぐと一気に煽った。時計の針は朝の10時を指していた。


 ショックのため心がボロボロになった時は、どうしてもアルコールに頼ってしまう。一杯、また一杯と呑んでいくうちに瓶の半分ほど残っていたバーボンは、スッカラカンになってしまっていた。


 いつもは秘書官のおかげで花の良い香りがする執務室も、この日はアルコール臭が充満していた。普段なら『爽やかで仕事のしやすいお部屋ですね!』と言われるところも、この日に限っては『大将、いつもの!』と言いたくなる居酒屋のような空気をしていた。


 瓶を空にし、アルコールのまわったハレルは、執務室の奥にある総司令官専用の仮眠室で休む事にした。何の断りもなく休むのは性格が許さないハレルは、隣室に待機している秘書官に一言断りを入れてから休む事にした。


 秘書官へ休む事を伝えると、秘書官を務める女性は優しく微笑んでから、「ごゆっくりお休みください」と言った。


 仮眠室に入ったハレルは、着の身着のままベッドへと倒れこむようにして身を沈めた。彼が目覚めたのは、それから6時間が過ぎてからだった。


 思っていた以上に眠ってしまったハレルは、まだ眠たそうな目で時計を確認すると、ガバッと飛び起きて頭についていた寝癖を手で慌てて直した。


 寝て起きたら夕方である。朝っぱらからヤケ酒を煽っていたので、今日の分の仕事がたんまりと残っていた。


 急いで執務室に戻ると、部屋の空気は先程とは比べ物にならないほど爽やかな香りで満たされていた。ハレルが仮眠室に入った時、密かに秘書官が部屋の空気を入れ替えていたのである。


 些細な事にも気を使う彼女は、仮眠した後のハレルが仕事をしやすいようにと、ふんわりと優しい香りの広がる花を新たに置いたのであった。


 彼女の心遣いに感謝したハレルは、今度日頃の感謝も込めて何かプレゼントでもしようと思いながら、手付かずの書類に手をつけ始めた。


 仕事を始めたハレルは、先程までとは様子が違った。仕官した時から『仕事の鬼』と言われていたハレルは、尋常ではないスピードで書類を片付けていく。


 仮眠明けして2時間が経った時には、ある程度のものは終わっている状態だった。


 頃合いを見計らってか、秘書官がハーブティーを入れて持ってきた。秘書官は持ってきたハーブティーの説明をしてくれた。


「このハーブティーはタンポポ(ダンディライオン)を乾燥させて淹れたものです。効果としては、肝機能を高めて解毒作用があります。口当たりも軽く、優しい味ですので抵抗なくお飲みできるかと思います。」


 秘書官は、丁寧に説明をしたあと会釈をして部屋を後にした。


 彼女が出た後、ハレルはデスクの上にあるタンポポティーに口をつけた。口に広がるフワッとした爽やかな香りが、張り詰めていた精神を落ち着かせてくれる。何から何までしてくれる秘書官への感謝がハレルの心に募っていった。


 ハレルは、秘書官が淹れてくれたハーブティーのおかげもあって、夕方の6時には全ての仕事を終わることができた。


 ハレルは、帰る支度をして部屋を出ようとしたところ、最後に一つやっていなかったことを思い出してデスクに戻った。


 デスクに置かれている情報端末を操作して、一件のファイルをクロイツの携帯端末宛に送信した。



Chord Name(コードネーム) : CHOUETTE(シュエット)



