新劇場の着工
前回のヒトデを食べたB級グルメマリコさん
城下でお買い物。変な魚発見。変な魚がペットになる。岐路に着く。
謎フィッシュのシャルロットは、馬車に置いたまま、私達は宿に向かう。
前回と同じ部屋を借り、同様のメンバーで泊まることにした。
食事をした後は、早めに就寝。
翌早朝に、例の白い花を摘みに行く。いつか狩りでファイヤー無双したい。
切花を三十本、収納してもらい、プランターと植木鉢にも数本、土ごと移す。
土に生えてる花は、収納できないので皆で運ぶ。プランターは、結構重たかったけどメル姉さんが「丁度いいトレーニングにだな」っと馬車まで持ってってくれた。
私達は、宿に戻って朝食を済ませる。
出発のため馬車に乗り込もうとすると、またエラさんが麻袋のカイさんにローキックをしている。
前にも見たな、この光景。いや、微妙に雰囲気が違う。カイさんは蹴られているにも関わらず顔を朱に染めている……。この人Mに目覚めたのか!? 蹴っているエラさんも口元がにやけている……。朝から人前で、アブノーマルプレイは止めてください。
二人を放置して、トカゲ族のダンさんに馬車を出してもらう。
馬車が動き出したことに、驚いたエラさん達が駆け寄って馬車に乗り込む。アブノーマルでも冒険者。置き去り作戦は失敗。
馬車の中で、私とカタリナちゃんは、劇場の再建プランを話し合い。
カノンちゃんは、木箱で留守番? してたシャルロットに話し掛ける。
「おはよー、シャルロット」
「っお、っおはよー……」
「わたしの名前はカノン。ほれ言ってみー。カ、ノ、ン」
「っか、かのーん……」
こんな感じのやり取りを繰り返していた。
最初は、気持ち悪い魚位にしか思ってなかったけど、観察していると、舌足らずの子供みたいに見えてきて、意外に可愛く感じる。足生えてるけど。
そんな感じで、特にイベントが発生することも無く、体感で午後二時位にダラの町に着く。
ギルドに着くと寡黙に護衛任務してたコゼットさん、ドリスさんは、帰宅。カイさんは馬車を置きに行く。
中に入るとカタリナちゃんのお父さんが居たので、カタリナちゃんが「大事な話があるから、あとでギルドの酒場で待ってて」っと声を掛ける。
私達は、マスターに報告のため執務室に行く。エラさんがノックして扉を開ける。
「マスター、帰りましたー。これが領収書とかですー。あー、カノンさん城下ギルドで預かってもらった木箱、ここに平積みお願いしますー」
「はいなー」
カノンちゃんが、ドン! ガシャン! っと木箱を出す。やたらと重みがある音がするんだけど……。その箱を開けながらマスターが言う。
「おつかれさん! ガッツリ稼いできたな! ありがとうございます!!」
頭を下げるマスターを横目に、木箱の中を見るとぎっしりと金貨が! この箱、全部金貨なの!? 数億円あるんじゃない!?
そして中身を知らなかったらしいカノンちゃんが「ふぉおぉぉぉぉ!!」っと叫びへたり込む。
そんなカノンちゃんの様子も気にせず、マスターは話を続ける。
「エラ! 金庫に移すからゼノンさん呼んで来い! お願いします! あとお前らにはクエストの成功報酬だ! ありがとうございました!」
マスターは私達に、成功報酬の入った袋を手渡す。
ダンさんは、報酬を貰うとそのまま「ジョーと飲みにいくぎゃー」っと部屋を出る。お疲れ様。
皆が報酬を受け取っていると、エラさんと知らない強面の渋いおじさんが部屋に入ってくる。多分、ゼノンさんとかマスターが言ってた人だ。見た目が怖い。ヤクザだ。
ゼノンさんは何も語らず、黙々と金貨を袋に摘める。働き者らしい。
怖いなーっと思っていたら、マスターが紹介してくれた。
「マリコとカタリナは初めてだったか? ゼノンさんは、前任のギルドマスターだ! 膝が悪くなって引退して、今は金庫番をしてる! 困ったことがあったら相談するといいぞ!」
「ゼノンだ……」
軽く挨拶をする。見た目怖いけどいい人らしい。
挨拶も終えたし帰ろうと思ったら、エラさんが話しかけてくる。
「あー、カノンさん、残りの魔物をついでに、裏の解体所に置いていってくださーい」
「まだ残ってたのか!? 荷物持ち! 悪いけどそれだけやってから帰ってくれ! よろしくお願いします!」
「わかったよー」
そんな訳で、裏の解体所に向かう。
