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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第二章 交わる影、揺れる心
83/121

答え:彼方立てても、此方が立たなかった

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

–グルル(この先に何かあるな・・・)


「何か?魔法使いはいそうな感じは?」


–グルル(魔法使い・・・人がいる気配はないな。)


「・・・・外れか?一応見て回ってみようか。」


 山の一部の開けた場所に、ドラゴン達が下りてくれたので、そこでやっと足を着ける。

北部の山の中ということもあり、気温は相変わらず低い。


ドラゴンからも人がいる気配がないということ。

だけど、ここは出入りしている場所でもある。

念のため、周りを探索するか。

しかし、山を全て見て回る訳にもいかないので、魔法の痕跡など、何か手掛かりが欲しい。


「…こっちに何かあるな。」


和が早速何かを見つけたようだ。


「アーシャ。そのまま行っていい?」

「はいはい。あなた達はちょっとここで待っててくれる?」


–グルル(分かった。)


進み始めた和の後ろをついて行く。

ドラゴンが言うように魔法使いはいないどころか、生き物自体の気配が少ない感じがする。

草木と風の音だけが通り抜け、森全体が寝静まっているような印象。


「こっちに・・・・。何か・・・」


–コンコン


しばらく進むかと思ったが、和はすぐに止まり、何も無い場所に手を当て、ノックをする。

私からは明らかにその先も普通の森の風景で、何もない空間に見えるというのに、何故かノックは音をしており、そこに壁があるのだと分かる。


「・・・・魔法だな・・・。ちょっと解析する。」


魔法となれば、私に今はできる事は無さそうだ。


改めて周りの状況を確認するが、やはり小動物の気配すらない。

森としては木々も生い茂り、ところどころに日が差し込み、至って普通の森に見えるというのに。


――明らかに違和感がある。


「アーシャ・・・この森・・・。」


「・・・妖精も少ないね。なんだろう。・・・昔来た時はもっといろいろいたと思うんだけど・・。

その魔法に何かありそう。風・・・和さん?ちょっと良いかしら?」

「あ。はい。」


アーシャも見えない壁に手を当て、集中するように目を閉じる。


その集中が可視化するように、徐々にまわりの風がアーシャを中心に集まっていく。

風はだんだんと勢いを増していき、少し離れている私にも風の勢いが感じられる。

更に広く強くなっていっている。


–ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォ


–パン!


破裂音。


「・・・・遮断が二層。外側は風でほどけたけど、内側が残ってるのね。こっちは和の方が分かりそうかしら・・・?」

「そうですね。空間遮断の魔法のようです。」


和は一度離した手を再度当て、そこから複数の光が伸びる。

見えなかった壁に、光が沿っていきその形を表す。


–ふわっ


空気が一枚はがれるように、森の匂いが戻った。


さっきのアーシャの風とは違う温度の風が、山の下に向かって流れ始めた。


花の匂い。

動物の匂い。

草木の匂いを強く感じる。


まるで閉じ込められていたものが、開かれた時の様な。

結界によって、この森の色々なモノが、閉じ込められていたのだろうか・・・?


「スズ・・・」

「ん?」


和はこちらを呼んだものの、別のどこかを見ている。

見ている先を追う。


日差しを受け明るく広がる花々がそこにはあった。


そして・・・


その中央に・・・・


――アリス・フォーラス


「ここにあったのか・・・。」


その体は傷一つなく、まるで眠っているようだ。

手をお腹の上で組んで、横になっている。


風の音すら、彼女の周りだけ静かだった。


バレンの見解は正しかったようだ。

彼女は、森や精霊に守られているかのように、以前確認した写真と一寸違わぬ姿でそこにいた。


「和。このまま保管した状態で、運べる?」


「・・・あ。あぁ。そうだな。運ぶことはできるが、このままの保管状態は長く維持できないと思う。すぐに梓さんのところに・・・。」


そう話しながら、私達は彼女に近づく。

ん?

