「死の刻」
第19話「死の刻」
メディカが戦闘を始めた頃
晴明は怪異達が最も多い中心を目指し進む
「怪異が前よりも強くなっていますね、<昇華-朱雀札>!」
炎が怪異を焼き尽くす
屋敷で私が封印を解かれた時少しだけ感じた違和感、私の勘違いなら良いのですが....
その時一際大きな怪異が晴明の行く手を塞ぐ
「同族同士で喰い合うなど賢くなったものです、私が今ここにいなければ貴方はいずれ怪異の王になれるかもしれませんね、だがそのような未来は存在しない、東西を守護せし幻獣よその力を解放せよ<紅の氷河-青龍朱雀札>!」
かつて都の東と西を護っていたと言われる朱雀と青龍、その二対の力が今重なり合い怪異を消し飛ばす、あまりの勢いに地面が吹き飛び砂煙が舞う
「ほう俺がいなくてもそれだけの力が出せるのか」
怪異がいた場所に人影が立つ
「やはりまだ生きていましたか晴明」
「お前こそ半身を失った状態でよくここまで来れたものだな、俺がここにいることは分かっていたのだろう?」
「当然です、貴方との繋がりはまだ確かに残っている、そこを退きなさいはるはき今の貴方は私には敵わない」
「刻印を所有しているのはお前だ、ならば俺が敵わぬというのも当然の話だが...その繋がりはお前を中心とはしていないのだろう?」
不敵な笑みがこぼれる
刹那晴明の体に鋭い痛みが走る
「結界が破られた...まずいアンデルセン聞こえますか!」
式札からの応答はない
「結界が破れた今この地に蔓延る闇の魔力にお前達は抵抗出来ない、他の者になど頼るな、今お前がやるべきことは俺を倒し母へと辿り着く、それだけだ単純だろう?」
晴明に言われ晴明は戦闘態勢をとる
「ならば早急に蹴りをつけなければなりませんね」
魔力が解き放たれる
「我が伝承を此処に<十二天将-式神乱舞>!」
苦しそうな表情で伝承を放つ
「今のお前にそれを扱うだけの魔力は残ってないのだろう?」
晴明の言う通り十二の式札の中で実体化したのは6体のみである
「それだけいれば貴方を倒すだけなら十分です、行きなさい!」
朱雀、青龍、玄武、白虎、天后、騰蛇、六の式神がはるあきに向かう
晴明は静かに目の前を見つめる
「お前と繋がっている限りこの身は言うことを聞かんか」
式神が晴明の目の前まで迫る
「燃え尽きよ<蹂躙せし煉獄-妖炎不知火>!」
破れぬはずの式神が散っていく
「繋がりが消えた...屋敷がやられましたか」
冷静を装うがその顔には明らかな焦りが見える
「これで枷は消えた、さあ戦いを始めようではないか!」
葛の葉の結界の力が晴明に宿る
「このままでは勝機がない、頼みましたよ智也..」
戦場北
智也とユリアは怪異と戦いながら戦場を走る
「みんなとの連絡が途絶えてるけど大丈夫かな?」
「きっと葛の葉の結界が影響しているんじゃないかな、でも他人の心配をするよりもボク達のことを考えた方がいいと思うよ」
確かにそうだ、さっきから進めど進めど同じような景色が続いていて一向に死の気配の在り処まで辿り着かない
「もしかしてもう既に別の結界に囚われてる...」
智也がそういった瞬間周りの空間が歪み本来の戦場が現れる
「気づいたかそれでこそ戦う甲斐があるというもの」
避けられぬ死がそこに立つ
「ようやく会えたねダムザ、本当は正々堂々と戦いたいところだけどそうは言ってられないんだ、ユリアよろしく!」
「ボクを結界に閉じ込めたんだから相応の報いは受けてもらはないとね<外界を拒絶せし聖者-プロトコロン>!」
光の結界が僕とダムザとユリアを閉じ込める、周りにいた怪異は光の輝きに耐えきれず消滅する
「なるほど我の再生を封じるか、いいだろうただし代償は受けてもらおう<死の刻印-ラムル>」
ダムザが鎌を地面に突き刺すとユリアの体に文字が刻まれる
「魔法の封印か、それが君の新たな力ってとこかな?」
「葛の葉様より頂いたこの力、使うことは無いと思っていたが役に立つとはな」
これで正真正銘の一対一の勝負、ならば勝者となるのに必要な物は技量とそれを補う知性である
「まずは速攻!」
智也がいきなりダムザの懐へと飛び込む
「なるほど、それは良い戦術だが我には効かんぞ」
ダムザは鎌を後ろに回す、カキンッ氷の刃と鎌がぶつかり合う
「見破られたっ!」
そう先程ダムザに斬りかかった智也は氷で出来たフェイク、だがそれはダムザに瞬時に見破られる
「我が見るは魂なり、魂なき身体などただの器よ」
死の使いその字名は伊達ではない、これで僕の考えた戦術の1つは完全に潰された
「これならどうかな<氷装-雪茶花サザンカ>!」
智也の手に作られた刀には花の紋様が刻まれている
