2話
箱庭の見学を終えて次に【ゴーレムマスター】の力でゴーレムの作成をする。
その前にアイテムボックスの中に片手で食べられる物や飲み物を収納していくと、家の外に出た俺は辺りを見回しながら嫌な予感がする方向を見た。
「休耕地の辺りだな。嫌な予感がするのは……。」
祖父が死んでから相続した家や畑に山の中でも今年は米を育てていない休耕地の田んぼに嫌な予感を感じながら俺は農作小屋に向かいスコップを片手に持って嫌な予感のする休耕地に向かった。
休耕地の田んぼの中に入ると何処が一番に嫌な予感がするのかを感じ取る。
「ここか。この場所に異界の入り口が開くってことか?」
休耕地の真ん中近くに嫌な予感を感じる中でとりあえず今はゴーレムを作ることを始めることにした。
嫌な予感があった場所の三箇所を掘って堀りを作る。あの声が聞こえてまだ十五分くらいだ。残りの時間的にも戦闘準備を考えてそこまで時間を掛けられないが出来るだけ深く掘っていく。
スコップを使って土を掘り、掘った土はアイテムボックスの中に収納して、またスコップで土を掘る。
「凄いな、ステータス。これなら残りの少ない時間でもやれそうだ。」
筋力の効果があったのだろう。スコップを使った土堀りが楽に進み、三十分ほどの時間を掛けてコの字に土堀が出来た。
「残りは十五分ちょいか。まずは武器からだな。猟銃を解析して作った物ならモンスターにも効果があるはずだ。」
【ゴーレムマスター】の力を使ってゴーレム用の武器を作る力を利用して一丁の猟銃を作成した。
猟銃バージョン1.00
装弾数3の猟銃
魔力を消費することで弾丸を装填可能
【ゴーレムマスター】の力で作成した猟銃がこれだ。威力とかそう言うものは分からないが、魔力を消費することで何発でも銃弾を撃つことが出来るのは利点だろう。
「一発試しに撃ってみるか。」
町まで出ないと人っこ一人も居ない限界集落ならではの試射を試してみた。
狙いを少し離れた位置にある木を標的にして引き金を引いた。
「問題ないな。」
作成した猟銃を試しに撃ってみたが、感覚的には解析元の猟銃と比べて変わりない。それどころかステータスの能力値のお陰で今ならかなりの命中精度になった様に思うほどだ。
「これなら問題ないな。時間は、十分もない。急がないと!」
ゴーレムの作成だ。ゴーレムも猟銃を使える様に作るべきだし、その為に指の関節まで動かせるフィギュアの解析もした。
素材に使うのは土堀を掘った時に出た土を使う。土と何かしらの魔力の籠った物を使うのが良いのだが土以外に使える素材はない。
土のみを使って残りの必要な物は大量に魔力を消費してゴーレムの作成を行なうことにした。
「ゴーレム作成。あっ、魔力思ったより使うな。猟銃よりは少ないけど。」
猟銃を作成のにもかなりの魔力を使ったが今から作るゴーレムは猟銃の四分の三くらいの魔力を消費した。
ゴーレム1号機
型 人型
全高 1.5メートル
装甲 土
動力 なし
武装
内部武装 なし
外部武装 なし
女性のマネキンの様な姿。
今現在の【ゴーレムマスター】で作れるゴーレムではこれが限界だ。残りの解析が終われば変わるかもしれないが、今はこれくらいしか出来ない。
「どれくらい消費するかだな。」
動力になる物がないからこそ俺自身の魔力を消費してゴーレムが動くのだが、ゴーレムが動く際にどれくらいの魔力を消費するのかを確かめる。
ゴーレムは俺の思考を読み取ってある程度は動いてくれる。今のゴーレム自体には思考能力がないから毎回俺からの指示が必要になるだろう。
「お、動いた動いた。」
手の指を動かす所から始めて、しゃがむ、歩く、ジャンプするなどの動作確認をスムーズにゴーレムは行なっていくのを見て、関節が動くタイプのフィギュアの解析が良かったのかも知れない。
「問題なさそうだな。次はこれを使えるかもどうかだ。」
そこまでゴーレムが動くのに魔力を消費しないことが分かった俺は手に持っていた猟銃バージョン1.00をゴーレムに手渡した。
「あの木を狙って撃て。」
指を刺しどの木を狙うのかを思考で伝えながらゴーレムに攻撃の目標を伝えれば、ゴーレムはすぐに猟銃を構えて引き金を引いて発砲した。
「惜しい!」
ゴーレムが撃った弾丸は一応目標には命中した。だが、木の幹の真ん中ではなく端にギリギリ命中した。
「ゴーレムが反動を抑えきれなかったのか?まあでもギリギリ命中はしているしな。これで良いか。でも、残りの残弾も撃ってどれくらい命中率なのかは見ておこう。さっきと同じ様に撃ってくれ。」
ゴーレムは俺からの指示を聞いて残りの猟銃の残弾が無くなるまで射撃した。
残りの二発の弾丸はギリギリ命中が一つ、真ん中と端の中間が一つという結果だった。
「あ、これも確かめないとな。」
ゴーレムが持っていても猟銃の装填が可能かどうかの確認だけはしておかないと危ないと確かめた。
「問題はなさそうだな。」
ゴーレムが動く為に俺と繋がっている事もあって俺の魔力を消費する形で猟銃の装填も問題なかった。
これでゴーレムも充分に戦力になることが分かった俺はゴーレムと猟銃の量産を開始することにした。
「思ったよりも出来たな。」
猟銃が九丁、人型ゴーレムが八機、それが今の俺の魔力量で作れる限界だった。
今も【魔力の源泉】の効果で魔力が回復しているのを感じられるが、異界から現れるモンスターの数によっては猟銃の装填に消費する魔力で魔力の回復量を上回るかもしれない。
そんな不安な気持ちになるが、もうあの神の声が聞こえてからあと少しで一時間になる。いつでも異界が現れてもいいように【超直感】の予測で異界が発生するだろう方向に向けてゴーレムたちに猟銃を構えさせる。
俺も猟銃を構えているとまたあの神の声が聞こえだした。
《一時間が経ちました。》
《世界全土に異界を発生させます。》
《人類の皆様、モンスターを倒し、異界を攻略し、来るべき時を迎え、脅威を生き延びる為に強くなってください。》
そんな声が話し終えたのと同時に俺の前に、【超直感】が予測していた位置に、異界に繋がる出入り口と思われる青い発光をした大きな亀裂が現れる。
「来たか!異界!!」
あの青い亀裂が異界の入り口なのだと直感で理解した俺は猟銃を構えて異界の入り口に向けていつでも撃てる様にした。




