第21話「黄昏に咲く
第21話「黄昏に咲く」
キュリアスの魔法を受けホームズとアンデルセンは倒れ込んでいる
意識が海の底に沈む、俺はなんで戦っていたんだろう...
「ねえアンデルセン、見て!」
青い髪の少女がアンデルセンにお菓子を見せている
昔、といってもほんの数日前の幸せな記憶、そうだ俺は彼女を救うために...
「あなたはここで散るの?何のために戦っているの?」
海底のさらに底何も見えない暗がりから声が聞こえる
そうだった俺がここにいる理由、それは...
「俺としたことが諦めるところだった、おい探偵もうここには作戦も勝機も無い、それでも戦うか?」
アンデルセンが立ち上がりホームズに問う
「普段なら一時退却したいところだがね、戦おうじゃないかい、何より僕らが逃げたんじゃ他に戦っている者に向ける顔がない」
ホームズも立ち上がる、その表情に自信はないがやる気に満ち溢れているようだった
「へえ思ったよりしぶといじゃない、いいわ全力で潰してあげる!」
キュリアスの周囲に魔方陣が展開される
「今の僕達には君に敵うような魔力は持っていない、だったらどうすればいいと思うかい?」
ホームズの魔力が変わる
「僕の本来の力を見せよう、我が偽りの伝承をここに、これは我が生涯の姿、これは我が生き様<全てを見通す目-トルゥーアイ>!」
その目に見つめられた魔法は存在することをするされない、何故ならその瞳はそれが無いことを証明しているのだから
「魔方陣が消された...確かに貴方の伝承は私にとって天敵でしょうね、でも今の私の魔力は無尽蔵にあるのよ?」
魔方陣が再展開する、無尽蔵の魔力は遠慮なく振るわれる
「だがそれ故にお前は戦況が見えていない」
アンデルセンがキュリアスの背後をとる
「あいつが伝承を使っている間に!」
グリムニアが輝く
「俺はまだ負けられないんだ、物語をここに紡ぐ魔を封じるは聖なる楔<聖域より至る無-シールレミア>!」
楔が打たれる、それは闇を封じるために作られたがある裏切りによって光を封じることになったという悲しき魔法
「これでお前は魔法が使えない勝負ありだな、俺達に従うなら葛の葉を助けるまでは協力してやってもいいぞ?」
アンデルセンの提案にキュリアスの口元が緩む
「面白い話ね、確かにここで負けるくらいなら貴方達に協力して方が賢明だわ、でもその前に1つだけ教えてあげるわ」
パリンッまるでガラス細工が砕けるように楔が散って行く、そしてアンデルセンを吹き飛ばす、衝撃でグリムニアがアンデルセンの足元に落ちる
「私が葛の葉様から頂いた力は変化の拒絶、まさに既に最高の状態の私が受けるべき力よね」
変化の拒絶、それはいかなる魔法をもってしてもその世界の中では決して変わることのない不変の力である
絶望が突きつけられる、微かに残っていた希望すらもそれは容易に凌駕する
「もし貴方たちが負けを認めると言うのならどちらか1人の刻印を渡してもらえれば見逃してあげてもいいわよ?」
アンデルセンの瞳をじっと見つめながら提案する
「それはいい案かもしれんな、どうするホームズ?」
「そうだね、なら僕の刻印を渡そう、ただし盟約を結ぼうじゃないかそうでないと僕は君を信頼できない」
「あら意外と折れるのが早いのね、てっきり争い出すかと期待していたのだけど」
そう言ってキュリアスはホームズの方を向く
一瞬の隙を突きアンデルセンがグリムニアに触れる
「残念でした」
キュリアスの魔方陣から伸びた鎖がアンデルセンとホームズを拘束する
「初めからお見通しってわけか」
「ええそうよ、あらこの本ただの本じゃないわね」
キュリアスがグリムニアを手に取る
「刻印が刻まれている...成る程参加者をここに封印して魔力源にしていたわけね」
キュリアスが鎖を解こうとするが解けない
「貴様何をする気だ」
「この刻印で許してあげるわ、感謝しなさい!」
キュリアスがグリムニアを宙に投げそれに向け魔方陣を展開する、膨大な魔力が魔方陣から放たれグリムニアを貫く、だがそれは傷つかない
「不思議な封印ね、私の魔法でも一切傷つかないなんて」
「当たり前だ、お前にそれは破れん諦めろ」
キュリアスが不敵な笑みを浮かべる
「夢魔の魔法は命を吸うのよ、刻印だけ奪うことなんて造作もないわ」
瞬間アンデルセンの表情が凍りつく
キュリアスの指がグリムニアに近づく、だがその指が触れることはなかった、砂がキュリアスを飲み込む
「させない<白紙へと戻る書-リページ>!」
