答え:鳥は古巣に帰れず
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
–ゴォォォォォォォォォォォォォン
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・下がってて。」
「分かった。無理するなよ、いつでも逃げられるからな。」
圭は返事の代わりに、影を置き去りにして踏み込んだ。
床が短く鳴る。
コンクリートの崩れた廃墟は、入った時は薄暗かった。
けれど今、圭が穿った穴から光が落ちて、薄闇は引き裂かれた。
部屋の空気が、白日の下にさらされる。
「あなたがお兄様の言っていた吸血鬼ね。本当にやっかいねぇ。」
お兄様・・・
こいつは誰だ?
履歴の場所は、その国の都市からかなり離れた場所。
都市開発を中断したように、建物だけが建ち並ぶ廃れた様子。
圭が物音を確認して、誰もいない古びたホテルのような建物の中に入る。
そこには女性がベッドの上で、何かを下敷きにしているのが目に入った。
その隙間から、見慣れた髪色がのぞいていた。
すぐに、それがフィーだと分かった。
反射で駆け寄ろうとして――次の瞬間、女の魔法が風みたいに叩きつけてきた。
身体が壁へ持っていかれる。
ぶつかる、と思ったところを、圭が腕を掴んで引き戻してくれた。
圭はそのまま、ベッドに跨る女へ殴りかかる。
だが、横から黒髪の男が滑り込んできて、拳の軌道を上へ“流した”。
受け流された力が天井へ逃げる。
乾いた破裂音と一緒に、天井が抉れて――上階まで抜ける穴が開いた。
改めて落ち着いて見た女性の姿は、恐らくはエルフのようだ。
男の方も見た事がない黒髪の男。
どちらも見覚えはないが、フィーがそこにいる以上は、フォーラスかアディール・クラーレンの関係者だろう。
そして、男が圭の力を受け流す事ができるとなると・・・
あの男はまたもや悪魔と思っていた方がいいだろうか。
–ゴォォォォォォォォォォォォォォォン
「その子を返して欲しい。」
「それはダメねー。勝手に返したら私が怒られるわ。もしくは代わりに男の子の方と交換してくれないかしら?」
「・・・男の子?」
「あなた達には、もう男は一人しかいないのでしょう?」
あなた達とは恐らくwalkerの事だろう。
そして男となるとフィフの事を言っているのか。
–ゴォォォォォォォォォォン
「どちらにしてもお断り。」
「あらそう残念。ねぇあなた達の血って本当に効果ないの?」
「…血?この体は普通の基本世界の人間だ。なんの効果もない。」
「ふーん・・・。何かいい方法ないかしらねぇ・・・。私もこんな風に・・・。」
女はベッドの上で、フィーを自分の膝元に押さえつけるようにしていた。
その髪を、指先でゆっくり撫でる。
「っお嬢様。そちらをお持ちしますので、ここは・・下がりましょう。この吸血鬼は・・・」
「えー・・・ならその吸血鬼を調べたいわ。」
「私っ一人ではっ、無理です・・・。下がりましょう。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダメ。その人置いてって」
—ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン
–ベキャ
「ぐっ!!」
「むー・・・。本当に無理なのね。しょうがない。」
力が受け流しきれずに、悪魔と思われる男の腕が、骨の規則を裏切るみたいに逆向きへ折れ曲がった。
「…じゃあ行くわよ。」
部屋の奥にある、もう一つの扉から出ようと、女のエルフが起き上がるので、その隙にベッドの方へ走る。
「ダメよ。」
再び風が来る。
身体を沈める。
風は頭上を、嘲るみたいに抜けていった。
次の動作を伺う。
「ふん!」
次々に風を飛ばしてくるが、なんだか瞬間魔法という感じがしないし、エルフの魔法としても弱い・・・
なんだ?
–カチャ
入口とは別の扉が、背後で小さく開いた。
乾いた足音と一緒に、見覚えのある声が落ちてくる。
「…おや?ここまでバレてしまったのかい?」
「あー僕は流石に今日はもう相手しないよ。あの吸血鬼は本当にムリ。あと悪魔3~5匹ぐらいは必要。」
声の主はブルース。
扉の影に輪郭が見える。
もう一つ、空気の温度が変わる。
ブライアンだ。
ここで増えるのは流石にまずい。
あと約2メートルの距離まで近寄ったが、フィーはこの騒ぎでも起きる気配はないし、これ以上進むのは・・・
ダメだ。
ブライアンの悪魔はまだ見えていないが、いると考えた方がいい。
「圭!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
–バサァァァ!!
