夢の再出発
前回のお風呂で仲間にセクハラするヘチマーちゃん
お風呂に入る。職業がヘチマーになる。
職業がヘチマーになってしまい呆然としていると背後から足を引きずりながら這いよる麻袋。カイさんだ。
そしてエラさんに上目遣いで質問する。
「エラさん……。さっきカタリナさんに差し上げた無地のギルドカードってもしかしてオレに渡すつもりだったんですか?」
「はぁ? 何言ってんの? 飯くったなら馬車に戻れよ。仕事しろよ」
うわー。エラさんカイさんに対してはマジドSだ。カイさん「すっすみません」っと言い馬車に戻って行く。哀れ。メル姉さんも「風呂に入る」っと離席する。
そして未だ巫女で無くなったことに呆然する私をアンネさんが後ろから抱きつき慰めてくれる。酒臭ーい。
「マリコー。職業欄なんて気にすんなー。私なんてもっとひどいぞ。最初は殺人鬼でその次に暗殺者になって今は討伐者だぞー」
「いや! それ怖いですよ!? ちょっとは気にしましょうよ!」
「そっかー。んじゃマリコに嫌われたくないしいっちょ私も更新するか!」
アンネさんがカードを手に挟んで「当たれ……当たれ……」っとブツブツ言いながら手を開きカードを見る。何を当てる気なんだこの酔っ払い。
アンネ (ガチ百合):69
「なんだ? このガチ百合って?」
「アンネさんランク高! そしてやっぱり危険人物……」
「ん? マリコちゃんこの職業知ってるの?」
あー言わなくてもいいこと言ってしまった。説明するしかないか。
「えーっとガチ百合は女性同士の同性愛者のことです……」
百合の説明をすると突如アンネさんが狼狽する。元々赤くなっていた顔が耳まで真っ赤になって若干涙目になる。
「いやいやいや! 私普通に男が好きだし! 全然女に興味とかねーし! それにマリコの説明だとそれ職業じゃないだろ!? マジでマジで違うからな!!」
おいおい。今更過ぎるでしょ!? かなり距離感近いコミュニケーションしてましたよね? カタリナちゃんが引いたらしく若干距離を広げてるし。
狼狽したアンネさんが言い訳を続ける。
「ほらほら私元々盗賊だろ? 男ばっかりの所で育ったから勿論男が好きだからな! そんな事よりも他のヤツのギルドカード見ようぜ! ほら! そこに転がってるヤツらとか!」
話をそらそうとアンネさんが酔いつぶれて転がっているベリンダさんを指差しそれを見たエラさんが言う。
「そういえばベリンダさんのカード見たことありませんねーギルド登録してるんですかねー?」
「そうだろ!? 気になるよな!? 多分持ってるはずだ!」
必死過ぎなアンネさんはベリンダさんをまさぐる。手馴れている流石元本職。
そしてギルドカード発見したアンネさんがカード見て突如真顔になる。
何が書いてあるか気になって見たので覗いてみる。
ベリンダ・ダラ (処女):54
アンネさんはそっとギルドカードをベリンダさんの懐に戻す。
私はカノンちゃん達の方を向いて言う。
「もう寝よっか」
「うん」
「はい」
私達は客室に戻って就寝。放置してきたベリンダさんがアンネさんに襲われないか心配だけど何かあっても職業欄が別のに変わるしまぁ良いか……。
***
そして翌日目を覚ます。
「っひぁ!?」
気がついて動揺する。私の横で体を丸める様にして寝てる全裸のボニーさん……。
私が思わずビックっと動いたのでボニーさんも目を覚ます。
「ん……。おはよう。マリコさん」
ボニーさんはそう言うと左手で胸を隠しながら「うぅーん」っと言いながら右手を上げて伸びをする。
「おはようございます。っていうかボニーさんなんで私と一緒に寝てるんですか? しかも裸……」
「昨夜はマリコさん達が部屋に戻ったあとアンネさんに沢山お酒を飲まされたわ。その後の事はあまり覚えてない。服を着ていないのは私が敬虔な女神教の信者だから自宅での癖でつい脱いでしまったみたいだわ」
ボニーさんはそう言うと見えてはいけない部分は見えない様に絶妙な角度で動きつつキャリーバックから取り出した白ビキニを着る。
アンネさんなに未成年にお酒飲ませてるの!? 女神教はナチュラルに脱がないでよ。心の準備してないと焦るよ。それに白ビキニがカノンちゃんの違い三角ビキニ、オーダー品か?
