表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第二章 交わる影、揺れる心
PR
93/170

答え:人の一寸、我が一尺

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

「・・・・ここにいたのか!・・・なんでそのままっ。」

「・・・・・はぁ・・・・やっぱり助けに来たの・・・。来るなって言ったのに・・・・。」

「喋るな。一旦止血する。」


そこは、基本世界でフィーが元々住んでいた場所だった。


まだ部屋はそのまま残していたのか。

外から窓の様子を窺っても、これといった動く気配はなかった。


だから無理やり中へ入ったのだが――そこにいたのは、左手のない血まみれのフィーだけだった。


服を破いて包帯替わりに、フィーの左の腕の根本から体に向けて、無理やり巻き付ける。

動脈を直接押さえるのは難しい。

運ぶしかない。

時間の問題なら、完全な対応を諦めて運んでしまった方がいいだろう。


「先に扉を繋ぐ。立てる?」

「・・・・・・このままでいい。もうこの体じゃない方がいい。」

「・・・まだ話すことがあると思うけど?」

「・・・ふん。次にしたって別にいいでしょ・・・。」


–カチ。


扉は繋げた。


「支える。こっちに体重をずらして。」

「・・・・・私はこの体もう嫌なんだけど・・・。」

「そうすると、場合によってはもう梓やアリスとは、会えないと思うけど?」

「・・・アリスの体は元に戻ったんでしょ。」


一切協力する気がないので、背中に無理やり担ぎ上げる。

抵抗する力は、ほぼないらしい。


「それを認可してもらえるかどうかは、まだ決まってない。」


–カチャ


「・・・・はぁ?なによ。この通路・・・真っ白じゃない・・・。」


「…もうずっとだよ。まずは相談所。そのまま行っても病院に繋いでもらえなさそうだ・・・。」


片手でスマホを確認するが、和からの既読はない。

多分風呂か、または何かあったのか・・・


「ねぇ・・・眠い・・・。」

「寝て良い。病院行きだ。」

「・・・・・だから死にたいって・・・言ってんのに・・・・・通じない。」


–スゥ…


背中の重みが、濡れた布みたいにじわりと増した。


すぐに寝てしまったらしい。

体温はまだある。

急いで運ばないと。


そうして一度、相談所へ戻る扉の前でフィーを下ろし、和を探しに上へ上がった。

だがそこで偶然、アリスと鉢合わせてしまった。

背中も服も血まみれの私を見て、アリスはひどくショックを受けた。


だがその時は、アリスにまで手を回す余裕がなかった。

アリスのことは和に任せ、私は再びフィーを担いで魔法世界へ移動した。


――それが一時間前のこと。


「スズ!」


和が来たようだ。

アリスは大丈夫だっただろうか?