圭が俊足で私の胴を掴み、さっき上階まで抜けた穴から、空中へ飛び出す。
追ってくる気配はない。
圭も追撃がないのを確認しながら、近くの別の建物の屋上へ降りる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうする?」
「・・・扉を使っていたから、出て行った後に履歴を確認したいが・・・。」
エルフの女は、やはりフォーラス関係だろうけど、アーシャの話からすると操られているのだろうか?
魔法の操作なら和に確認するしかないが、あのままの感じではアーシャの希望通りに、エルフの世界へ連れて行くのは難しそうだ。
そして、次の移動先が悪魔の世界なら、それもそれでフィーも合わせて、どうやって回収すればいいのか・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ズー・・ダメだ。」
「?」
–ゴォォォォォォォォォォォォォォォ
「・・・あぁ。ダメそうだな。」
恐らく逃げた後に、部屋を爆発でもさせたのだろう。
さっきまでいた建物が、骨を鳴らしながら膝を折る。
逃走に使った扉が、形を残しているとは思えない。
「・・・一度帰ろう。今日は何度も相手させて、すまなかった。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・気にしなくていい。」
来た場所へ戻る為、圭の背中に乗る。
ひとまずは悪魔の世界として、考えよう。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鬼の世界から・・・。」
「いや、確証もないし…一度妖精か精霊に聞いてみてからにしよう。ありがとう。」
怪異の世界から鬼の世界へ、鬼の世界からなら、悪魔の世界に繋がる場所がある。
圭は扉からではなく、外から確認する方法を提案してくれたが、そのどこの世界もリスクが高い事には変わりのない世界ばかり、圭一人に頼って移動するのは厳しい。
圭や和にも気を遣わせてしまっているし、今私は冷静ではない。
一度相談所に戻って、状況も含めて確認した方がいい。
何も考えずに追いかけて、どうにかなる連中ではない。
落ち着かなければ、仮にフィーを助けられたとしても、代わりに何かを失う可能性がある。
「スズ!遅くなったか・・・?」
「いや・・・・すまん。逃がした。」
相談所へ戻り地下で圭と別れ、一度日向達の様子を確認しようと、階段を上がっていたところで、和が玄関から入って来た。
「あぁ・・そうか。なら改めて場所を探そう。もし悪魔の世界なら・・・」
「今回は履歴も分からなかったから・・・そうだな。言う通り、一度場所探しからやり直そう。
悪魔の世界は第一候補だが、下手に行ったところで簡単に助けられる場所じゃない。ちょっと落ち着いて考える・・・。そっちは?」
「あぁ・・ガルシアさんがまだアルファーさんの家にいたから、そのまま魂の移動をお願いしたんだが、肉体の記憶が混ざってしまっているようで、梓さんは今24歳のアリス・フォーラスという認識なんだ。
・・・少し話した感じでは、梓さんの記憶は見られなかった。
ガルシアさんの見解では、魂は普通に機能してるって事だから、一旦様子を見る事になった。
でも、流石にすぐにそんな彼女をここに連れてくる訳にもいかないから、そのままアルファーさんにお願いしてる。」
「・・・そうか。確かにその可能性はあったか。肉体から魂が流れているという話だったからな・・・。
魔法使いの場合は、魔力の多い方に記憶が寄せられているのかもしれない。」
「・・・・・なぁ。」
「どうした?」
「・・・・俺が資料で見た彼女は、両方とも普通の目の色だったと思ったんだが・・・。」
「違ったのか?」
「…いや。悪い。勘違いかもしれない。なんでもない。」
和の言葉も気になるが、まずはアリス・フォーラスの記憶。
今後これまでの、梓だった時の記憶を戻すのかどうかは分からない・・・
想定していなかったとはいえ、先日の電車で会った女性ミリア・シャトーレイの話からすれば、考慮しておくべきだった。
魔力に・・記憶・・・
アリス・フォーラスが本来の記憶だとしても、死んでからその殆どは山本梓として生きた彼女の方が、その記憶の量は多いはず。