「ボニーさんお酒飲んだんですか? そういえば何歳なんですか? 私は十五です」
「私は二十一歳。確かベリンダさんと同じだわ。マリコさんは五つ下……。なんだか妹ができたみたいで嬉しいわ」
「私も姉は居なかったのでそう言ってもらえると嬉しいです」
平然なふりして話してるけど心の中は焦っている。未成年じゃなかった! 見た目明らかに私より下だよ! 十二歳位かと思ってた!
丁度その時カノンちゃんとメル姉さんが扉から入ってくる。
「おはよーマリコちゃん。メイドさんがあと少しで朝食できるって言ってたよー」
「分かったよー。私も準備しないと。顔洗うから桶貸して」
「はいなー」
カノンちゃんから桶を借りて顔を洗いに行く。
洗い戻ってきてもカタリナちゃんが寝ているので今日も悪戯して起こす。
髪の毛を摘んでその先っちょで耳をこちょこちょすると「あ……あぅ。もーマリコさん耳は辞めてくださいよー」っと目を覚ます。ほっこりする。
しばらくするとメイドさんが呼びに来たのでダイニングに行く。若干お酒の香りが残ってる。
ダイニングに入ると二日酔いのベリンダさんがうな垂れていた。顔色悪い。
カノンちゃんが回復魔法をかけてあげると目に見えて顔色が良くなる。
しばらくすると皆席につきメイドさんが食事を運んでくる。
食事はパンと野菜たっぷりな簡素なスープ。ベリンダさんちは朝はがっつり食べない派らしい。
早々に食べ終わったエラさんは「ギルドの仕事行ってきまーす」っとダイニングを後にする。
私達も食べ終わりメイドさん達が食器を下げ始めるとベリンダさんが言う。
「マッシュ・キノ陛下からの褒賞が届いている各自受け取ってくれ」
ベリンダさんがそう言うとメイドさんがプルプルしながら私に袋を渡す。何これ!? 重た!
私はゆっくりテーブルにそれを置いて中身を確認する。大量の金貨だ! 震えが止まらない。
「っカッカノンちゃん! 金貨だよ! これ何枚あるんだろ!? 百枚以上あるんじゃない? いっ一千万円!?」
横を見るとカノンちゃんが私のよりも小さいけど金貨が入ってると思われる袋を持って白目をむいていた。小銭拾いには刺激が強すぎた!
カノンちゃんの肩を揺さぶりなんとか正気に戻して中身を見せてもらうと私の半分位の金貨が入ってる。五百万円くらいか。
カタリナちゃんも小さな袋をもらっており中身は金貨十枚。それでも百万円。大金だよ。
メル姉さんも私と同じ大きさの袋もらってるし王様気前がよすぎ!
この前ベリンダさんのお父さんに百万貰ってギルドの報酬もまだ貰ってないけど三人で九十万だし合算すると千八百万近く持っている事に!?
「どうしようこの大金……」
「わたしこんな大金持ちたくないよー。怖いよー」
「私は父に渡して工房の立ち上げに使ってもらいます」
「カタリナちゃんはブレないねー。ちゃんと目標もって生きてるって感じで偉いよ」
「はい! がんばっていつか必ず劇団ミラを復活させます!」
瞳をキラキラさせながら言うカタリナちゃんを見て私は想像していた。
もし日本に居たときに実家の神社が燃えてしまったらと……。
私は物心ついた時にはお祭りの時に着せてもらえる巫女服が大好きで大人になったら絶対に巫女になるんだって決めてたしそのために勉強もしてた。
もしその夢が理不尽に奪われたら……。想像しただけで涙が溢れてきた。
「マリコさんどうしたんですか!?」
「よし! 決めた! 私も劇団の再立ち上げ手伝う!」
金貨100枚位入った袋をカタリナちゃんの前に置くと隣にいたカノンちゃんも下唇を噛みながら「っん!」っと言いながらカタリナちゃんの前に金貨の入った袋を置く。
メル姉さんがカノンちゃんに「偉いぞ、カノン」っと言って頭を撫でてから金貨が入った袋をカタリナちゃんの前に置く。
普段から割とクールなカタリナちゃんも流石に号泣。
「っひっぐぅ……うっうぅ……っみ皆さん、ぁ、ありがとぅ、ございます……」
「気にするな。それなりに蓄えはある。それにウンバボ族は金なんか無くても生きていけるからな」
「ほらほらー二人とも涙拭きなよー」
そう言うカノンちゃんも泣いてるけどタオルを無限収納から取り出して私達に渡してくれる。
涙を拭いてカタリナちゃんも落ち着いた様なのでこれからどうするか聞いてみよう。
「よかったねカタリナちゃん。これだけお金あれば色々できるんじゃない?」
