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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第二章 交わる影、揺れる心
87/122

答え:今は一刻の草枕に

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

白い景色が目の前に広がる。


風はそこまで吹いていないが――これは・・・


吐いた息が白く広がり、空気が肌を刺す。


「・・・寒い。」


季節柄、出る場所は雪山だろうとは思っていたが、これはかなり降り積もっているようだ。


–ギシギシ


以前知り合ったフェンリルは、たしか当時はこの山の麓に住んでいたが、今も住んでいるだろうか。

扉がある場所が、山奥だったので、静かに足音を軋ませながら山を下っていく。

雪があると音は吸収され、自分の服の音と足音、あとはたまに風の音ぐらいしか聞こえない。

こうも静かだと、殆どの生き物は冬眠か、別の場所に行ってしまっているだろう。

タイミングが悪かっただろうか、だが季節が変わるまで待つわけにもいかないし、一応確認しにいこう。


和は出る場所の状況まで、確認しようとしていたが、その前に爺から連絡がきたからそっちをお願いした。

まぁ嫌そうな顔はしていたが、仕方がない。

それに実際見たところで、この状況だったのだから問題ないだろう。


――フェンリル


今の基本世界で名の知れた神よりも、少し昔から存在する狼を模した巨大な獣。

魔法能力が高く、エルフ以上に全属性を使いこなす。

そして肉体も巨大だが、狼という事もあり俊敏性にも長けている。


だが、如何せん動物という事もあり、たまにあほな事をやらかす。

迷子の子供を探すのを手伝ったり、肉を焼いてやったら気に入ったのか何度も作らされたり――

そういうところは、やはり犬だなと思う。


寿命も長く、8000~1万年程生きる。

あの頃助けた子供も、恐らくはまだ若いままだろう。


あの興味関心に対して、すぐさま行動にうつす親が、同じ場所に常に滞在しているかは正直不安。


雪のせいもあってなかなか前に進まないが、これだけ歩いて行ってその場所にいなかったら、他の場所を探すのはかなり面倒な事になる。


「おい!おいおいおいおいおい!お前スーじゃん?おーい!」


歩いていた道の脇にある岩陰から、古い知り合いみたいに馴れ馴れしい声が転がった。

ぼろ布みたいな服を着た胡散臭い男。


誰?


この世界には、一定数人間も住んでいるが、この山付近ではなかったはずだし、私を知っている人間が今生きている訳がない。


「久しぶりじゃーん!元気だったかー?俺だよ俺俺ー!」

「・・・・・・あ。何していらっしゃるんですか?こんなところで。」


目を細めて男を観察していると、その手元に光る手枷に見覚えがあった。


「いやぁさぁ。ちょっと散歩に?と思ってきたんだけどさ。ま~さかこんな冬だとは思ってなくてさ~。なんか食べ物持ってない?移動しようにも、おじちゃん腹減ってんのよー。」


「・・・・・肉は持って来ておりますが、焼いてはいないままですよ。」

「え!マジ!?焼こうぜ焼こうぜ!焚火ならあるよー。」


洞窟の奥で焚火を燃やしていたようで、それでなんとか寒さを凌いでいたらしい。


「・・・はぁ。少しでお願いいたします。お願いの手土産に持ってきたものなので。」

「分かった。分かった。いやぁこんなところでスーに会えるなんて、まさに奇跡だね!」

「…あなたがおっしゃると、洒落になりません。」

「いいよいいよ!顔を上げなって!こんな落ちぶれなんかに、敬うものなんかないぜ。」

「・・・はあ。」


そう一応…

気が付いてからは頭を下げておいていたが、この男は一応神様。

本人がそう言うので顔を上げて、リュックに詰めていた肉のブロックを一つ取り出す。


「おー!めっちゃいい肉じゃん!」

「全部はやめてください。これでも少ないかもしれないんですから。」

「え~まぁ、分かった分かった。じゃあこれぐらい?」


男が自家製のナイフを取り出し、切ってもいい分の肉のサイズをこちらに示す。


「はい。それぐらいで十分でしょう?」

「うひょー。肉なんて久しぶりだ!めっちゃ嬉しいー。」

「いえ。神様でいらっしゃるんですから、本来は肉NGでしょう。」

「いやいやぁ!結局旨いんだよ!こんなもん我慢なんて、本当俺には無理!」


この神は、しばらくこのあたりにいたのだろうか?

