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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第二章 交わる影、揺れる心
95/121

答え:些事を問わず、森を見ればいい

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

–コンコン


「失礼。」

「は?あんたノックできたの?」

「一応。」


入室早々、フィーらしいといえばフィーらしい。

ひとまずは話せる状態のようで良かった。


「・・・まぁ。いいわ。話せるうちに話すわ。まずは山本梓の魂でしょ?」


「・・・そうだね。あの庭園の世界にあるの?」

「あるわ。隠してはあるけど、あの世界に置きっぱなしよ。あそこにいる妖精にでも聞くと良いわ。もしあの子達がいなくなったら、時間を置きすぎれば魂は消えてしまう可能性もあるから、早めに回収して。」

「分かった。ありがとう。」


ベッドから体を起こす事は難しいらしいが、話す言葉はしっかりしている。


「で?・・・・・あとは?」

「あぁ。攫われた後・・・いや。フィー間違えた。先に別の要件がある。」


「・・・・?どーぞ。」


「ごめん。フィーに黙って勝手に色々やった事は、本当に悪かったと思ってる。ごめんなさい。」


フィーがすぐに話してくれたから、確認事項として優先順位の高かった、山本梓の魂の事について話してしまった。

そして、そのまま攫われた時の事を聞く流れに進もうとしてしまったけど、そうじゃない。


「・・・・・・・・・・・・・・ダメよ。・・・・・私。まだ色々聞きたい事あるの。」

「うん。」


「・・・・・・次もちゃんと会いに来て。もう一度よ・・もう一度・・謝るのは今回でいいから・・・・。でも、次もちゃんと話に来て。」

「分かった。ちゃんと説明する。」


「・・・・待ってる。」

「分かった。」


ちょっと疲れさせてしまったのだろうか、少し眠そうだ。


「寝ても良い。」


「・・・・もうちょっと大丈夫よ。この体はもう目覚めないつもりだもの・・・。」

「それならなおさら、無理をする必要はない。」


フィーに会う前に、コーディが言っていたのはそういう事か。

このまま延命せずに、終わらせるつもりなのだろう。


「・・・ふん。・・・あんたに借りばっかりつくるのは私も嫌なのよ。」

「そうか。フィーから借りなんてないよ。気にしないで良い。」


「・・・・ほんとムカつく。・・・でもそうね。それがあんたって事なんでしょうね。梓の方が分かってる感じがして・・・それはそれでムカつく。私の方が・・・あんたとの時間は長いはずなのに・・・。」

