第23話 物語の結末
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追記 22話ではるあきを晴明に直し忘れていたのですぐに修正します!
第23話 物語の結末
此処には夜がある、彼女だけは此処に残っている
光はなく救いもない、あるのは永遠の暗闇のみ
だがそれで良かったと思っている、そうでなければ光を求めてしまうから、この身はすでに闇に染まったのだから
葛の葉はただ1人戦場で時を待ち続けている
三体の幻想種はもういない、そして怪異達もまた彼女の妖力では維持できない
永遠かと思われた夢が覚める時が近づく
「ようやく来ましたね、晴明」
もはや彼女は葛の葉ではない、闇に取り憑かれその身を矛盾に置いたもの、そう彼女はもう母親ですらないのだ
「此処に来るまでに何度も助けてもらいました、ある者は貴方を救おうとした、またある者は私を救おうとした、またある者はどちらも救える可能性を求めた、私の決断はとうに決まっていました<どちらも救われない>それこそがこの世界の戦いの在るべき姿を歪ませた私達の運命です」
きっと此処に彼がいたのならこう言ったであろう
「俺は滅びのためにその身を母の元に行かせたわけではないぞ、お前がしようとしていることはただの贖罪だ、運命を変える力を持つのが人であろう!」と
晴明は思っていた、どんな奇跡があろうともこれほどまでに歪んだ物語を変えることなど出来ないのではないかと
「その考えは正しいと我は思うぞ、我は貴方を殺す、そこに意味など必要なくここで2人とも無惨に散っていけばよいのじゃ!」
妖気が増す、光は飲まれ闇と化す
「だが私は彼の力を受け取りました、ならば人として運命に抗わなければならない!」
晴明の体を纏う力が変わる、妖力と魔力が交わる
この力こそ彼の持つ運命を捻じ曲げる力である
「愚か者ですね、そのような力を持っていたとしても我には敵わぬというのに、我が魔の伝承を此処に、我が身は偽りなり故に汝我を傷つけること能わず<闇の荊-影縫いの盾>!」
荊が葛の葉を包み込む、それは傷つけた者に対価を払わせる究極の守り、彼はこの魔法で自らの命を断ち葛の葉を救おうと思っていた
「それを貫けば私は死ぬでしょう、さてどうしたものか...」
その時式札から声が響く
「どうするか、そんなものは決まっているだろう、物語をここに紡ぐ、それは厄災を撃つ聖なる矢<魔を穿つ聖槍-ラシアス>!」
闇を祓う光を宿した槍は闇の盾など容易に砕くのであろう、だがそれは破壊をするのみで代償からは逃げることなど出来ない
屋敷のあった場所から放たれたそれは闇の盾を裂き砕ける
「アンデルセン君は何故、あれを破れば代償が...」
「お前の戦いなのだろう?だったらお前以外の誰が終わらせる!」
闇の棘が放たれる、聖槍に破られたそれの持つ魔力は果てどない
「物語をここに紡ぐ、それは矛盾の断片<決して破れぬ盾-金剛>!」
黄金に輝く盾、それは矛盾に落ちた闇に対抗する絶好の手段である
矛盾、それはかつてある商人が売っていた矛と盾の物語、決して破れぬものなどあるはずがない、だが彼が紡ぐ物語の盾は破れぬ盾なのだ
棘がアンデルセンを直撃する、煙が晴れたそこに彼は立っていた
「残念だったな葛の葉、俺は闇にだけは負けない、終わらせてこい晴明!」
闇は絶たれた、もはや彼女を守るものはない
「それを破っただけでは我は殺せぬぞ?、我が魔の伝承を此処に、空を裂き天より至る数多の光よ罪人を裁きたまえ<妖々樹雷-ロンゴルキア>!」
雷樹が晴明に向かう
「晴明、貴方の力を使わせてもらいますよ、妖より出でて魔に帰るは解放の力なり、切り裂くは闇に堕ちし魔<雪原に咲く花-雪華斬>!」
氷の魔法、その属性相性上雷の力に対しては部が悪い、だが氷の刃は雷樹を切断、氷結させ氷の華と化す
「雷が氷に劣るとでも言うのですか、そのような妖術を我は知らぬ!」
「人でありながら人の力を手放し妖力のみを扱う貴方にはわからないでしょう、これこそが私と彼が辿り着いた運命の終着点、妖魔の力です!」
「認めぬ、妖力こそが最強の力であると我が証明してみせようぞ、ロストシンシアよ我に力を!」
身体が矛盾に食い尽くされる、それでも良いのだ、彼女にとって大切なのは晴明をその手で殺すこと、その為ならばその身が焼かれようとそうするのだろう、それこそが愛の矛盾なのだから
「我が魔の伝承を此処に、我が身を無に返そう<無の盃-零>!」
その身を無なかった事にする、確かにそれは最大の代償であろう、だがその行いは矛盾している
無であるのなら矛盾など起きるはずもない
葛の葉の手にある盃に無が注がれる、それを浴びれば最後この世界から存在が消されるだろう
盃から無が溢れる、葛の葉は笑顔で消滅を待つ
「貴方を消させはしません、我が妖魔の伝承を此処に、その思いを受け継ぎましょう<運命を変える力-妖伝魔行>!」
運命を変える事、それは人がなせる業だが晴明のしたそれは生易しい覚悟で出来ることではない
無の雫が落ちた先は葛の葉ではなく晴明だった
「晴明..何故貴方が...」
葛の葉は呆然としている
晴明の身体は無に侵食される、それが意味するのはこの世界での死である
「大丈夫ですよ母上、私は貴方を信じていますから」
その時葛の葉の身体を光が包み込む、矛盾はその身から消滅する
「晴明、私も貴方を信じていましたよ...」
葛の葉が晴明を抱きしめる、すると彼らの周りの世界が反転する
「ここは...私は消えたのではなかったのですか?」
「ここは私の伝承の中です、もう魔力も残っていないので時期に私達はこの世界から消えるでしょう、それでも最後に貴方と話せてよかった」
「私も母上に会えてよかったです、それだけでこの世界で戦って来た意味があります」
「私は道を誤りました、それでもこの結末に辿り着けたのは貴方と仲間たちのおかげですね」
「きっとどれだけ結末から離れていたとしても彼はここまで導いてくれたと私は確信しています」
葛の葉と晴明の手から刻印が消える
「どうやら時間のようです、また会えますかね?」
「ええ絶対会えますよ、その時は彼も一緒に...」
2人の物語が淡い光に包まれて消える
この世界の彼らの物語は終わった、だが悲観する事はない彼らの物語はきっとどこかで続いていくのだから
葛の葉の伝承によって自らを消した晴明、そしてそれによって正気を取り戻した葛の葉
彼らの最期が正しかったのかは誰にもわかりません
でもその結末は美しいものとしておわった、それだけで十分だったのでしょう
ではまた次の物語で