ここでメル姉さん、ベリンダさん、アンネさんと別れる。数日共に過ごした、親交を深めた仲。少し名残惜しいけど、また直ぐ会えるかな。
解体所では、肉屋っぽいおっさんにモンスを渡す。これでこの前の騒動で倒したモンスが、全部捌けたらしい。
私、カノンちゃん、カタリナちゃん、ボニーさんの四人で、カイさんに運転を頼んで、ギルドの馬車で家に帰る。数日振りの我が家。
ボニーさんは、ギルドに残っても良かったのだけど、カタリナちゃんのお父さんに用事があるし「劇場の再建、手伝いますわ」と言ってくれたので、着いてきてもらった。
我が家の庭に、花のプランターと植木鉢を置き、謎フィッシュのシャルロットは、洗い場に水の入った木箱ごと置く。
洗い場の扉を閉めると「っか、かのーん、かのーん……」っと切ない声が聞こえて、カノンちゃんも寂しそうな顔をするが放置する。流石にギルドには連れて行けない。首輪と紐でも買ってこようかな……。
荷物を置き終わったので再びギルドに戻り、酒場でカタリナちゃんのお父さんを待つ。
程なくしてお父さんが現れ、早速ボニーさんが人形の修理をお願いする。
「お久しぶりアルム。貴方も色々大変だったみたいね。会った早々で悪いのだけど、メリアが破損してしまったわ。修理をお願い」
「これはボニー様、ご足労させて申し訳ありません。少々拝見させて頂きますね」
「お父さんボニーさんとお知り合いだったんですか?」
アルムさんは人形を分解しながら話す。
「前から整備をしていたよ? カタリナも知っているだろうけど、僕は北大陸の魔道学校を卒業したあと、ボー国で数年、錬金術師をしていたんだよ。僕は当時の最先端の技術を持ってたから、ボニー様のお爺様に魔道人形のカスタムを依頼されてね。まぁ吟遊詩人で旅してた母さんと出会って、結婚して母さんの実家のダラに引っ越したんだけどね……」
「へー、メリッサちゃんと同じ学校行ってたんだー。いいなぁー」
ふむふむ、カノンちゃん曰くメリッサさんも同じ学校だったらしい。ってことはこの世界の錬金術士って、学校行ってた人ってことなのかな? 今度聞いてみよう。
私がそんな事を考えていると、アルムさんが人形を元に戻しながら言う。
「ボニー様、新たに関節部の作成が必要です。二三日お預かりしてよろしいでしょうか? あと報酬はいか程頂けますでしょうか?」
「えぇ、メリアをよろしくお願いするわ。報酬については、劇場の建築でどうかしら」
「はい?」
アルムさんの目が点になる。状況が把握できてないらしい。カタリナちゃんが立ち上がり、アルムさんに迫って言う。
「お父さん! キノ城で王様に謁見した時に、マリコさん達が王様から多額の褒賞を頂いて、その褒賞で劇団の再興をしてくれる事になったんです! 私達で相談して、色々考えたんです。ベリンダさんから劇場跡地を買い上げて、ボニーさんの魔法で、大まかに劇場を建設してもらうつもりです。お父さんには、劇団員を再集結して、とりまとめをして欲しいんです」
カタリナちゃんは準備していた新劇場の図面を見せ、アルムさんは俯きながら言う。
「カタリナは凄いな。僕と母さんで十年掛かって立ち上げた劇団を、たった数日で作り直すなんて……。これで母さんの夢に一歩近づいたな」
カタリナちゃんのお母さんについては、この前聞いていた。カタリナちゃんが十歳の時に病気で亡くなったそうだ。私と同じ父子家庭。
お母さんの夢は劇団を大きくして、北大陸の帝都で公演する事だったそうだ。
アルムさんは私達にお辞儀をして言う。
「本当に、ありがとうございます。なんとお礼を言っていいか」
「いえ、気にしないで下さい。大切な仲間だし、それに私もカタリナちゃんの演劇のファンですから」
「マリコさん……。ありがとうございます」
私達が劇団再立ち上げの詳細を話していると、ベリンダさんがやってきた。
「おー、良かった、ここに居たか! 劇場の跡地の件、父に了承を得た。五百万で売却が可能だ。契約書も持ってきたぞ」
劇場の跡地って、結構な面積あるけど五百万って破格な気がする。カタリナちゃんも即オッケーをだし即金で契約。
早速、皆で劇場跡地に向かう。アルムさんは、劇団の皆にこの事を伝えるためここで別れる。
劇場の跡地に着くとまだ焼き焦げた建物が立っていて、少し寂しい気持ちになる。
私が干渉に浸っているとボニーさんが「では、始めますわ」っと黄色の人形を取り出す。今から建てるの?
