疑問:きっと短くないのだから、ゆっくりでいい?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
翌朝、珍しく日向と秀人が、早い時間に三階へ降りてきた。
「おはよう。」
「「!!!」」」
ダイニングテーブルで朝食を食べながらその様子を見ていた私は、最初は不安そうな表情だった二人が、台所に立つ和さんを見て、ガラッと明るくなった様子に私も一緒に嬉しくなった。
「おはよう!!和!朝食何ー?」
「おはようー!和ー良かったー!」
「仲直りしたの?」
「もう出て行かない?」
「ちゃんと話すよ、まずは座って待ってな。」
「「はーい!」」
ニコニコしながら椅子に座る二人を見ながら、和さんも少し呆れつつも笑顔で対応している。
トマトとベーコン、エッグベネディクトを挟んだバーガーとサラダ、スープのセットを口にしながら、昨日に続くいつもの空気に安心する。
二人と和さんの朝食が始まると、二人はチラチラと和さんを見ながら、何かを言いたそうに様子を伺っていて、その姿に少し笑ってしまいそうになった。
「ひとまず、明日は一度魔法世界には戻らないといけないけれど――」
「「ええぇぇぇ!?」」
「まて、話の途中だ。仕事終わりには、戻ってくるつもりだよ。」
「「!!!」」
ころころ変わる二人の表情に、やっぱり笑ってしまった。
「つまり、スズとは仲直り?」
「もう出て行かない?」
「ひとまずはね。原因はまだお互いに考えないといけないこともあるけれど、もうむやみやたらに出て行ったりはしないよ。二人にも心配かけて悪かったよ。」
その和さんの言葉を聞いて、日向と秀人はお互いに目を合わせ、少し泣きそうな顔で笑顔を見せた。
「うー・・・・良かった。」
「むー・・・・心配した。」
「悪かったよ。アリスさんも改めて、色々ありがとうございました。」
「いえ、私はできることをやっただけなので、和さんがスズと仲直りして戻ってきてくれて本当に良かったです。」
一足先にここまでの話を聞いていたけれど、二人の反応を見て改めてホッとできた気がした。
「そういえば、スズは?」
「あー思ったより体調が悪そうだったので、まだ寝かせてますね。」
「スズ、体調悪いの?」
「怪我してたとか?」
「いや、本人が気づいてないだけで、思ったより熱があっただけだよ。
尚弥が降りてきたら、診てもらうけどそんな大層なことじゃないよ。」
疲れていたんだろうなぁ。
右腕が折れてる状態で、平日はずっと遅くまで出かけて、あんまり寝てないみたいだったし、そりゃそうなるよね。
「いくらスケジュール調整しても、勝手に自分で仕事見つけちゃうからなぁ・・・。」
和さんがいない間も、私なりにどうにか減らせないか努力はしてみたけれど。
「そうなんですよね。僕も昨日、妖怪とエルフの会議にスズが参加しているのを見て驚きました。」
「え?和さんもそこに参加したんですか?」
昨日、スズがエルフの世界へ行くとは聞いていたけど、そこで和さんと偶然会ったってこと?
「そうなんです。僕の方は怪異の交渉人の手伝いに入ってただけなんですが、エルフとの揉め事があったということで、何故かその会議にまで参加することになって、そして何故かそこにスズがいたという感じで。」
「うわぁ・・・すごい偶然ですね。」
なるほど、だから一緒に帰ってきた感じだったのかな?