「嘘でしょ...貴方どうやって...」
アンデルセンが使っている力、それはまさに幻想種バルザのものだ
「そうか、白紙のページを使って自らの存在を置き換えたのか」
確かにアンデルセンの姿はバルザを模している、だがそのような事をすれば世界に拒絶されるのは必然である
「俺が終わらせる<全てを無に帰す混沌の砂漠-バルザカオス>!」
闇を纏いし砂嵐がキュリアスを飲み込む
「闇に落ちた幻想種の力なんて今の私には無駄よ!」
砂嵐が破られる、中から現れたキュリアスは闇を纏う
「まだだ、消えろ!」
アンデルセンもまたその思考が闇に飲まれつつある
闇と闇がぶつかり合う、アンデルセンの魔力が徐々に押される
「俺はお前を許さない!」
アンデルセンが漆黒に染まる
「もうそれ以上はダメだ、あとは僕に任せるんだ」
一陣の風がアンデルセンを貫く、するとアンデルセンの身体は元に戻り倒れる
「すまないな、ホームズ...」
キュリアスは高らかに笑う
「とんだ仲間意識ね、このまま彼を暴走させてたら貴方の一人勝ちだったかも知れないのに」
「それはどうかな?」
ホームズが先ほどアンデルセンを貫いた場所を指差す
「結界が崩壊しかけてる...あいつらしくじったのね」
「これで君の力も通常どおりだ、ここで散ってもらおうか<ウィンドゲイザー>!」
「ただの参加者に幻想種が遅れをとると思わらないことね、風よ巻き起これ!」
旋風がぶつかり合う、魔力量では圧倒的にキュリアスの方が上のはずだ、だが風は均衡している
「お嬢さん最後に1つだけ教えてあげよう、昼と夜が混在する今この時僕の魔力は極限を超える!」
ホームズが黄金色の輝きを放つ
「この魔力、貴方一体....」
ホームズは光を本質としその身を闇へと落としている、故に光と闇が混在し合う今こそその魔力は極地に至る
「この結界の中は光であり闇、闇であり光、まさに真なる黄昏と言えるだろうね、夢魔よ君の救いはきっと果たされるだろう、そしてこの光は君の罪を浄化する、黄昏とは一瞬のひと時なり故に人はそれを奇跡と結びつける<真なる黄昏の輝き-ファントムトワイライト>!」
結界が半壊する、光と闇が混じり合い黄昏の輝きがキュリアスを貫く、この瞬間のみ至る事が出来る黄昏の力、だがそれは偶然ではなく必然である
どんなに長い夜でもいずれは明けるのだから
キュリアスは淡い輝きを放つ
「そっか私負けちゃったわけね、でもいいわそれ程の奇跡があるのならきっと葛の葉様にだって...」
キュリアスは光となり消える
「ああ、彼女も救われるだろうね」
探偵はそう言い残し黄金色の輝きを失う、そして倒れているアンデルセンに話しかける
「それにしても随分と無茶をするもんだね、僕が止めなかったら今頃その存在は消されてるよ」
「あの結界は偽りの世界そのものを内包していた、だったらあの中でなら俺の存在を書き換えても水晶に消されることは無いはずだ、まあお前が俺を止めるところまでは考えていたがな」
「そうだね、彼女は君を止めなければ僕の一人勝ちだと言っていたが実際そんなに上手くはいかないからね」
「そうだな、あの場でお前が俺を止めなかったら奴は逃亡していただろうな、そして暴走した俺はお前を倒して力尽きる、まさにあいつの一人勝ちというわけだ」
「やっぱりそれがわかっててやったのかい?」
「当然だ、そうでもなければいくら俺でもあそこまでの無茶はしない」
アンデルセンは立ち上がり続ける
「あとはあいつらだけか、上手くいくと思うか?」
「もちろんさ、だってこの戦いは彼らの物語だろう?」
「それもそうか」
探偵と作家は別々の方向に歩き出す
「次に会った時がお前の最後だと思っておけよ」
「それはこちらのセリフなのだけどね」
ホームズは苦笑しつつも手を振って去っていく
妖艶なる夢魔は倒れた、残るは親子の物語のみ
次話 道は違えど
ここから先は筆者が今度出す小説の宣伝となります
4/29(日)8:00〜19:00までの10時間の間に30分おきに筆者が「魔法戦争」を中断させてどうにか完成させた「魔眼少女」という小説の一気掲載をしたいと思います
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是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います!
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