「っえ? 今から建てるんですか? そんなに直に造れるものなんですか?」
「私は建国の母の末裔ですわ。その気になれば建物一つ位、直に造れるわ。でも今日は更地に戻すだけ。明日一日掛けて、建物は美しく造りこみましょう」
建国の母ってもしかして、初めて国を立ち上げた人って意味じゃなくて、魔法で国作っちゃったの? マジッスか……。
ボニーさんが魔法を唱えて、黄色い人形が手をかざすと、地面から巨大な岩の腕が出てきて建物を壊していく。
カタリナちゃんは、沈黙のまま切ない表情してる。きっとこの建物には、色んな思い出が詰まってるんだと思う。私も何も言わず、カタリナちゃんの手を握って一緒に建物が崩れていく様を見守った。
日が落ちる前に、解体作業が終わり、瓦礫も地中深くに埋められ、綺麗な更地になった。
今日の作業はここまでにして、我が家に戻る。ボニーさんも自宅に帰って、また明日ここで落ち合うことにした。
家に帰って、久々にカノンちゃんの手料理を食べる。アリエンヌさんに貰った食材を美味しくいただく。
ご飯を食べた後は、順番にお風呂に入る。久々に一人でお風呂と思っていたら、木箱に入っていた元食材のシャルロットに気が付く。
指でおでこ辺りを突っつくと「っか、かのーん……」と泣くので「私はマリコだよ」っと教えると「っま、まりこ……」っと、ちゃんと私の名前を呼ぶじゃないですか。ヤダ可愛い。
お風呂から出た後は、まったりお茶しながら、劇場の図面の最終確認をする。
ボニーさんが作れるのは、建物だけなので、細かい内装、扉、観客席は、別途用意が必要。
明日は、私とカノンちゃんでメリッサさんの工房を訪ね、カタリナちゃんには、大工さん達を、手配してもらう事にした。話もまとまったのでここで就寝。
翌日は、予定通り私とカノンちゃんでメリッサさんの工房に向かう。
工房に入るといつも通り、白ビキニ姿のメリッサさんがお出迎え。
事情を話すと直に快諾してくれたので、錬金台と材料を持って、一緒に劇場跡地に行く。
劇場跡地に付くと、ボニーさんが空き地に、ティースペースを造って待っていた。こ洒落た石畳がセンスいい。公園みたい。
カノンちゃんにお茶を入れてもらい、まったり雑談していると、カタリナちゃんが大工の棟梁を連れて到着。早速、新劇場の着工に取り掛かる。
カタリナちゃんと頭領さんが、地面に棒で間取りを書いて、ボニーさんが土魔法でコンクリートみたいな壁を造る。
ボニーさんが「ここはアーチ状にした方が美しいし、耐久性も増すわ」っと修正したりを繰り返して、お昼前に建物が大まかに出来上がる。異世界建築マジ早い。
近場の食堂で昼食を済ませて建築を再開。
カノンちゃんと頭領は、大工仲間を呼んで建材を買いに行き、ボニーさんは外観のディティールを微調整をする。
メリッサさんには、お風呂作るために集めていた大理石を、提供して、錬金術で建材に加工してもらう。お風呂も欲しいけど、劇場建設の方が大事。
ただ建物を作るには量が足りないので、私とカノンちゃんでダンジョンに大理石を採りに行く事にした。
ダンジョンに向かう途中で、アンネさんと偶然再会う。一日ぶり。
お手伝してくれるそうなので、一緒にダンジョンの12階層に行く。
カノンちゃんに花を出してもらい、練習がてらファイヤーマリコ状態で、ゴーレムに挑む。
ゴーレム相手に色々試す。当たると爆発するとか、燃え移るとか、応用も多少出来ることが分かった。
アンネさんもナイフで一撃でゴーレムを沈める。ジャグリングしながらナイフ投げたり、この程度のモンスは余裕らしい。
狩るのが早すぎて、アイテムを収納してたカノンちゃんが一番お疲れだった。
私達は、大量の大理石をゲットして建設現場に向かう。建物を建てるってなんかテンション上がる。
劇場の完成で喜ぶ、カタリナちゃんの笑顔が楽しみだ。
※次話まだ未着手です。次回更新は、土曜です。出来なかったらすみません。
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