「私も自分の事はあんまり分かってない。」


その後もフィーは「ムカつく」とか「まぁいいけど。」とか、色々挟みながらも最初にフォーラスと関わった時の事を話し始めた。


フィーがフォーラスに声をかけられたのは、私が狙われ始めた時期と同じ、魔法世界4001年頃だったらしい。

どうやらその頃のフォーラスは、イヴではなく、アリス・フォーラスが外部から干渉を受けている事に着目していたらしい。


フォーラス家について話を聞くほど、長男と父の考え方は近いが、それ以外の家族は、バラバラに考えや行動をしていたようだ。

フィーはとにかく面倒な動きのあるブルースを抑えようと、walkerの肉体を探していた目的に合わせて、私の場所を喋ったらしい。


今回さらった時、walkerの子孫生成を目的で、手を出してきたのも結局はブルース。

順応なwalkerの生成方法を探している事は、やはり未だに変わりないようだ。

だが、4014年の事件後にあの男、アディール・クラーレンが接触してきたという。

フィーからすればイヴの事もあり、とにかく嫌だったということらしいが、その時にイヴの魂の事について詳細を聞き、山本梓の魂を奪って姿を消すことにした。

というのが今回の事の顛末という。


「イヴお姉様の事も・・・・・っごほ」

「ずっと喋ってる。一旦ここで休もう。」


「・・・いい。私が喋りたいの・・・・っごほ・・。」


「・・・・分かった。」


ゆっくり話してはいるものの話す量は、フィーがメインなのでどうしても多くなる。

既にここに来てから、数時間が経過している。


本来は休ませないといけないタイミングだとは思うのだが、本人が嫌だというのなら好きにさせれば良いと・・・私は思う。

でも、和が昨日言っていた意味とは、きっと違うと言われてしまいそうだ。


・・・こういう時、和なら何て言うんだろうか。


やっぱり昨日の話も、私は本質的に意味が分かっていない。


「私・・・知ってたの。ファストが・・・あんたに何した・・・か。多分フィフもね・・・。」

「そう。」


「・・・・・だって私達・・・・・部屋となりだったし・・・。なのにあんたは昼間は普通だし・・・・本当意味わかんない・・・ごほっ・・。」

「そうかな。」


「・・・イヴお姉様が・・・あんたの事・・・殺すのなんて・・・嫌でも何度も見たわ・・・・・・。」

「まぁ、あれだけ何回もタイミングがあればね。」


「・・・・・・だから・・・。別に・・・・・・あんたは悪くない。」

「どうだろうね。イヴにとっては正解じゃなかった。」


「・・そんな・・の・・別にいいじゃない。・・・どうみたって・・・ファストが・・・・・。」


それはそうだろう。

あの家で、同じ屋根の下に暮らし、隣の部屋で眠っていたのだから。

全てを隠しきる事など、最初からできる訳がない。


それでも、もしも知らないなら、それが良かったと思っていたのも確かだけど。


「・・ふん・・・・ちょっとは梓より・・・・・分かってるつもりよ・・・。」

「うん。フィーはよく分かってると思うよ。」


「・・・・・・・・・あんたって・・・・へんに・・・お人好し過ぎ・・・。損ばっかりして・・・・・イヴ・・・お姉さまの事だって・・・・分かって・・・・る。」

「楽しい事もあるよ。」


「・・・・・・・・・ねぇ。・・・・・私の方が・・・・・きっ・・と・・・ごめん・・・・・。」

「フィーが謝る事は何もないよ。」


「・・・・ご・・・めん・・・。・・・い・・・じゃない・・・だか・・・。」

「うん。・・・ありがとう。」


フィーの最後の言葉は

多分、分かったと思う。



フィーは、眠ってしまったようだ。

呼吸は浅く、胸の上下もほとんど分からないほどだった。


「……コーディ。」


小さく呼ぶと、コーディ医師はすぐに入ってきて、手首に指を添え、瞼を開いて確認した。

数秒――いや、もっと短かったかもしれない。


「……眠っただけです。けど、このまま“次”に移ると思ってください。」


「…分かった。」


それはつまり、これがこの体では最後だったのだろう。


フィーは話したいことを話せたのだろうか。

今は、何時だろうか。


和が言う通り朝に来なければ、明日まではそもそも無理だった。

おかげで、ちゃんと話せたと思う。


でも、フィーがまだ知りたい、イヴとの最後の部分については、次回謝罪と合わせて改めて説明させられる事になりそうだ。


・・・それで良いと思う。


またゆっくり話せるのなら――それがいい


フィーが寝てる顔は何度も見てきたけど、今の体になってからちゃんと会って話すのは、これで二回目。

前回も会う事はなかった。

その前も、前も・・・・

そういえば魔法世界や基本世界の戦争期では、一度も会ってないかもしれない。

アンジェラはたまに会っていた事もあったようで、フィーの様子や伝言をもらう事はあったけど、そのうちに会おう会おうと思ってるうちに、思ったよりも時間は経っていたようだ・・・


前回梓達と会った時もこうして話した彼女も、以前会った時とはあまり変わりない感じがした。

どこかではフィーに会うと、本当に嫌われたり嫌がられたりする表情や目を向けられると、恐れていたと思う。

いつも「嫌い」とか「ムカつく」とかは言うけど、表情や目は普通だったから、どこかではそれを期待していたけど、イヴの事があって・・・それは今は違うのかもしれないと思っていた。


だから、会いに行くことを・・・私の方が避けていた。


嫌われる覚悟は、なかった。

ただ逃げていただけだ。


昨日和に言われた事も、うまくできたとは到底言える気がしない。

本当は・・・私から何を言うべきだったのだろうか。


「スズ。」

「!・・・あぁ。来たのか。どうした?」


「・・・いや、周りが、お前が動かないから心配してんだよ。」

「?・・・あぁ。そうだな。火葬場は調整したから、回収の連絡をしてくる。」


「・・・・そうか。」


そういえばフィーと話し終えてから、どれぐらい経ったんだろうか?