「まぁスズの方もフォーラスに攫われたエルフを見つけた流れで、参加することになったみたいですけどね。」
なるほど。
思ってた以上に忙しかったのかもしれない。
スズはそういう状況について、アンジェラさんには伝えてるみたいだったけど、私には細かくまで説明しないもんなぁ。
まぁ教えてたところで、私にはできることがないからなんだろうけど。
「アリスさんがちゃんとスケジュールや食事を管理してくれたおかげで、熱を出すくらいで済んでるんですよ。
あいつほっといたら、倒れるまで動き続けますから。」
それなら良かったのですけれど・・・
「でも、エルフと妖怪で会議があったんですね。」
「あぁ。それはスズの話を聞くに今回の起点は、そもそもフォーラスが原因なんですが――」
和さんの話を聞いて、その会議に至る経緯をまとめると、
フォーラスが攫ったエルフが妖怪の世界に逃げて、妖怪に襲われたエルフが妖怪とトラブルになったってことだと思う。
もともと、トラブルがあったとはいっても、本当にフォーラスというか兄であるブルースとブライアンはろくなことをしない。
「なんか、本当・・・フォーラス家として・・・申し訳ない限りです。」
「アリスが気にする事じゃないわよ。」
「そうそう。アリス悪くない。」
「気にしない気にしない。」
イザベルと続いて、日向達もフォローしてくれたけれど、それが繋がって和さんやスズにまで迷惑をかけて、更にはエルフや妖怪も喧嘩になってしまっていると思うと・・・
ため息も出てしまうのは仕方ないと思う。
「あの、因みに妖怪とエルフのトラブルは収まりそうですか・・・?」
「あー・・・それはちょっと、まだ何とも言えないですね。」
和さんが昨日の会議の話をしてくれたけれど、かなり大変な会議だったらしい。
会議は一旦持ち越しになったけれど、最後にそこでも個別にトラブルが起き、バースさんが仲介に入ったとのこと。
「やっぱり、考え方や基準が大きく違ってくる世界同士だと、そう簡単に解決しないですよね・・・。」
ここまで、颯太君やルーナさん、精霊達、そしてスズと和さんの衝突を見てきても一つ一つ問題は違うけれど、お互いの落としどころを見つけることが大変なことは体感してきた。
こんな小さな問題でも難しいのに、他世界の種族同士の大きな問題になってしまうと更に難しく見えてしまう。
「そうですね。スズの考え方って、極論すると“無理に分かり合わなくていい”なんですよ。」
「そうなんですか?」
それは、さすがに極論過ぎないかな?
「共存関係である以上、お互いに妥協点を探り続ける必要が出てきますが、他世界同士となればその必要性が薄く。
お互いにあまり妥協する姿勢がなくなることが殆どなんだそうです。
それなら、最低限だけ関わる方が平和な場合も多いって。」
確かに隣人関係ならともかく、普段はほとんど関与する機会がない他世界。
「そう言われてみれば、そうなのかもしれないですね。」
「まぁ今回は当事者がいるので、少しやっかいではありますが、何度も話し合いをして、これが着地点のないどうしようもないことだと分かるまで繰り返すしかない。
あいつは、多分そういう面倒なのを抱えたまま進む気なんだと思います。」
「んー和とスズは?」
「は?それとこれは別だよ。」
「本当にー?」
「そりゃあ、こうやって一緒に暮らす以上は、それなりに妥協はする方法を考えるよ。」
スズはスズの基準をこっちに求めてくるわけじゃない、どちらかというとこっちの基準を私達が求めている話だと思う。
でもその唯一譲れない基準が、私達にとってあまりに重すぎて、妥協する方法が分からない。
妖怪とエルフ達のように妥協が難しい場合、どうなるんだろう。
「なかなか難しい問題ですね。私は少しキャパオーバーになりそうです。」
「何よ。簡単なことじゃない。」
イザベルが入ってきた。
「えぇ?そうかなぁ?」
「変えられないこととして、受け入れるしかないじゃない。お母様もそうよ。」
お母様・・・そっか、ミランダさんは妖怪で、イザベルがハーフということは、ミランダさんの夫は魔法使いってことになる。
そこには当たり前に、妖怪と魔法使いとの違いがあったことになる。
「だって、そうでもしないと一緒にいられないもの。」
和さんも少し固まってしまった。
受け入れる。
それは、確かにある意味妥協することと同じ。
怪異の世界で和さんが言っていたみたいに、スズがもしも死んでしまっても受け入れるしかない?