肉のお礼にでも、状況を聞くぐらい良いだろう。


「このあたりには、しばらくいらっしゃったのでしょうか?」

「あー本当に少し前だな。雪が降る前だから、三か月前ぐらいってところだろうな。」

「この山の麓に、フェンリルが昔住んでいたのですが、今もいるかどうかご存じですか?」

「何々?今日はフェンリルを捜しに来てんの?」

「えぇ。ちょっと相談をしに久しぶりに来たのですが、しばらく来ていなかったので、今もいるかどうかを先に確認したいのですが。」

「なんかどっかで見かけた気がするけど、名前は?」

「バースという父親と、子供が二匹。母親は確か逃げられて戻ってきてなければ、その3匹だと思われます。」

「バース。バース。あー・・・・・・・・そういえば名前聞いてなかったわ。わりぃ。」


「・・・はあ。ありがとうございます。」


男は器用に、石で作ったナイフで肉を角切りにしていき、水と多分なにかが入った鍋に入れていく。


「折角だし一緒に探してやるよ。俺もどっか良い場所ないか探してる最中なんだよねー。どっか良いところ知らんかね?」

「どういう場所に行きたいのでしょうか?雪山が嫌でしたら、素直に妖精や精霊の世界などにでも行かれては?」

「いや~あぁ言うのは、もうしばらくお腹いっぱい。桃やら薬膳ばっか食って、飽きてきたから今色々見て回ってるところさ。」

「左様でございますか。フェンリルには悪魔の世界に行くのに、手を貸していただこうと思ってきたので、私についてきても碌な事はございませんよ。」


「うぇぇぇ?悪魔の世界ぃ?なんでまた?自殺志願?」

「色々事情がございます。好きで行きたいわけではありません。」


「ふ~ん?まぁじゃあひとまず、そのフェンリル探しを一緒にしようぜ。ほら、良い感じにできたな。お前も食え食え。相変わらず痩せてんなー。」

「・・・ありがとうございます。スープの部分だけで良いです。」

「なんだ。腹減ってなかったか、じゃあ。ほい。」


これまた自家製の木の皿を受け取り、雪で冷えた体にはじっくりと伝わる熱や湯気が温かい。


「フェンリルといえば、肉だろ?この辺から近い、春山の方に行ってみるか。」

「ひとまずは麓を確認してからで、お願い致します。」

「この辺はもう飯がないんだから、絶対いないんじゃないの?」

「・・・まぁ。そうなんですが、無作為に探しても時間がかかるので。」


神様が手伝ってくれるなら、そりゃ早いかもしれないが、それにしても全世界を見て回る訳にもいかない。


「うーん。どっかで一匹捕まえて、遠吠えしてもらった方が早いだろ。」

「・・・おっしゃる通りですね。可能でしたらお願いします。」

「へいへい。じゃあ食ったら行ってみるか。」


神様はかなりお腹が空いていたようで、一人で鍋一つ分をほぼ丸ごと食べきった。


「うーし。じゃあ行こうか。」


–パンパン


手を叩くと焚火や周りの荷物がスッと消えた。


「近い春の山って言うと、こっちのほうだろうなぁ。ほら手。」

「はい。お願いします。」


差し出された手を繋ぎ、指した方角に向かって引き寄せられる感覚を感じた――

引き寄せられた瞬間、季節が一息で飛び越えた。


場所は雪山から草原に変わった。


「やぁ~、暖かいね。最初っからこっちに来とけばよかった。」

「そうでしょうね。」


神が指笛を吹く。


–ピィー


「これで来るんじゃないか?」

「祈ってます。」


神からの呼び出しにかからない生き物がいるのか逆に不明だが、違う生き物が来られても困る。

しばらくすると遠くから土煙が見える。

地面を震わせながら、何かがこちらに疾走してくる。


–ダダダダダッ!!!


「おうおう。勢いよく来たな。ちゃんとフェンリルが来たみたいだぞ。」

「良かったです。ありがとうございます。」


「お呼びになりましたか!?」

「おう!なんだっけ?」

「あぁ失礼しました。バースというフェンリルを探しているのですが、ご存じでしょうか?」

「バース?はい。呼びますか?」

「宜しければ、お願いします。」

「多分こないだ魚を食べると言って、湖の方に行っていたので・・・。」


–ウオォォォォォォォーーーーーーーン


しばらく、遠吠えが響いて山々で山彦になって反響していく。


–ウオォォォォーーーーーン


違う遠吠えが響いてきた。


「すぐ来るそうです。」

「おう!サンキューな!あ。スーちゃん。肉。」

「はい。ありがとうございました。」


さっき削られた肉と3ブロック分を渡した。

残りは15個ぐらいだろうか。


「ありがとうございます!それでは!」


–ダダダダダッ!!!