外の景色が夕暮れに近づいてきているようだ。

今日引き取りに来てくれるか確認しなくては・・・


「あ。スズさん大丈夫ですか?」

「あぁすみません。今火葬場に連絡しますので、少々お待ちください。」


スマホを取り出し、電話が可能な場所へ移動する。

時計を見れば、だいぶ時間が経ってしまっていた。

半日というと、基本世界の方ではもうすぐ日付が変わってしまうだろう。


急がなくては。

そう思ったのに、指だけが一瞬動かなかった。


「すみません。すぐに来れるそうなので、下に運ぶのをお願いしても宜しいでしょうか?」

「分かりました。大丈夫ですか?」

「はい。すぐにこっちに来られるそうなので、多分1時間ぐらいでは向かって来てくれると思います。」

「いえ、そっち・・・分かりました。」


和も私の戻りがあんまりに遅いから、見に来たのだろう。

チャットや電話の通知にも、気が付いてなかった。

申し訳ない事をした。

あとは事務的な手続きだけだから、先に帰らせよう。


病室で待っている和に声をかける。


「和。先に帰っていい。後は片付けて業者にお願いするだけだから、こっちで対応できる。」


「・・・お前大丈夫か?」

「あぁ。本当にずっと座ってただけ。フィーからも色々聞いたから、考え込み過ぎてしまった。返事できずにすまなかった。」


「・・・分かった。じゃあ後は俺の方で対応する。火葬場の人が取りに来た後は?」

「いや、引き渡しだけだ。遺骨についてもそっちで対応してもらう予定。」

「なら、すぐ来るんだろう?一緒に帰ろう。」


まぁそうなんだが、相談所にどちらもいないのも気になる。

和も朝会った時と服装が違う。

だからといって、無理に帰れと言うべき状況でもないか。

良いか。


「…分かった。」


 病院側の片付けもテキパキと進めてくれたので、本当に私のせいで待っていたのだろう。

火葬場の業者も時間通りに来たので、病院の地下で遺体の引き渡しと書類を受け取り、これで終了。

既に魔法世界も半日が過ぎている。

すぐに帰って、今日は流石に出社しよう。


今はそれでいい。

何も考えなくて済む。


「和。待たせた帰ろう。」

「あぁ。通路で帰るか?」

「そうだな。扉を使わせてもらおう。出社に間に合わなくなってしまうな。」


「・・・お前。出社するの?」

「昨日休んでるだろう。急ごう。」


「・・・・・。」


昨日みたいな顔をするが、流石に連日休みは良くない。

急いで相談所に戻り、会社に出社。


昨日の事をところどころで謝りながら、仕事を進める。

今日は目立ったミーティングや打ち合わせはない。

資料整理と昨日分と合わせてのメールの確認や返信。

あとは来週に向けての提案メールと資料作成を進めて行けば、大きな作業は無さそうだ。


「こっちは大丈夫そうか?」

「はい!月曜日からの資料整理は一旦フォルダをまとめて、ドライブに上げたので確認して下さーい。後はメール返信してから、提案とかも一緒に送っちゃいますねー。」

「分かったー。そう言えばお前、今一人暮らし?」


「…はい?」


一通り仕事の進捗報告とこの後の作業について説明したところで、先輩から不思議な質問がきた。


「えっと・・・?なんですか?先輩は家に呼びませんよ?」

「!いかねーよ!いや、お前が昨日休みって会社に連絡してきただろ?あの後、用があって電話したら、知らない男だったから。」

「あぁ。友達ですよー。お見舞いに来てくれた時にでも、電話が来たからとっちゃったんじゃないですか?せんぱーい。プライベートですよー。」

「うっ!分かったよ。わりぃわりぃ。じゃあ後頼む。」

「はーい。」


和か秀人が電話に出たのだろう。

私は、魔法世界の方へ外出してしまっていたし、仕方がない。

無事に平日最終日の仕事を片付け、相談所に帰宅。

