16話
ゴーレム3号機たちによる広範囲の酸の雨を降らせる攻撃を中断することにした。けれど、酸の雨で濡れた地面を蟻のモンスターたちは進まないといけないせいで俺たちの方に向かってくる移動スピードが低下している。
そこにゴーレム1号機の射撃が蟻のモンスターに浴びせられているので、当分は蟻のモンスターの軍勢の侵攻範囲が狭まるだろう。
魔力の回復が終わらないかを待ちながら蟻のモンスターの軍勢の方を見ているとあることに気付いた。
「もうあれは駄目そうだな。もったいない事をした。」
蟻のモンスターのドロップアイテムが遠目から見て酸の影響で駄目になっているのが見えたのだ。
これまでかなりの数の蟻のモンスターを倒した。そして得られたはずの蟻のモンスターの素材はものすごく多かったはずだ。
特に魔核だ。
ゴーレムコアを作りのに必須の素材が駄目になったのが、かなり落ち込む。
「あぁ、本当にもったいない。」
ゴーレム3号機による酸の雨作戦は上手くいったけど、ドロップアイテムが駄目になるところまで考えが及ばなかったのは悔しい。
ドロップアイテムが駄目になる事を気付いていても、まあ結局は酸の雨を降らせたのには変わらないだろうけど。
もし酸の雨を降らせなかったら、もっと蟻のモンスターの軍勢に攻め込まれていたはずなのだから。
まあそれはそれとして落ち込んでしまうが、気分転換にアイテムボックスの中に入れていたチョコレートでも口にする。
甘味で気分を上げていく。
落ち込んでいた気持ちも若干少なくなっていく感じもするし、少し精神的にリラックスしている感じもする。
心を落ち着かせながら俺は蟻塚の方を確認する。
「まだ出るのか。いくらなんでも多過ぎない?」
これ、今のところ昨日の異界の入り口から出て来ていた蟻のモンスターの群れよりも、今日ゴーレムたちが倒した蟻のモンスターの方が数が多い。
それなのにも関わらず、蟻塚の方からまだまだ蟻のモンスターが軍勢として出現して来ている。
「あ、もしかして……。」
もしかしたら本来なら今日も蟻のモンスターたちは異界の外に出て来るはずだったのではないだろうか?
そうだとしたらあれだけ蟻のモンスターが蟻塚から現れてもおかしくはないはずだ。
それと完全に蟻塚から蟻のモンスターが出て来なくなったなら、その時こそ蟻塚の中の探索は楽になるだろう。
あれから更に時間が経ち、蟻塚から蟻のモンスターたちが軍勢として現れてから4時間ほど時間が経った。
酸の雨に使った分の魔力も回復して再び酸の雨を蟻のモンスターの軍勢に降らせることを合計6回ほど行なった。
そうして段々と蟻塚から現れる蟻のモンスターの数も減って行き、今現在は最盛期の頃の4分の1以下にまで蟻のモンスターの軍勢は減っていた。
ここまでくればあと少しで蟻のモンスターの軍勢との戦いも終わると思う。
だからもう酸の雨は使わずにここからはゴーレム1号機を中心にして蟻のモンスターを倒して行くように指示を出した。
それから更に1時間ほどして蟻塚から完全に蟻のモンスターは出て来ることはなくなった。
「ようやく終わった。」
蟻のモンスターの軍勢の中で途中で食事休憩だってしないといけないほどに、ここまでの長期戦になるとは思っていなかった。
とりあえずこれでもう蟻塚から蟻のモンスターが出ないだろうと思う。
俺は今のうちにゴーレム4号機以外のゴーレムたちに、蟻のモンスターの死骸や蟻のモンスターのドロップアイテムの回収をする様に指示を出した。
そしてゴーレムたちの中で回収の指示を出していないゴーレム4号機たちには蟻塚の監視と蟻塚から蟻のモンスターが出てこちらに向かって来た時に倒すように指示を出しておく。
ゴーレムたち全体に指示を出し終えた俺はゴーレム4号機以外が集めてきた蟻のモンスターの死骸やドロップアイテムをアイテムボックスへと収納解体を行なっていった。
やっぱり中には酸の影響で駄目になっていたドロップアイテムが多数あったせいで、そう言ったドロップアイテムは全て破棄することになってしまった。
もったいない事をしたな、と思いながらもアイテムボックスの中の駄目になった素材は破棄していく。
最終的に蟻のモンスターの素材は多数手に入ったし、使い物になる魔核は2861個だったことから考えて、それ以上の蟻のモンスターの群れと戦っていたのだろうと思うと感慨深いものがある。
本当によくあんな数の蟻のモンスターの軍勢を倒せたものだ。
これで戦場の蟻のモンスターの死骸と蟻のモンスターのドロップアイテムも終わったことだし、いよいよ蟻のモンスターたちの棲家である蟻塚へと向かって移動を開始する。
その前に異界の外に蟻のモンスターが出ないようにする為に異界の出入り口を守るゴーレムたちに指示を出す。
残して置くのはゴーレム1号機20機、ゴーレム2号機5機、ゴーレム3号機5機、ゴーレム4号機25機を異界の出入り口を守る為に置いておく。
残りのゴーレムたちを連れて俺は蟻塚に向かった。
先頭はゴーレム3号機たちに任せてその後ろをゴーレム1号機に囲まれた俺が進んで行く。
蟻塚の前まで移動して蟻のモンスターが出入りする穴を見る。
「俺でギリギリしゃがまないで進めるくらいの高さ。ゴーレム2号機は通れないな、これじゃあ。」
170センチくらいの大きさの穴の中にまずはゴーレム3号機たちを中に進ませる。
その際に攻撃手段は酸弾砲は極力禁止の指示を出す。酸弾を使った場合は俺が呼吸出来なくなる可能性があるからだ。
ゴーレム3号機、ゴーレム1号機と蟻塚の穴の中に入っていくと、俺もゴーレム1号機たちに守られながら穴の中に入った。
蟻の巣穴に入って思ったのはこれだ。
こんな場所で猟銃なんて使ったら命中しなかった時の跳弾はやばいし、それよりも蟻のモンスターの巣穴は真っ直ぐになっているところが少な過ぎて猟銃は向かないと言うことだった。
「仕方がないな。これは武器を変えるしかないか。」
俺はゴーレム1号機たちから猟銃を回収すると、猟銃に変わるゴーレム1号機たちの武器の用意をすることにした。
本当に良かった。
寝る時にゴーレム1号機たちに色々な武術の動画を見せておいて。
あの時に動画を見せようと思ったのも超直感の効果だったのだろう。