フェンリルは肉を口にくわえて、再び元気に走っていった。

うん。

神の手を借りているとはいえ、やっぱり肉で交渉できる事は、妖怪や悪魔と比べれば断然マシなのは確かだろうな。


「そういや。フェンリルを連れて、このまま悪魔の世界いっちまうのか?」

「いえ、一度は家に帰ろうかと思いますが・・・。」


どういう話に進むか予想がついた。


「・・・それってどこ?」


「…一応は基本世界です。色々な場所と繋がるようにはしてますが。」


「・・・それってさー。おじちゃんついて行っちゃダメな感じ?」


「…お断りさせて頂いても、あなた様がついてきたければ、勝手についてくのではないでしょうか?」

「へっへっへっへ。別に悪い事はしね~よ?ちょっとゆっくりする場所を探してたんだ。少しぐらい良いだろ?」


「…はぁ。かしこまりました。トラブルは既に抱えているのでお腹いっぱいです。宜しくお願いします。」

「おう!むしろ暇だし、手伝っちゃうぜ~。」

「お返しが大変ですので、適宜少なめにお願いいたします。」


偶然とはいえ、神様を拾う事になるとは・・・


–ダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!


さっきのフェンリルよりも大きい音で、3匹のフェンリルが走って来た。

3匹とも無事にいて良かった。


「おおおお?スー!!!!!」

「あ!スーだ!」

「本当だー!」


覚えていたようだ。

更に良かった。


「お久しぶり。元気そうだね。」

「あぁ!私もこいつらも魚を食すって湖行ったんだが、ついついとりすぎてしまって、怒られてしまっていた。だから、まぁ・・・呼ばれて助かった。」


「…それはそれは。いつも通りバランスという部分が、苦手なんだな。」

「まぁ・・・。そう言われるとそうなんだがぁ。だが!これでも上手くいったこともあるんだぞ?!先日ドラゴンと戦う時も・・・」


「…分かった。後でお話は聞くとして、一応目的を先に伝える。」

「ふむ?ちょっと面倒くさそうな感じだな?」


フェンリルの中でも人とのやりとりについて、かなり柔軟に対応できるのは、コイツのいいところだろう。


「あぁ。知り合いが悪魔の世界にいるかもしれないから、探しに行きたいんだが手伝ってほしい。」

「・・・」


露骨に「うわぁ」という顔をしている。

表情が素直だ。


「おぬし、何をしているんだ?そもそも基本世界の人間が、行っていい場所ではないぞ?」

「もちろん、行きたくて行くわけじゃない。だが、色々あって知り合いを探す事と別にしても行かないといけない場所となっている。」

「むむむ。」


まぁ渋る気持ちは分かる。


「神は行かれるのですか?」

「あー俺が行くとトラブルになるからなぁ。だが軽い加護ぐらいなら良いんじゃないか?」


「…軽いですよ。まぁ子供もいるし、無理強いはしない。ダメそうなら他にも、ケルベロスとかにも聞いてみようかとは、思ってるし・・・」

「な!な!ケルベロスだと!?あいつが行くぐらいなら儂が行く!!よくぞ先に声をかけた!!」

「・・・」


そこは、競い合うところなのだろうか。

行ってくれるなら助かるが、一応ちゃんと確認する。


「本当に大丈夫か?もちろん、子供達は悪魔の世界には連れて行かなくていいんだが、お前には私の守護をお願いしてもらう事になるんだぞ?」


「・・・・・まぁ。ここ最近強い奴を相手にすることも少なかったし、たまにはいいだろう。手応えがあるだろうしな。」

「分かった。まぁ私も生きて帰らないといけないから、無理な状況では無理せず逃げる気だ。にしても私一人では悪魔から逃げられないから、頼めれば助かる。」

「よかろう!そしてそれは肉だな!?焼いてくれるか?」

「あぁ焼いても良いが、来てくれるなら家でちゃんと作ってもらおうか。ご馳走するよ。近くに扉になりそうな場所はあるか?」


まぁ結果すんなり来てくれる事になったのは、本当に助かる。

そして思ったよりすぐに見つけられたのは、この気まぐれな神のおかげ。

ではあるのだけど、この礼も含めて和の飯でどうにかなるだろうか。


結局近くに扉はないという事だったので、また最初の雪山に戻りその扉を使う事にした。


「このままだと入れない。この扉、人間一人分しか通れない。みんな人間か小さくなれるか?」

「分かった!ハウとデンは人間には化けられないから小さくなるといい!」

「分かった!おりゃ!」

「分かった!うりゃ!」

「ごっはん~ごっは~ん。へへへ。」


思ったより騒がしくなってしまったが、まぁ良いだろう。

雪山よりは、ずっと平和だ。

人間に化けられると言っても、しっぽと耳はそのままのバースと子供達も無事に扉に入れたので、神様を最後に扉を静かに閉めた。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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