ミーティングをいくつか進めながら、改めてフィーの話した内容を整理する。


フォーラス家が動き出したのは、アリスの話とフィーの話、そして私の知っている事から、4001年からということでまずは良いだろう。


4001年

・フォーラス家 恐らくは情報収集時期。

・クラーレンはまだ直接関与していない。

・山本亜季子がアリスに接触?

4007年

・1代前の私が死亡。

フォーラス家にとってはwalker素材

→アリスに素材を繋いだのは実験と思われる。

→フォーラスにとってその時の結果は、どういう結果なのかは分からない。

4014年

・世界消滅

・アリス・フォーラス死亡

・フォーラス家ほぼ死亡

・ブライアンの失踪


そして、フィーが言うにはこの4014年の事件後に、アディール・クラーレンが接触してきたとの事。

アディール・クラーレンは、何故このタイミングで関与をしてきたのだろうか。

 

ひとまずは現在の情報だと、時系列はこんなところだろう。

そう言う意味ではフォーラスはアディール・クラーレンがいなくても、別の目的で元々行動をし始めていたということだろう。

むしろ、アディール・クラーレンが関与してきたおかげで、加速したという感じがする。

非常に迷惑な話だ。


「スズ。飯行けるか?」


「・・・。今終わった。行く。」


1階から和に声がかかり、そういえばミーティングは、数分前に終わっていたのだと気が付く。

次のミーティングまで間もあるので、夕食にしよう。


「スズ!!!元気だった!?」

「キュウ!」

「?あぁ。元気。」


「…あー。記憶は戻ったのよ。」

「あぁ。なるほど。どう呼べばいいのかな?」

「色々考えたんだけど、見た目が日本名だと変だし、アリスでいいかなと思ってるよ。」


なるほど。

急にアリスにはなかった表情で、近寄って来たのはそういうことか。

でも、戻ったのなら良かった。


「分かった。アリスも元気そうで良かったよ。」

「うん!なんか肉体的には若返った感じだから、変に元気になっちゃった気がする。」

「あぁ確かに。まぁ無理せずに。」

「ありがとうー。スズにも会いたかったから良かった!夕飯?私は食べちゃったけど、一緒にいいかな?」


本当に元気そうで良かった。

先日は血だらけで気絶したところまでだったから、その後どうなっているのか気になっていたのに、確認するタイミングがなかった。


「構わないよ。和。ありがとう。ウーノ達も元気そうだね。」

「キュウ!」


和から夕食を受け取る。


「皆元気ダよ。最近は本も色々読んでミテる。」

「いいね。上にない本でも気になるモノがあれば、仕入れてみる事もできるから、教えてくれればいい。」

「アレ以上増やすノカ・・?」

「階段の反対側も本棚にすれば、まだ倍は入ると思うよ。」

「それは本当に図書館になっちゃいそう・・・。」

「尚弥も欲しい本があるみたいだから、日向達に言ってくれればリストにして、発注できそうなのはまとめてしてもらおう。」


本を読むのは、私も嫌いじゃない。

色々な考え方が見られるし、昔の話を思い出すきっかけにもなる。

流石にイヴの書物をあの中に入れるのは無理だが、古本屋にある本も確認してみても良いかもしれない。


「そういえば明日から気温が下がるみたいだから、みんな体調には気を付けて。」

「ね!雪降るかなぁ・・・ちょっと楽しみ。」

「雪見たイ・・・。」

「ユキ・・」

「キュウ!」「キーキ」「キュキュ」


雪が降ると電車が止まるからな。

ここでは、それだけが問題。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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