「そもそもサーズは基本世界の人間である以上、私達が死ぬまでに何回も死ぬことになるのよ。それをカイルだって受け入れて、今のサーズと一緒にいるんでしょう?」
「・・・それは、そうですが。」
「何も、喜んで受け入れるって話じゃないわよ?でも、それがそうである以上、悲しいことも含めて受け入れないと、この先一緒にいられないじゃない。」
「うーん。イザベルが言ってること分かるかも。」
「そうかも。悲しいのが避けられなくても、嬉しいのも一緒に受け入れられるもんね。」
そっか。
生き物としての違いは、どうしようもない。
れが避けられない未来だと分かっている以上、認めなければたしかに一緒になんていられない。
「・・・それが寿命なら、イザベルさんが言う通りだと思います。
ただ、あいつの場合は早死にしすぎ、というかそういう選択を軽々と選ぶというか。」
「まぁそこはwalkerだからこそ、そうなるんでしょうね。
サーズの性格もあるでしょうしね。でも、フィフのように隠居生活して欲しいわけじゃないんでしょ?」
「まぁ・・・。」
「それにそれなら、サーズもかなり妥協してきてるんじゃないかしら。そうでしょ?」
「そうかもしれません・・・。」
イザベルの言う事は分かる。
スズが前に和さんと喧嘩した時に言っていたように、行動上で簡単にその選択をしないように努力をしている。
それが、今感情的にも少しずつ変わってきているのだとしたら、今は私達もそれを認めて受け入れるべきなのかもしれない。
「イザベル凄ーい。」
「さすがイザベル姉さん!」
「ふん。頭が固いのがお互い様に見えただけよ。」
「ふぁぁ・・・。朝ごはん・・・・。」
尚弥さんが階段を降りてきたことで、張り詰めていた空気が少し緩んだ。
けれど、確かに私や和さんは急いで答えを取りに行こうとしていていたのかもしれない。
簡単には答えが出ない問題だと分かっている以上、ゆっくりとでも落ち着いて進めていくくらいが本当は良いのかも。
焦って追いつこうとするほど、スズとの距離は逆に離れていってしまう。
そもそも、誰が誰に追いつこうとしていたんだっけ?
けれど、一番難しいのは、多分そこじゃない。
受け入れる側ではなく、受け入れられる側であるスズ自身が、どう答えを出すのか。
「珍しく朝から賑やかだねぇ。」
「なんか目が覚めたー。」
「気になってしょうがなかったー。」
「そりゃそうだよね。まぁ戻るところに戻ってきたのは、良かった良かった。」
「・・・・ご心配おかけしました。」
朝食を和さんから受け取り、尚弥さんがテーブルに座った。
私は食後のコーヒーを頂きながら、和さんと尚弥さん二人の様子を横目に見た。
日向達は、ひとまず安心したように二度寝へ戻っていった。
また階段を上がって行ってしまった。
「んでー?昨日夜上がってこなかったってことは、そういうことでいいのかな?和ー。」
「そういうことでいい・・・。」
尚弥さんはニヤニヤしながら、サラダを口にする。
「それなら、改めて良かった良かった。」
「あいつ熱出してるから、あとで診察は頼む。」
「はいはい。まぁそうだろうね。」
「腕の調子は?」
「順調だよ。ちゃんと動きは制限してるみたいだし、アリスさんのおかげかな。」
尚弥さんと目が合った。
「良かったです・・・。」
「いやぁ。これでどちらか逃げる方向にいったらどうしようかと、昨日アンジェラさんと喋ってたよ。」
「なんだよ、逃げるって。逃げるわけないだろ。」
「そりゃあそう思ってはいたけど、曖昧過ぎる関係はどこかで外から大きなことがあった時に急に変わることもあるじゃん?」
「はぁ?」
おおう。
いきなり不穏な話になってしまった。
「分かんないじゃん?和にも急に魔法使いで気が合う人ができるかもしれないし?
スズだって、一部では外面は良いからねぇ。」
「ほうほう?言うじゃねぇか。こちとら人生の半分関わってんだ、そう簡単に変わってたまるか。」
「っていったって、間に会っていない時間の方が、ずっと長かったんだろう?」
「・・・そりゃそうだけど。」
「で、その間ずっと“自分だけが特別だ”って確信してたわけでもないだろう?」
「・・・・。」
「なんだよ。今日は朝から吹っ掛けてくるな。」
たしかに。
尚弥さんどうしたんだろう?
「和は、これくらいの方がいい。お前はもう少し自覚した方がいい。
“自分が選ばれてる側だ”ってことも含めて、多少外から傲慢に見えるくらい、自信を持っておいた方がいい。」
「・・・・あー・・・・。それは悪かった。すまん。ありがとう。」
あー・・・
和さんと一緒に、私も少し反省してしまった。
自信がなくて不安になるってことは、凄く分かる。
それが今回の和さんが出て行ったことに繋がってるんだろうなぁ。
答えを急いでいたんじゃなくて、不安に背中を押され続けて、立ち止まれなかったのかもしれない。
一人で抱え込むほど、視界が細くなって、それしか道がないように見えてしまうから。
本当の意味では、まだ何も終わっていないのかもしれない。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