 翌日行われる物資保管場所急襲作戦の作戦補正案である。昨日、ハレルは遅くまで残ってこれを仕上げていた。


 あくまで補正であるため、本来用意されていた作戦内容と大きな誤差はない。しかし、犯人を1人たりとも逃がさない為の手段がそこには書かれていた。


 クロイツにファイルデータを送ったハレルは、満足した表情をしていた。彼は帰るために執務室を後にする。


 ハレルは普段、自家用車で出勤している。しかし、まだ少しアルコールが残っているハレルは、自宅まで公用車で送ってもらう事にした。


 公用車の手配を隣にいる秘書官へお願いする。


「すまないが、車の手配をしてほしい。今日の帰りと明日の迎えだ。ちょっと体調が(すぐ)れなくてね」


 そう言われた彼女は詳しい理由を尋ねず、デスクに備え付けの端末でパパッとそれを終わらせた。


 手配を済ませた彼女は、ハレルが持っている荷物を手に持つと総司令部前に停まっている公用車まで持って行ってくれた。


 ありがとうと伝えたハレルは、車に乗り込むと自宅への帰路につく。



 自宅へと帰ってきたハレルを彼の妻とまだ幼い末娘が出迎えてくれた。


「おとーさん、おかえりー!!」


 無邪気な顔をしながら両手を広げて駆け寄ってくる可愛い娘を、ハレルは大きな手を広げて受け止める。


 娘を抱き上げたハレルは、妻へただいまのキスを軽くすると、抱いている娘を妻へと渡して自室へと入った。


 部屋へ入ったハレルは荷物と制服を投げ捨てると、壁に掛かっている写真と机の上にある写真を箱の中へと片付け始めた。


 その写真には、若き日のハレルとマティスが写っていた。


 写真を詰めた箱は、封をして屋根裏へと運んだ。彼の中では二度と表に出さない決めていた。しかし、それは彼の死に際、娘によって破られる事になる。その話は遠い未来でのことになるから、今は語らないでおこう。


 自室を出たハレルは、家族の待つリビングへと足を運んだ。テーブルの上には美味しそうな料理が所狭しと並べられていた。


 今日が娘の誕生日だということを忘れていたハレルは、テーブルに並ぶの料理の数を見てハッと思い出した。


 罪悪感が押し寄せてきたハレルは、席に着くと早々娘に対して謝罪した。


「ジュリーすまない!誕生日プレゼントを買うのを忘れてしまった」


 テーブルに打ち付けるような勢いで頭を下げるハレルを見ていた娘のジュリーは、気にもしていない様子で


「ジュリーは、だいすきな おとーさんといっしょに ごはんを たべれるだけで うれしーよ!」


 そんな娘の言葉を聞いた、ハレルの目には大粒の涙が浮かんでいた。それが頰を伝って膝へと落ちた時、ハレルは自分が泣いているのに気がついた。


 娘の前で情けないと思いつつも、その涙が止まることはなかった。衝動的に娘の元へと移動したハレルは、力強くジュリーを抱きしめる。


「おとーさん なかないで…」


 その言葉でさらに涙が出てくる。あまりにもそんな娘が愛おしいく思ったため、ハレルの抱きしめる力が強くなる。


「く、くるしいよ…おとーさん」


 ジュリーに言われて力を緩めたハレルの顔を、彼女の小さな手が優しく撫でた。


「おとーさん、どこか いたいいたい なの?」


 ハレルは、ジュリーの頭をソッと撫でると笑顔を作って彼女に答えた。


「もう大丈夫だよ。ジュリーのおかげて良くなったからね。ありがとう」


 その光景を微笑ましく見ていたの妻のコレットは、ハレルに席へ着くようにと言った。


 ハレルが席に戻ると、コレットはお手製の料理を彼の取り皿へとよそった。


 食前の祈りを捧げたあと、料理を口にする。


「今日も美味しいよコレット。お陰で疲れも吹き飛ぶよ」


「そう?今日はよりを込めて作ったから最高の出来前よ!たくさん食べてね?」


 ハレルに褒められたコレットは、嬉しそうにそう答えた。母の喜ぶ顔を見たジュリーは、自分も父に負けじと褒めようとする。


「おかーさんのごはんおいしぃーよ!でもグリーンピースはいらなーい…」


 そう言われたコレットは、優しい表情をしたまま語りかける。


「好き嫌いする子は大きくならないわよ?お父さんは好き嫌いする子は嫌いなのよ?」


 最後に脅しのような言葉を吐いたコレットにハレルは驚きを隠せなかった。コレット言葉を信じたジュリーは、涙目になりながらハレルへと確認をした。


「おとーさんはすききらいするこ きらい?」


 その問いかけに全力で横に首を振りそうになったハレルをコレットがキッと睨みつける。それに気がついたハレルは、軽く咳払いをしてジュリーへと答えた。


「そうだぞ〜、好き嫌いする子はお父さん嫌いだぞ。ジュリーもお父さんみたいに強くなりないなら、好き嫌いせずに食べないといけないよ」


 ハレルの言葉に満足したコレットは、自分のお皿にある料理を食べ始めた。それを確認したハレルは、ホッと胸を撫で下ろした。


 ハレルの答えを聞いたジュリーは、何かを決心した顔をして


「わかった!ジュリー、すききらい しない!グリーンピースたべる!」


 言葉一つで踊らされる幼い娘を可愛く思ったハレルは、今まで心の中にあった絶望感が埋められたような気がした。


 この後の食事は楽しいものとなった。可愛い娘の成長も目の当たりにできたハレルは、満足して就寝することができた。



 これより話はクロイツへと戻る。

というわけですね。


次は6日(日)10時に更新予定です。


クロイツに視点が戻ります!そしていよいよ急襲作戦実行です!


ハレルの送った《Chord Name : CHOUETTE》はどういったものなのでしょうか。


次回、明らかになります!


それでは日曜日お会いしましょ〜(^^)


Have a nice weekend !!

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