「この世界で尚も成長を続けるか、面白いその力打ち破ってみせよう」
刀と鎌がぶつかり合う、洗練された鎌の動きに刀はどうにかついていく、腕だけで言えばダムザの方が明らかに上だ
「まだ足りない、これならどうだ!」
空間に設置されていた魔方陣が輝き氷槍が飛び出しダムザの背後を襲う
「それでもまだ足らんな」
空間が捻じ曲がり大剣が現れ氷槍を受け止める
ダムザは鎌を上空に飛ばし大剣を掴む
「死とは運命なり、故にそれを避けることなど叶わぬ<死の玉簾-紫苑>」
鎌が死を纏い降り注ぐ、その数十数本にも及ぶ
「避けられないのなら挑むだけだ、そんな覚悟はもうとっくに決めてるよ<無法の太刀-氷抜>!」
太刀が死を迎え撃つ、一撃一撃それぞれが偶然であり必然、運命を覆せる者はいつの時代も決まっているものだ、あるものは力を求め、またあるものは知恵を求める、彼らに共通していることは今を生きこの先を見たいという探究心である、ならば彼がここで散る運命は無く死に臆する理由も無い
「死をも超えるか、お前こそがこの世界の鍵だというのなら我が越えよう」
時の水晶との繋がりとは異なる魔力がダムザへと収束する
「キミもわかっているのかダムザ、そしてそれを知りながら智也の前に立つのかい?」
「我の今の主人は葛の葉様である、ならば我らが敵対するのも必然と言えよう」
どうやらユリアとダムザは僕の知らないことを知っているようだがそれは今問い詰めるべきことでは無い
「僕達は葛の葉を救いたいだけだ、それでも戦わなくちゃいけないのかな?」
今更すぎる問いだ、そんなことは僕にだって分かっている、だがダムザが本当に葛の葉を助けたいと思うのなら僕達には違う未来だってあるはずだ
協力して共に葛の葉を救う結末だって
「残念だがその提案は受け入れられん、だがな我は葛の葉を救わねばならん、お前にも救いたいものがいるのだろう、ならば単純な話ではないか、この刹那その瞬間それだけを見切ったものが救いの資格を手にするそういうことであろう?」
「貴方の答えがそうなら僕はそれに応えなくちゃいけない、死の使いよ今一度問おうその選択に悔いは無いのか?」
「勿論だとも、ではいくぞ氷の剣士よ!」
大剣に纏う死が一層強まる、あれに触れれば最後僕の物語は終わる
僕はダムザへと進む、あと一歩踏み込むだけで大剣のリーチの限界を超える、だが逆に言えばそこまで踏み込めばダムザは確実に大剣をこちらへと振るうだろう
「僕はまだ死ねない、その先がどんな物語だろうと生きて見届ける<氷天を穿つ槍-ラグナザード>!」
智也がその一歩を踏み込む
「その首獲ったり!」
ダムザの大剣が振り下ろされる、同時に足元が輝き魔方陣が現れる、大剣の進路上に魔方陣から氷柱が出てくる
「全魔力解放、凍りつけ!」
智也の槍はダムザを貫き氷の魔力を放出する
「グッ、だがこの程度砕け散れ!」
大剣が氷柱を砕きながら智也へと迫る、だがその軌跡は氷によって逸れていく
ダムザが氷槍の放つ魔力により倒れる、その場に立っているのは智也の方だ、だが...
「キミ、その傷...」
智也の頰から一筋の血が垂れる
「いくら逸らしたとしてもほんの少しでもその刃が届けば終わる、だとしたらかすり傷ならつけれるくらいの隙を残せば貴方は絶対にそれを狙う」
智也は倒れているダムザに歩み寄る
「キミは大丈夫なのかい?」
智也は地面に落ちている大剣を拾い上げる、その刃の先端が凍っている
「僕の頰を切ったのは大剣じゃなくて氷の刃だよ」
「だとしても何故...」
ダムザが顔を上げ智也の方を見る、そして納得したかのように言う
「そうか初めから勝敗はついていたということか」
そしてガクリと膝を落とす
「ひとつ聞きたかったんだけど、なんで時の水晶の力を解放しなかったの?あれを使われたら僕なんて一瞬で殺されてたと思うんだけど」
「当然であろう、時の水晶の力を使うということが意味するのは水晶の管理下に置かれるということ、我らは葛の葉様に忠誠を誓った者それだけはこの命が尽きようとも変わらんよ」
「貴方の救いは僕達が必ず成し遂げます」
「そうか、頼んだぞ氷の剣士よ....」
そう言って誇り高き幻想種は淡い光となり消える
智也の活躍により結界の均衡は崩れたそれぞれの救いを胸に秘めた戦いは終結へと向かう
次話 少女の願い
智也とダムザとの戦いもついに決着がつきました、お互いの思いを確かめ戦う姿はまさに戦士ですね
次回はメディカ対ジョーカーです、彼女の過去が少しだけ分かるかもしれませんね
では次の物語で
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