「あぁ。一応イザベルもいるから、何かあれば連絡をくれる。」


そうか。

仕方なかったとはいえ、急に血まみれの人間に出くわしたら驚くし、彼女の場合は連想される事が明確にあっただろう。


…申し訳ない事をしてしまった。


「いや。気にするな・・・彼女はショックは受けていたが、ひとまず大丈夫だ。」


それならいいのだが…

なら次はこっちの事情か。


「・・・フィーを回収した。というよりは、アリスが言った通り自分で逃げてた。」

「・・怪我してたのか?お前は?」

「あぁ。多分逃げるのに、私同様に悪魔の手を借りたのかもしれない。左腕が無かった。

私は何ともないよ。これは全部フィーの血。」

「・・・そうか。フィーさんは今?」

「中で診療中。和のおかげで、すぐに繋いでもらえたから助かった。もうそろそろだとは思うが・・・まだ動きは無さそうだな。」


今の体が嫌か・・・


実際に無くなったのは腕だけだが、それ以外で何かがあったか予想はつく。

圭と迎えに行った時も、フィーは寝室のベッドの上だった。

これが“どちら側”の、そして“誰”の欲望に根差したものなのかは分からない。

だが、前回のやり取りを思えば、ブルースだと考えるのが自然だろう。


あの時あいつに無意味だと言った言葉は、通用しなかったのだろう…


「あ。カイルさんも来たんですね。すみません。お待たせしました。」

「いえ。こちらこそ急にありがとうございます。」


最近の魔法世界の病院でお願いする際には、よく頼っているコーディ医師が扉から出てきた。


「今日はこのまま寝たままとなると思いますので、お見舞いは明日以降でお願いします。」

「分かりました。」

「スズさんに言いあぐねても意味はないので、率直にお伝えしますが、回復は難しいので本人の意識が戻り次第確認はしますが、延命治療をしても長くは持ちません。」


「…無くなったのは腕だけじゃない?」

「えぇ。内臓も一部お渡ししているようで、切った後もないのに中身だけが綺麗になくなっています。なのでそれは恐らくは、本人も既にご存じだと思います。」


なるほど。

腕だけなら魔法世界側の医療でどうにかなると思ったが…

本人もそれも見越して、既に生きる気など無かったか。

・・・それは流石に見ただけじゃ分からない。


「分かった。コーディありがとう。手を煩わせた。」

「いえ、急に血だらけでいらっしゃるからびっくりでしたが、ここは病院ですので大丈夫ですよ。

正直、どのくらい持つかは分かりませんが、少なくとも明日はお話できると思いますので、改めていらして下さい。」

「分かった。よろしく頼む。」


私も服は破れ、血まみれのままだ。

流石にこのままずっとここにいる訳にもいかないし、言われた通り明日来直そう。


「通路を繋げたままだから、こっちから帰ろう。」

「あぁ。スズ。大丈夫か?」

「問題はないよ。それよりもアリスに申し訳なかった。彼女にも明日謝る。」

「いや、流石にしょうがなかった。とにかく帰って風呂だ。」

「そうだな。」


通路から相談所の地下へ戻り、ひとまず着ている服はゴミ袋に入れた。

どうせすぐに風呂に入るし、汚れても目立たなそうな服を適当に着る。


「行ってこい。何か作っておくから。」

「はーい。」


既に静まりかえっている4階5階6階を通過し、風呂場に向かう。


フィーは、このまま本人の希望通りに進む事になるだろう。

それをわざわざ私が無理に延命を希望するのは違うと思う。

それに私だって、そういった選択肢で生きていた。

それなのに彼女のそれを、否定するのもおかしな話だ。


彼女をフォーラスより先に見つけられていたなら、結果は違ったのかもしれない。

けれど、今さらそれを考えても遅い。


…なら、明日彼女に会いに行った時、何を話すべきか。


山本梓の魂の所在について

フォーラスまたはクラーレンから得た情報があるかどうか。


…違う


まずは、謝罪だ。

次の生まれ変わりがある事は、概ね問題ないと思うが、まだ生まれ変わりを確認できるまでは、分からない可能性も今の状況では可能性として残る。

それなら、私が今彼女にすべき事は彼女の求める事に沿う事。

それは彼女が大事にしていたイヴの事を、私が勝手にしてしまった事への謝罪。


「ありがとう。後は適当に食べて片付けるから、和も休むといい。もう時間も遅い。」


既に日付は変わっている。

こんな遅くまで、付き合わせるのも申し訳ない。


「いや。大丈夫。明日はどうするんだ?」


「…もちろん。話しは聞けるなら聞いた方がいいから、帰ってきたら病院には行こうかと思う。」


「・・・?・・・は?帰ってきたらって・・・仕事行くのか?」

「それは平日だから・・・。」


「・・・お前はそれでいいのか?」

「フィーは結局本人も望んでることだ。私にどうこう言う権利はない。