「スズ。そっちはガルシアさんもしばらく様子を見てくれるし、そういう情報がありそうなところで、ミリアさんの同僚が他にいるかも俺の方で調べてみる。多分、ミリアさんの調査報告書とかが、どこかにはあるはず。」
「あぁ、そうだな。頼む。」
「・・・お前はそういう奴だよな。一度、飯にしよう。やっと食事ができるようになったのに、また体調崩れるぞ。」
「・・・そうだな。」
食事か。
朝、食事をしたきりになっていたが、外はもう暗くなってきている。
確かに和の言う通りだろう。
「「スズ!和!大丈夫?」」
「あーやっと帰って来たね。」
「キュウ!」「キーキー!」「キュキュ!」
ヒナとヒデとウーノ達、ナオ。
みんな3階で待っていたようだ。
「遅くなった。すまん。」
「ご飯作ろうか。朝は中華だったからな。夜はさっぱりしたものにするか。」
「ほぼ昼だったけどねー。」
「スズと和お寝坊だったもんねー。」
「じゃあうどんとかいいんじゃない?たまに食べたくなるし、それならスズも食べれるでしょ。」
「キュウ!」「キキー!」「キュキュキュ!」
「鍋焼きウドンって。」
「いいね!海老天」
「いか天ー」
「「卵もー」」
「イカあったかなぁ・・・。海老はあったはず。」
そうだな。
梓の事は、まずはガルシアと和にお願いして、私はとにかくフィーの事に集中しよう。
「大丈夫?ちょっと触るよー?」
「・・・大丈夫だ。吐き気はないと思う。」
空いているこたつに入るとナオが静かに声をかけた。
体温は自分では分からないが、ドラゴンに乗ってる時はかなり寒かった。
その後はそんなことを気にする余裕が無かったが、今こたつに入った時にかなり熱く感じたから、冷えてはいる気がする。
「だいぶ冷えてるね。・・・それに体温はやっぱりまだ高そう。一応ちゃんと測ろうか。ちょっと待ってて。」
「スズー体調悪いー?」
「具合悪いー?」
「キュウ・・?」
「いや、今日は色々移動したから、疲れてるだけだと思うよ。風呂入ってちゃんと寝るよ。」
「そうだね。ちゃんと休んでね。」
「無理禁物ー。」
「分かった。心配かけた。」
そうだな。
考える事は止められないが、ちゃんと休まないと明日動けなくなる。
もし行くとすれば、ほぼ悪魔の世界になる。
フォーラスの拠点の一つと考えるなら、今回だけでなく今後のためにも対策は必要だ。
対抗手段として真っ先に浮かぶのは、天使や神、そして鬼。
だがどれもリスクが大きい。
天使や神に頼むなら、前に助けてもらったガゼルに相談するのが現実的だろう。
鬼に頼むなら圭、もしくはそれに匹敵する肉体言語を持つ存在が必要になる。
そう考えると、実質的な候補は限られてくる。
神獣――ドラゴンも選択肢には入る。
だが彼らにとって悪魔と戦う理由がない以上、協力を得られる可能性は高くない。
他の神獣、例えば巨人やフェンリルとは過去に関係はあるが、
彼らは基本的に動物や鬼に近い価値観だ。
交渉にはどうしても時間がかかると予想される。
「はい。測ってー。」
ナオから体温計を受け取り脇に差す。
「はい。口開けてー。べー。」
ついでに瞼もひっぱられる。
「まぁぼちぼちやな。」
「ぼちぼちかぁ。」
「「ぼちぼちかー」」
「キュウキュウ?」
「ボチボチ?」
–ピピ
「んーちょーっとしんどそうやね。」
「んーちょっとだね。」
「「ちょーっと?」」
「キーキ?」
「シンド?」
「まぁ今日はゆっくり寝よな」
「うぃー。」
「飯食ってー風呂入ってー。」
「寝よなー。」
「キューキュ。」
「ネヨネヨ。」
「はーいご飯できたよー。机片付けてー。」
「「はーい」」
悪魔。
悪魔・・・神や天使・・・。
そんな簡単な方法がある訳が無いのは当たり前。
ただ、別に勝ちたいわけじゃない。
負けなければいいだけ。
それでも、負けない方法どころか土台につく事が、イメージできない。
防御ができなければ、避けるしかない。
そして避けるにも限界があり、身体的にも負けている状態では、最悪逃げる事すらもままならない。
「おいしー!」
「ねー!」
「キュウー!」「キー!」「キュ!」
「おいシイ」
「オイシー」
「ウマイ」
うん。
和は本当にどんな料理でも、すぐに美味しく作れる。
料理のジャンルもあまり得意不得意を示さず・・・苦手なモノ。
悪魔の苦手なモノは、吸血鬼に似ている。