「まずは劇を演じる場所の確保です。何をするにしてもダラに帰ってから父と劇団の皆を集めて相談してからですが」
私達のやり取りを静観していたベリンダさんもこちらに近づき話に加わる。
「以前劇を演じていたのはこの前盗賊に襲われた場所か? そこなら私の父のが貸し出していた土地だな。建物は火災で傷んで使い道がないから私が話せば安く譲ってもらえると思うぞ」
ベリンダさんがそう言うと今度はボニーさんもこちらにきて言う。
「事情は存じませんが私もお手伝いしますわ。建物の取り壊しや基礎工事なら私の土属性魔法で出来るわ」
そんな感じで皆で意見を出し合いカノンちゃんがメモをとり話をまとめる。
何をするにしてもダラに帰ってからだけどなんかいい感じの劇場が出来そうだ。
***
白熱した議論をしているとお昼前に頃にお客さんが来る。
昨日会った博物館の館長さんと知らない白ビキニの凛とした綺麗なお姉さん。銀の髪飾りがよく似合う、白ビキニの布面積がカノンちゃんよりも少ないのが気になるけど女神教の人っぽい。
そしてベリンダさんに挨拶してから館長さんが言う。
「皆様昨日はありがとうございました。私、大変感動いたしました。本日はマリコ様にお願い事がありまして伺がわせていただきました」
「っあ、はい。何か御用でしょうか?」
「実は聖騎士見習いのフィオナ様がこの度正式に聖騎士に選任されまして明日その式典が行われるのですが式典の後に予定されていた催し物で演奏を依頼していたエリアン楽団が昨夜のマリコさん達の演奏を聞いてすっかり自信を無くしてしまい演奏を辞退されてしまいまして……」
館長さんがそこまで言ったところで横に居た布面積の少ない白ビキニのお姉さんが言う。
「昨日の演奏私も聞かせて頂きました。力強くも美しい演奏。素晴らしかったです。私は女神教聖騎士団の南大陸本部の隊長をしているルチア・コンテと申します。是非とも明日の式典で演奏をお願いできませんでしょうか!?」
うーん。行き成りライブのお願いとは……。私的には楽しかったしやってもいい気もする……。
私が悩んでいるとメル姉さん私に言う。
「フィオナ……確か明滅のフィオナとかいってたな。キノ王祭では私が二年連続で打ち破ったがなかなかの実力者だったな。拳を交えた仲だ。マリコ、彼女を祝ってやってくれないか?」
「うーん。私は構いませんが皆さんはどうですか? 私ひとりで出来ることでもないので」
私がそう言うとみんな軽い感じで演奏やろうよっと返事をする。
承諾に心を良くしたルチアさんが凛とした笑顔になる。大人のグラビアアイドルみたい。日本のビーチにいたら人気者になれるはず。水着だし。
「皆様ありがとうございます! 演奏は昼食後となります。お食事はこちらでご用意させていただきますのでご都合のよい時間にお越しください。教会の者に伝えておきますので」
「はいこちらこそよろしくお願いいたします」
私が軽くお辞儀するとメル姉さんがルチアさんに質問する。
「そういえば聖騎士って今何人くらいるんだ? 聖騎士見習いでも精鋭だから手合わせするにの丁度いいんだが」
「南大陸で聖騎士に任命されているのは私だけです。南大陸で聖騎士が選任される事例は殆どありませんのでこの度フィオナが選任されたことを私も誇りに感じています。聖騎士と手合わせしたいのであれば北大陸本部に百名ほどおります。ただ紛争や異変のあった地域へ日々出動しておりますので会える保障はりませんが」
「そうか私はメルメナメヌナいずれ機会があったら手合わせを頼むよ」
メル姉さんの言葉に館長さんが食いつき「是非ともキノッシオでやりましょう」っと言うがルチアさんは適当に流し用事の済んだ二人は軽く挨拶して退出する。
二人が帰った後は皆でライブの演出を考えたり劇場でもこういうの良いかもっと意見を交換する。やるならお客さんを喜ばせるパフォーマンスしたいし。皆の思い思いの意見が飛び交う。
夕方になるとギルドのお仕事からエラさんが帰ってくる。
明日教会でライブをやる事を言うと怪訝な顔をして言う。
「止めはしませんが一応カノンさんの護衛任務はまだ継続中なんですよー。無理しないでくださいよー」
「っあ、忘れてました。すみません」
ヤヴァイ、すっかり忘れてた。私、給料泥棒であります。
ブックマーク登録・評価いただけると励みになります!




