19話
この場にいる土製のゴーレム1号機から先ほど作った鉄製のゴーレム1号機へと情報の交換を行なってから、それぞれのゴーレム1号機としての性能確認を行なっていく。
それで分かったのは土製のゴーレム1号機の方が動きが少しだけ速く、鉄製のゴーレム1号機の方が防御力が高くなっていた。
土よりも鉄の方が重さがあるからこの結果なのだと思われる。
「これなら鉄で新しく1号機を作る方が良さそうだな。問題は鉄製に変える際に必要な魔力が多すぎるってことだ。」
まあそれもゆっくりと時間を掛けてゴーレム1号機の装甲を変えていけばいいだけのこと。
それに蟻塚の壁に埋まっている鉄鉱石が多く手に入れば魔力をそこまで使わなくてもゴーレム1号機を鉄で作れるしね。時間が経てば自然と鉄のゴーレム1号機を作れるようになるだろう。
鉄製ゴーレム1号機の性能確認も終えて、俺は蟻塚の巣穴の中で活動しているゴーレム部隊の様子を確認する。
グループ1のゴーレム部隊が酸砲蟻を含んだ兵隊蟻の蟻のモンスターの群れと戦闘を行なっているところだった。
遠距離持ちの危険な蟻のモンスターである酸砲蟻をゴーレムたちは最初に狙っているようで攻撃を仕掛けている。
短槍持ちのゴーレムたちが兵隊蟻たちを牽制している間に、剣持ちと短剣持ちのゴーレムたちが兵隊蟻の間を通り抜けて酸砲蟻たちに攻撃を仕掛けていた。
頭部と胴体の関節を狙って振るわれる剣や短剣で酸砲蟻の頭部が地面に落ちていく。
それで酸砲蟻を全て仕留めた剣持ちと短剣持ちゴーレムたちは背後から兵隊蟻たちに攻撃を仕掛けていった。
前からの槍の刺突、後ろからは剣や短剣を振るわれる兵隊蟻たちはその数をどんどんと削られて、最終的には1匹も逃すことなく蟻のモンスターの群れは全滅した。
「酸砲蟻が何かする前に倒して行ってるみたいだな。あれならほぼ無傷で倒せて行けそうだ。」
蟻甲殻の甲冑の防御力なら兵隊蟻からの攻撃を受けてもゴーレム1号機が致命傷になる攻撃を受けることはないし、あのやり方なら兵隊蟻たちを無視して酸砲蟻を倒すのも納得する。
問題としては騎士蟻がいる蟻のモンスターの群れの場合ではあのやり方では酸砲蟻を最初に倒すことは難しいと言ったところか。
「あ、別の部隊でも戦闘開始みたい。」
別のグループのゴーレム部隊では騎士蟻も含んだ兵隊蟻の群れと戦闘を行なっていた。
今回の蟻のモンスターの群れでは騎士蟻が1匹だけで残りは兵隊蟻が10匹以上はいるが問題は騎士蟻くらいだろう。
騎士蟻に率いられた兵隊蟻の群れがゴーレム部隊に突撃してきた。
牽制に槍を突き出して兵隊蟻の群れの勢いを弱めようとしている槍持ちゴーレム1号機たちだったが兵隊蟻の群れの勢いが止まらない。
それでも槍に突き刺さった兵隊蟻たちが動きを止めたことで兵隊蟻の群れの隊列が崩れている。
そこを狙った剣持ちと短剣持ちのゴーレム1号機たちが前に出て兵隊蟻の数を減らしていく。
数が減っても兵隊蟻の群れの向かってくるスピードは変わらないし、更に兵隊蟻の群れの後ろから騎士蟻までゴーレム部隊の方へと向かってくる。
「あっ……。」
前に出過ぎたゴーレム1号機1機が兵隊蟻3匹に攻撃を受けて動きを止めた。
ゴーレム1号機自体にはダメージは行っていないだろうが、それでも兵隊蟻が3匹も身体に噛み付いて重くて動けない状態なのだろう。
このまま拘束されているゴーレム1号機が騎士蟻の指揮で狙われることになっている様に見える。
ゴーレム部隊はここからどうするんだ?と思って見ていると、ゴーレム1号機を拘束している3匹の兵隊蟻の首の関節が3機のゴーレム1号機の武器に切断された。
兵隊蟻3匹の頭部と切り離された身体が地面に落ちてもまだ動いているが、あれはそのうち動かなくなるだろう。
兵隊蟻の頭部が3つも蟻甲殻の甲冑に付いている状態のゴーレム1号機は一旦後方に下がるようだ。
もう生き残っている兵隊蟻は2匹ほどまで数を減らしており、騎士蟻がどうしようともここからの逆転は起こり得ないだろう。
それでも増援の蟻のモンスターが群れで来たのなら勝敗は分からなくなるかもしれないが。
増援の蟻のモンスターが群れで来ることもなく、それから数分後には騎士蟻も騎士蟻が率いていた兵隊蟻の群れもゴーレム部隊に全て倒されるのだった。
蟻のモンスターの群れがドロップアイテムに変化するまでゴーレム部隊は休憩する様なので俺はまた別のゴーレム部隊の様子を確認する。
別のゴーレム部隊では丁度蟻の巣穴の壁に埋まっている鉱石を取るところだった。
土壁に短剣を突き刺して鉱石の周りを掘っているゴーレム1号機の様子がよく見える。
「ああやって鉱石を取っていたんだ。スコップかツルハシを用意して置いた方が良かったかな?」
スコップもツルハシも蟻の牙や蟻の甲殻を素材に使うことで作ることが出来るけど、それが必要かどうかはゴーレム部隊が全て戻った時にでも聞いてみよう。
そうすればゴーレムたちが必要かどうかを紙にでも書いてくれるだろうし。
一応はスコップとツルハシを作れる様にはして置いて、俺はまた別のゴーレム部隊の様子を確認する。
今度の確認したゴーレム部隊では酸砲蟻と騎士蟻がいる兵隊蟻の群れだった。
ゴーレム部隊のグループに所属しているのはゴーレム3号機も混ざっている部隊。
見ているとゴーレム3号機たちが一斉に蟻のモンスターの群れに向かって酸を噴射しているところだった。
大量の酸が狭い蟻塚の巣穴の空間にばら撒かれていくのが見える。
このゴーレム部隊のゴーレム1号機たちは前に出ずにゴーレム3号機たちが前に出て酸を放っているからゴーレム1号機たちには影響はないが蟻のモンスターの群れにはかなりの被害が出ているのが伺える。
しかもゴーレム3号機たちは酸砲蟻や騎士蟻を狙って酸を噴射した様で酸砲蟻も騎士蟻も既に戦える状態にはなっていない。
そんな中でゴーレム3号機たちが後方に下がってゴーレム1号機たちが前に出て来た。
前衛だった兵隊蟻の群れの最前列ではゴーレム3号機たちの酸弾砲の影響が少ないせいで酸の被害が少なかった。
被害の少ない兵隊蟻たちをゴーレム1号機たちがそれぞれの武器で連携しながら兵隊蟻たちの数を減らしていく。
それから5分もせずに全ての蟻のモンスターを倒して終えて戦闘は終わったが、ゴーレム3号機の酸の影響で蟻塚の通路がでこぼこになっていた。