だが、山本梓の魂については、本人に確認を取った方が早いだろうし、なによりフォーラスやクラーレンについて・・・。」

「ちげぇよ!お前はそれで嫌だから、あんな焦って血まみれになって、連絡を待てずにここまで上がって来たんだろ!?」

「・・・」


私は焦っていたのか。


落ち着いて対応をしていたつもりだったな…


そうか。

和からの返信連絡が待てずに、アリスがいる事にも気がつかず上ってきてしまったのか。


「・・・いいや。ちょっと飯食ってからにしよう。俺も適当になんか飲んでるから気にするな。」


「・・・大丈夫カ・・・?」

「あ。すまん。俺が大声を出した。気にしないで、ごめんね。」

「キュウ・・・。」


和室で休んでいたウーノ達を起こしてしまったようだ。

今まで壁を入れる必要性が無かったから、これを機に引き戸でも入れようか。

もしくは、そもそもここに延長して滞在する事になったんだから、どこか部屋でも。


・・・だめだ。

まず食事をすませよう。


「悪かったよ。そんな急いで食べなくても・・・。」

「・・・食器を洗ったら、降りよう。」


とにかく口に突っ込んでしまったが、もちろん和の食事は美味しい。

だが、こうして口調が荒くなる時の和は、案外短気。

この状態を放置しては、ウーノ達も再び心配するし、場合によっては4階からも誰か降りてきてしまう。

とにかく地下へ降りよう。


「さっきは悪かった。」

「いや、それはいい。和に言われて私も気がつく事が多い。助かる。」


「・・・は?焦ってるって、気が付いてなかったって事か?」

「うん。焦ってたんだな。」


「はぁぁ・・・。一日でも早く助けたいって動いて、それでも安全な方法を探してくれたのはお前だ。

その身一つでまた行くと言っても、俺が納得しないって分かってたからだろう?」

「そうだ。結局はフィーの魂が回収できるかどうかは、時間との勝負だとは思っていた。」


「・・・あぁそうか。生まれ変わらない可能性の方が、お前にとっては最悪の結果だったのか。」


フィーがもしも彼らの元で死に、その魂がフォーラスあるいはクラーレン、いずれにいったとしても魂の消滅方法を知っている彼らは、ある意味では私達を本当の意味で殺す事ができる可能性があると言える。

そうと分かっている今、二度目がある事を前提にした行動をとる事は憚られる。


「もちろん。イヴの事がある以上。無事生まれ変わり、問題ないと確認できる時までは、確実とはいえないが、初動にあたる死亡時は阻止できればしたいと考えていた。」

「まぁどっちに重きを置くかはさておき、結局はあいつらの元で死なない事は、達成したって事だよな。」

「そうなるな。」

「それなら、ここに来る途中で・・・仮に死んでしまったとしても、スズにとっては目的は達成したことになるんだろう?

それでも、死なせない為に焦った行動をしたのは、それとは別に死んでほしくないと思ったからなんじゃねぇの?」


既に悪魔の世界を離れた後、フィー自身の通路が使われた履歴を確認できた、あの時。

確かに和の言う通りなら、目的は未確認ながらも達成しているといえる。


なるほど。

私は安全を確認しに行ったのか…

そして血まみれの彼女を見て、焦った行動をした。


「そうだな。恐らく和の解釈で間違いないと思う。」


自分の中で、何かが静かに腑に落ちた。


「・・・まぁいいや。それで、まぁ結果的にはお前たちとしては、良し悪しはそれぞれだろうけど。少なくともまだ話したいことがあるんだろう?」

「あぁ。やま・・」

「違う。それは確かに確認すべきことだけど、違うだろ?」


あぁ。

それはさっきも自分でも考えた事だ。

何故かそういうのは、和の方がちゃんと分かっている気がする。


「そうだな。まずは言えてない謝罪はしようかと思う。少なくとも彼女もそれを待っていてくれていたようだし、私も早めにすべきことだと思う。」


「・・・そうか。なら明日はすぐ病院に行け。仕事は休んでもいいだろ。もちろん、俺が連絡してもいい。」

「あ。いや、・・・その必要は・・・あるのだろうか?」

「俺はあると思うよ。」


そうか。

なら、あるのかもしれない。


「…分かった。じゃあ明日は朝から、病院の方に行ってくる」


「・・・納得してない感じだな。」

「納得・・・。その必要は今は特にないだろうし、ダメだろうか?」

「いやダメとか、ダメじゃないとか。じゃないんだけどさ、お前の場合は状況をちゃんと整理しすぎてて、感情というか本当はスズ自身が優先したいと思ってることを、後回しにしてる感じがするよ。」


感情。

私がそうしたいと思っていること。


「そうか・・・」


だが、それらは私個人の優先順位であって、例えば今回の場合、それはフィーの優先順位には当てはまらない。

彼女は実際に自分の力で逃げ出して、自分の希望で死を選んだ。

そこに何故私の希望を考える必要があるのだろうか?