つい彼女に視線が集中してしまっていたが、周りを見渡すと――扉がある。


それは木の陰に隠れていたものの、かなり新しい状態だった。

扉は木の幹に溶け込むように埋め込まれており、開けばそのまま木の内部へ入る造りのように見えた。


「・・・あ。待て。」


私が扉に近づき、ドアノブに手をかけようとしているのを見て、和が近づく。


ドアノブを開く。


扉の向こうは、削ってもいない“ただの木肌”だった。


本当に木に扉だけが張り付いており、本来の部屋に入る入口である筈の機能はない。

改めて扉を閉じ、ポケットから鍵を取り出す。

鍵を差し込み、通路の移動履歴を確認する。


「・・・・・ここに。フィーが来た。そして・・・これは・・・基本世界か。」

「基本世界に連れていかれた?」


「恐らくは、あるいは・・・フィーが自分で逃げたのか。それは分からないが、このまま繋げられると思う。

先に行きたいところだが、・・・アリス・フォーラスの回収もしてしまいたい。」


 この山の結界が破られた事に気が付かれていれば、すぐに今ここでアリス・フォーラスを回収しておかないと、またどこかに隠されてしまう。


だが……鉛を飲み込んだように、胸の奥が沈む。


「…いや、場所は分かった。アリス・フォーラスを回収して、魔法世界に戻ろう。」

「・・・・・いいのか?」

「急ぐが、優先順位はそちら。彼女の肉体は再び無くなっては、もう二度と戻らない可能性もある。」

「・・・・それは・・・そうなんだが。」


そう――フィーは私と同じwalker・・・


ブルースが、アディール・クラーレンの方へ連れていく可能性もあるから、急がないといけない事に変わりはないのだけど、優先順位は・・・違う。


「・・・・分かった。急いで戻ろう。」

「基本世界の方へは、私はついていけないわよ。・・・もしそのまま魔法使いを追うのなら、できればエルフの子達もお願いしたいのだけど。」

「分かってる。ここまで手伝って貰ったんだ。明確に場所が分からない以上は、こちらとしても見つけられた場合に限る事にはなるが、見つけ次第に回収や連絡をする。」


「ありがとう。彼女たちの情報はまとめておいて、後から妖精に伝えるわ。・・・できる限りお願い。」

「分かった。」


帰りについても来た時同様に、待ってもらっていたドラゴンにお願いして、アリス・フォーラスの体を和の魔法で、丁寧に加工して運ぶ。


本当に元来た道をそのまま戻る事にはなるが、既に行き先が分かってることもあり、帰り道の方が長く感じられる。


「・・・」


フィーとはうまくいかない期間の方が長かった。

だからといって、私自身が「彼女を嫌い」という事は全くない。

むしろ、素直な彼女の反応には、助けられていたとすら思う。


だからこそ、イヴを殺す事になった時、彼女には関わらせなかった。


「なんで!!!どうして!?ねぇ!なんでよ!!!」


「・・・・」


「・・・・何で何も言わないの!?イヴ・・・お姉さん・・・を何で・・・。どうして殺したの?」


「・・・・」

「ねえ!!!何か!何か言ってよ!!!私にも分かるように!!」


「・・・今は説明してもフィーが混乱する。落ち着いてからちゃんと話そう。」

「はぁ!?どういう意味よ!!だからって言わないなんておかしいじゃない!家族を殺しておいて!あんた!」


「・・・・ごめん。」


「・・・・・・・・・・・・・もういい。今あんたと話してもしょうがない・・・出て行って!」

「分かった。」


「・・・・・」


 イヴとの問題が終わった後に、彼女とはそんなやりとりをして、私も疲れてしまって説明を後回しにしてしまったという自覚があった。

いくらでも説明の機会はあるからと、そう思っていたのかもしれない。


それに彼女やフィフを悲しませることは、百も承知だったこと。

これによって嫌われる事も十分理解した上で、こんな事を誰か別の関係ないヤツにさせるなんて、もっての外だと思っていた。


あれは私がするべき事だったと・・・今でもそう思う。


梓や和の時は、すぐに話せたのに、あの時はそれができなかった。

そうやって、無駄に時間を空けすぎてしまったのは、結局は私が逃げていたからだろう・・・


素直すぎる感情に向き合う事。

あれは失敗だったと、彼らに改めて評価される事。

それらに対して・・・向き合う勇気が、なかった。


「私は気が付くのが・・・本当に遅い。」


独り言で出た言葉は、自分の耳にすら届かないまま、空に溶けた。


多分。

フィーともあの最初の時に、和の時の様に素直に全部、思っている事も何もかも本当に全部言ってみれば、良かったのかもしれない。

もしかしたら、何も言わずに殴られることも承知で、抱きしめてみたら良かったのかもしれない。

私はフィーから、いつも何を考えているか分からないと言われてきたんだから、それぐらいしないと何も伝えられないのかもしれない。


もしこのまま・・・


二度と会えない事になったら。


ファストは予告もなくいなくなった・・・


イヴは私自身が終わりにした。

私はフィーも、このまま終わりにするつもりなのだろうか。


きっと彼女は、一人で悩みに悩んだ。

イヴの魂をもった梓にようやく手を伸ばして、私にも怒りながらもちゃんと話そうとしてきた彼女に・・・


私はこのまま無下に返してしまうつもりなのだろうか。


あの時の沈黙が、今も足首を掴んでいる。


風は徐々に弱くなっている。

恐らくもうすぐ到着するのだろう。


本当なら・・・


さっきのあの扉の前にいた時に、前ならすぐに行動した事があった。


和にアリス・フォーラスの体を持って帰ってもらい、私はそのままあの扉の先に行く。


それが一番どっちの目的を果たす上でも、早い方法として。

だが、基本世界とはいえ、その先にいるのがフィーだけとは限らない可能性が高い。

その提案をしたところで、和が反対する事は予想がつく。


だから私は・・・

私は・・・

もしかして、和を優先したのか?


たかだか数百年前に会った魔法使いと生まれた時から一緒にいるフィー・・・

相手は生まれ変わりが可能な、walkerだから?

でも自分でも可能性として考えたじゃないか・・・二度がない可能性を・・・


–?グルル(?・・・ついたよー)


「!すまん。往復で長距離の移動をしてくれてありがとう。今度何かお礼でもできればいいが、人間で用意できるものだと何か良い物があるだろうか?」


–グルル(家族の事もあったし、このぐらい大した距離じゃないよ。気にしないでー。)


「…そうか。助かったよ。お前たちも気を付けて。」

「ありがとうございました。」

「またねー」


ドラゴン達が飛び立っていくのを見送り、最初の家の中へ入る。


「スズ。」

「あぁ。行こうか。」

「スズ。お前は相談所へ戻れ。」


「…は?どうした?」

「俺は自分のドアでお前が行った後に、魔法世界に移動する。俺の方は魔法世界だし、俺だけでも問題ない。」


「・・・・。」

「相談所に圭が戻ってきている。圭を連れてさっき確認した基本世界の場所へ、先に行っていてくれ、場所は送ってくれれば俺も後から行くから。」


「…分かった。すまん。」


「・・・前回の事もあったから、お前が考えてることは、今回は分かりやすかったよ。

さ。行ってくれ、通路が閉まったのを確認して俺も行くから。」

「分かった。」


急いで通路を繋げ、扉に入る。


「淡泊な感じかと思ってたけど、あなた達、意外と仲いいのね。」

「最近色々ありすぎたので・・・」


そんな声を聞きながら扉を閉めた。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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