第20話「少女の願い」
第20話 少女の願い
まだ魔法が残っていた時代ある少女は願った
「彼を救って下さい、その為になら例えこの身がどうなろうと構いません」
少女は願う権利を持ち合わせていなかった、だがその身を捧げることでいつか叶うかもしれないという可能性を手に入れたのだ
それは一見愚かな行為だろう、その可能性が繰り返す輪廻の中で成就されるまでどれだけの時間がかかるか見当もつかないのだから、だがその少女にはそうするしか無かったのだ、自らの魂を封じてまで自身のことを助けてくれた彼を救う道しか残ってはいなかった、例えその選択が無数の最悪の結末を生むとしても....
戦場東
メディカは一方的に防戦を強いられていた
こっちの伝承は今のあいつには届かない、なら数で攻めて一瞬の隙を突くしかないわね
メディカはいくつもの魔方陣を同時展開する
「あなたにこれが耐えれるかしら?多重展開-プロメテウス、ヴァン、アクア!」
炎、風、水の力が多方向からジョーカーを襲う
「まだまだ足りないですねえ、これでは足りませんよ!」
ジョーカーが1つ1つ器用に魔法の魔力を変質させる
やっぱりこの程度の魔法あいてには空間を捻じ曲げたりはしないわけね
メディカは戦いの中でジョーカーは魔力の変質が可能な魔法は全て変質のみで乗り切っていたことに気づいていた
「そうは言ってもこっちもほいほい伝承を使うわけにはいかないのよね、これでどうにかならないかしら!」
メディカは火風水の異なる属性の魔方陣を重ね合わせるように描く
「無駄ですねえ、私にそれは届きませんよ」
空間が歪む、三元素が捻じ曲げられ消える
「やっと使ったわね、それがあんたの弱点よ<光より速く出でる雷光-ライザ>!」
詠唱と同時に雷がジョーカーを貫く
「私が攻撃を食らった...そんなことが、そんなことがあっていいはずはないでしょう!」
「やっぱり空間の歪曲と魔法の変質の同時使用は出来ないみたいね、だったらこれで終わりよ!」
十を超える魔方陣がジョーカーを囲むように展開される
「吹き飛びなさい!」
魔方陣が輝き魔法を紡ぐ
「終わりですか、それは本当に悲しい、何故なら終わるのは貴方の方だからですよ!」
ジョーカーが狂乱の如き笑い声を上げ自らを取り囲む空間を歪ませる、次の瞬間そこにいたのはジョーカーではなくメディカだった
「嘘ちょっと待っ!」
大量の魔力がメディカを直撃し爆発する、防御無しでそれを受けるのは死に等しい
「なんて愚かなんでしょう!、自分の魔法でその命を落とすなど愚かと言わずなんと言う!」
瞬間光の剣がジョーカーを貫く
「ガッ...馬鹿な...」
煙の中からメディカが光の剣を持って飛び出す
「舐めた真似してくれたわね、楽に殺さないわよ」
メディカは光の魔力を体に纏いジョーカーを斬りつける
「も〜誰の魔法のおかげで助かったと思ってるのかな〜」
魔法がメディカにあたる直前マキアがその属性を光に変えそしてメディカに光の魔力を纏わせダメージを軽減したのだ
「もちろん感謝してるわよ、でも話はこいつを倒した後よ」
ジョーカーは傷を抑え苦しむ、そして突然狂ったように笑い出す
「アヒァハハハ!楽に殺さないだと!誰に言っているつもりだー!<狂乱の宴マジックショー開演-切断するは狂気の刃>!」
10本の剣がメディカに向けて放たれる
「あれはまずいよ〜、魔法なんかじゃない本物の剣だよ〜」
「私の魔法剣に敵うと思ってるのかしらね<光剣-シャインソード>!」
一本ずつ確実に斬り落とす、エレメンタルでありながら剣士としての戦闘にも長けているその姿はメディカがこの世界に来てから見せていなかったものだ
全ての剣を斬り落としメディカは剣の矛先をジョーカーへと向ける
「終わりよ!」
だがその一撃は空を切る
「終わりが来るなら良いではないですか、葛の葉様にはそれすらも持っていないのだから!」
ジョーカーは大量の剣を生み出す
「あの方は自ら終わらせる権利も自らの最後がこの世界に刻まれる権利すらも奪われたのですよ!我らの救いはただ1つ、葛の葉様の人としての幸せのみいぃ!」
ジョーカーは叫びと共に剣を自らに向けて放つ
「まずいわ、マキア全力のエンチャントお願い!」
あれを避けなければ死ぬ、だけどどうやって避ける?奴は私との空間を入れ替えて来るはずだ、なら入れ替えられたその瞬間にあの剣を全て斬り落とす、生存するための選択肢はそれしか無い
グニャリ目の前の世界が歪む、精神を研ぎ澄ませその瞬間に備える
(万が一があったらまた振り出しか...まったく救えるかもわからない願いなんて儚いものよね)
ふと不思議な感覚に襲われる、今まで感じなかったはずのそれにメディカは気づいた
式札から微かに智也の声が漏れる
「そう言うわけだったのね」
メディカの剣が舞う、世界が剣に切り裂かれて本来の姿を取り戻す、そしてジョーカーの放った剣は夢が覚めたかのように消えていく
メディカの立っている世界は陽が出ていた
「夢を見ているのはあんた達だけ、つまり私達はそれに引き込まれ閉じ込められてたってわけよね?」
確かめるようにジョーカーへと話す
「何故なのですダムザ!あなたには期待していたのに、何故敗北などしたのですか!そしてあなたは何故夢から覚めてしまったのですか!」
「残念だったわね、夢はいつか覚めるものよ、あんた達は夢の中で踊り続けてるだけなの」
「ならばそれでいいではありませんか!我らにとって葛の葉様は夢も同然、ずっと見ていたい夢だってこの世にはあるのですよ!」
ジョーカーがトランプで剣を作り襲いかかる
「そんなのは夢が覚めた時に悲しいだけよ、終わりはいつか必ず訪れるものよ、永遠なんて無いんだから」
メディカの剣がジョーカーを切り裂き背後を取る
「大丈夫あなたの救いは私達が必ず叶えるわ、だからもう眠りなさい<シンフォニア>!」
五大元素がジョーカーを飲み込む、灼熱に焼かれ、激流に飲まれ、暴風に吹かれ、光に浄化され、闇に飲まれならがも道化師は微笑む
「そうですか、それは良かった、本当に良かった」
そして狂乱の道化師は光となって消える
「永遠なんて無いか、私が言えた話じゃ無いわよね」
メディカは少し悲しそうな顔をして呟く
彼女が求めているもの、そして少女が願ったもの、それはいつか叶うかもしれないがその物語は今では無い
狂乱の道化師は倒された、次なるは妖艶なる夢魔なり
次話 黄昏に咲く
どうもお久しぶりです、どれくらい前に書いたかも忘れてしまったくらいですが新作の「魔眼少女」を書き終えることが出来ました
そして少しでもこの小説を色んな人に見てもらうためにある企画を思いつきました
それこそがアニメの一挙放送ならぬ、小説の一挙掲載です!
というわけで今週の4/29日の日曜日、朝の8:00〜18:00にアニメよろしく30分に一話投稿致します
またTwitterで#魔眼少女で感想を呟いてもらえれば作者が突撃しに行きます!
是非色んな方と感想を言い合ってもらえればと思います!
作者Twitter https://mobile.twitter.com/atorietsubasa