・・・でも、何か違うらしい。


「スズ。俺はお前に怪我しないで欲しい。」

「?・・・あぁ。分かった。気をつける。」

「スズ。できるだけ死なない道を選んで欲しい。」

「分かった。」


「そういう事を俺に言われて、スズはどう思う?」


「・・・気をつけようと、他の選択肢を考えたり・・・」

「違う。嫌か?なんで俺の願いを聞いてくれる?」

「何で・・・和が大切だからかな、あまり無理難題でない限りは、できるだけ叶えたいと思っている。」

「う。」


和が胸を抑える。

何か違うらしい。


「唯一無二の存在に対して、私ができる事は数が少ない。・・・それぐらいだから?」

「ぐ…」

「悲しませるより、笑顔でいてほしいから?」

「うっ」


「…後は、えっと・・・」

「待て待て、すまん。間違ってると言ってる訳じゃない。」


違わなかったらしい?


「俺はフィーさんの事をあまり良く知らないけどさ。イザベルが言うように、ツンデレな気はするよ。

本当に嫌いな相手に、わざわざ「助けに来るな」なんて言わないだろうし、謝りに来いってのもそういう意味なんじゃないのかな?」

「謝りに来いは、謝りに来い?」


「…何で他の部分ではフィーさんの事を、きっとよく分かってると思うのに、一部鈍感になっちゃうんだろうね。お前は。」


違うという感じらしい。


「俺とお前とは関係は違うけどさ。お前の希望、望みもやってみればいいと俺は思うけど?

別にフィーさんが、すぐ会いに来てもゆっくり会いに来てもどっちでも良いと思ってるなら。

それこそ別に、スズがやりたいようにやったって良いと思うし、スズがフィーに望むことも嫌でなければ、まずは伝えてみたっていいんじゃないかな?・・・と言うのが、俺の意見。」


迷惑のかからない範囲なら、好きにやればいい。

私が嫌じゃなければ、伝える。


…私はフィーに何を伝えたいのだろう。


謝罪はもちろんだけど、他にもあるのだろうか?

私はフィーに・・・助かって欲しかったと思った。

だが、これは彼女の希望とは真逆。ならば、伝えるべきじゃない。

なら、再び・・・また会えることを待ってると伝える?

これは迷惑だろうか・・・。ちょっと迷惑そうな顔が予想できる。


そうしたらなんだろう。

和を参考にしてみようか。


心配した?


怪我をしてるのみて、驚いた?


手当もせずに部屋にいて…


もしも私があの部屋へ行かなかったら、あのまま一人で息を引き取っていたのだろうか?


…これは希望とか望みではないな?


「難しいな。今パッと考えたが迷惑がりそうだし、それを伝えたいかと言われると、いまいち違う気がする。」

「まぁよく分からないけど、そういう表情はするかもな。でもさ多分だけど、嫌われないよ。

お前が彼女の為に願ったり、思ったりした事はなんだからさ。」


「…そうか。」


「まだ、思う所はあるみたいだが、今日も移動し続けて疲れただろう。話を長くして悪かった。ゆっくり休め。」

「いや。ありがとう。和もおやすみ。」

「おやすみ」


とはいえ、やっぱり寝室に行く気にはならない。


和を見送って、このままソファで寝よう。


朝は会社に連絡して…


–ゴン


痛い。

右手をぶつけた。

今さら右側にあるものを見落とすなんて。

しかも、自分の部屋で。

今日はもう早く休もう。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