更には神や天使、精霊や妖精といった清らかなものなどが苦手ではある。
それに人間の欲が好きな半面、純粋や純愛な感情はガゼルも嫌そうにしている節があった。
だが、どれも物理的に用意しやすいものではない。
「スズ?多かったら残してもいいけど、もう少し食べれそうか?」
「あ。いや、すまん。」
なかなかいい案が出てこないから、ついつい考え込んでしまう…
「いつも美味しいな。ありがとう。」
「揚げ物は無理そうなら、誰かにあげて良いからな。」
「そうだね。誰か欲しい人ー。」
「えーじゃあ貰おうかなぁ。」
「むー折角何でじゃあー。」
ヒナとヒデに海老と卵をそれぞれあげる。
まずはちゃんと食事を終わらせて、そして風呂も。
風呂上がりに三階を通り過ぎようとした時、和から声がかかる。
一緒に地下についてくるようだ。
「で?」
「・・・で?」
「まーた、ずっと考え込んでいただろう?」
「まぁ。そうだな。」
「フィーの場所か?」
「それもそうなんだが、結局は悪魔の世界に行くほうが早いとは思う。そうなると対策方法が・・・」
「・・・言いづらそうだな。まずは聞くよ。」
「今思付くのは、巨人かフェンリルかケルベロスぐらいなら、一度相談してみるしかないと思う。」
「・・・一応聞くけど、なんでその選択肢?」
「昔、世話になったり、手伝ったりした事があるから。あとはいずれも長命。
だけど、巨人は流石に世代が変わってる可能性があるから、ダメな可能性はある。」
結局は私のような人間ではいくら考えても、無理なものは無理だという結論。
時間がかかっても、愚直に対策を準備する方がまだ進むと考えられる。
「フェンリルとケルベロスなら、どっちが可能性は高いんだ?」
「フェンリルは自由度が高い。気分が乗れば素直だが、多少感覚は犬と猫の間という印象。
ケルベロスは完全にこちらと意向があえば、忠実な犬。ただし敵とみなされた時は、容赦はない。」
「どっちもどっちだな。これから相談ならどっちも相談はした方がいいよな。でも、そのまま話聞いてくれるのか?」
「フェンリルもケルベロスも多分話だけなら聞いてくれる。フェンリルなら大体場所も分かるし、手土産に肉でも持っていけば問題ないだろう。ケルベロスは先ず会う為の過程が大変。地獄の門となると、そっちに了承を取らないといけないし、一匹貸してって言ったら幾らになるかの交渉だろうな。」
「えっ・・・レンタル料がかかるの?」
「まぁ、本来の仕事があるのに引き抜くって事だから。」
だから時間的にはそっちの契約面の方が、本人との交渉より面倒かもしれない。
地下への扉を開く。
「・・・地獄の門の番犬って仕事なのか。じゃあ早いのはフェンリル?」
「まぁ。そういう事になる。中には暇そうなケルベロスもいるから、交渉が早くなるようにはするけど、本人との交渉がその後にはあるから。」
「今の目的はフィーを探したい事だから、できるだけ早く行きたいだろ?」
「・・・」
「それは誰か連れていけるのか?」
「流石に圭は最近連れ回し過ぎたし、一応どちらも悪魔や怪異とは違って、餌以下で見てくるから、一人で行ける世界だとは思っている。」
「餌以下?」
「人間より普通の動物の肉が、美味しい。」
他に美味しいモノがあって、わざわざ不味いと思うモノを食べるのは、それ以外に選択肢がない時ぐらいだろう。
「んー。」
「魔法使いの変態の方が、個人での危険性は高いと思う。」
「・・・まぁ違う意味ではな。」
「和には、梓の方を頼みたい。」
「・・・」
「ダメならやめる。」
「・・・押し方が分かってきてるな。」
「ただの人間なんだ。結局は基本世界以外は、全部危ない場所。」
「まぁ。そうなんだけども・・・分かったよ。今日のスケジュールはリスケだ。ちょっと早いけど、明日出かけるならもう寝ろ。魔法かけるか?」
「大丈夫。助かる。ありがとう。」
和の許可が無事下りたのは良かった。
今日のミーティングをリスケされてしまったが、仕方がない。
言われた通り寝よう。
「じゃあ。おやすみ。」
「まて。寝る場所は寝室だ。こんな時までソファで寝るな」
「うい」
何となくベッドは広すぎて冷たく感じる。
一人で考えるには、少し静かすぎる。
仕方ない。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




