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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第二部 第四章 接触 × 価値観 境界の崩れ
199/201

答え:鳥が先か、卵が先か

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

エルフの世界から和と帰り、一階へ上がったところで同時にヒナ達が降りてきた。

どうやらナオが、ちょうど玄関から入って来たところだった。


その三人の姿にやや驚いた表情で、和が口を開く。


「あー・・あのな――」


「かかかかかかか!!!和ーーーーーー!!!」

「和だーーーーーーー!!おかえりーー!!!」


「ま!待て待て待った!ちょっと立ち寄っただけだ!ちょっと待てって!」


「えぇ?帰ってきたって訳じゃないの?僕、良い場面で来たなと思ったのに。」

「まだ、スズと何も話してねぇ。」


そんなナオとのやりとりも気にせず、ヒナ達は逃がさないとばかりに、和の両脇から腕にしがみついた。


「和ーご飯一緒にしよー!」

「アリスがタコパってー!」

「いいね。タコパ。」


まぁこうなっては、話より先に夕飯にした方がいいだろう。

ヒナとヒデに引っ張られて階段を上がっていく和の後ろを、ナオと一緒に続いて上がった。


三階は全員揃っていたこともあり、更に賑やかになっていく中で、さすがに和も諦めたように、アリスの手伝いをしながらたこ焼きを焼き始めた。


「これは美味しいね!日本酒ー、日本酒ー。」


最初に焼きあがった定番のたこ焼きを食べながら、アンジェラは酒を取りに台所に向かうと、その背中を和が声かける。


「おい、手前から飲んでいけよ。中途半端に空けてあるのが見つかると、面倒なんだから。」

「なんだい。飲み切れば良いだろう?任せな!」


「美味しいー!アリス!さいこー。」

「これ、チーズも合いそうー!」

「キュウ!」「キーキ!!」「キュキュ」


「良かったー。そうだね。こっちはチーズにしよっか。あとはシーフードミックスとー。」


平日はみんなの顔をゆっくり見る機会がなかったけれど、元気そうで良かった。

賑やかな声を聞きながら、少しだけ肩の力が抜ける。


会議の空気も、

エルフ達の怒号も、

まだ頭の奥には残っている。


それでも今は、湯気と笑い声の向こうへ、怒号も緊張も押し流されていく気がした。


「和はダメだとして、あんたは飲める口かい?」

「頂きまーす。」


ナオはグラスを受け取り、アンジェラの視線がそのまま私に流れる。


「スズは?」

「遠慮しとくよ。」

「そうだね。まだ薬が入ってるから、今日は控えておいてね。」

「そりゃそうだね。悪い悪い。」


それに最近は睡眠不足だから、悪酔いしそうな気がする。

最近はソファで横になっても眠気がなかなか訪れず、走ってみたりもしたけれど上手く眠れない日が続いてしまってる。

今日は早めに眠れるだろうか。


「スズ、こっちに乗せておくからね!」

「ありがとう。」


アリスが焼けたたこ焼きを小皿に分けていくので、その一つを受け取った。


「アリスさん、焼くの交換しましょう。」

「ありがとうございます。」


焼く担当を和と交代して、アリスも楽しそうに食べ始めた。


「ソーセージ!良い!」

「コーンも意外と美味しいよー。」


「最初のタコもまた食べタイ。」

「チーズ。」

「エビ。美味シイ。」


ヒナ達に続いて、ウーノ達の舌にも合ったようだ。


「和!次チーズ!」

「はいはい。」

「ソーセージも!」

「一気に言うな。」


「私もタコまた食べたい。」


ヒナ達のリクエストに続けて、ルーナもリクエストを出しつつ、アリスの横で静かに食べている。

その様子は、最初の頃よりも少し楽し気に見える。


時代や状況に応じて判断や基準が変わってしまうことを、よく分からないと質問してきた彼女。

こうして、しばらく日常生活を経験することで、その生活の中でも価値観や基準の小さな違いが見えてくる。

それを随分と体感してきているのかもしれない。


とはいえ、彼女はいずれ死神の世界に戻る。

その辺の線引きについては、ガルシアからも注意が入っていると思うが、大丈夫だろうか。

彼女の報告書の文章からも、少しずつアリスに似てきているような気がする。


夕食後は、アンジェラとナオはそのまま残り、トッピングに使っていた具を焼いてつまみにしながら、そのまま本格的に飲み始めた。


ヒナ達は先にお風呂へ向かい、ルーナとアリスもその後ろについて二階へ上がっていく。


「ルーナもたこ焼きどうだった?」

「・・・初めて食べた。けど、美味しかった。」


「やった。良かったー!」


賑やかな声が上へ遠ざかっていった。

それを見送り、和と二人で階段を降りようと立ち上がると、飲んだくれの二人が話しかけてきた。


「ぶふふっ。ここで話したって良いんだよ?」

「絶対に嫌だ。」


「えー僕達だって気になってるのに。」

「それは感謝してるが、まずは落ち着いて話をさせろ。」


アンジェラ達に見送られて階段を下り、玄関へ向かう。

最後に話した時と状況はまるで一緒のようだ。


和はあの時と同じように先に玄関をくぐり、庭の外へ進みながら口を開く。


「最後に話した時と同じだな。」

「……。」


さっきまでが賑やかだった分、和の声が急に静かに感じる。


「少しは頭が冷えたよ。」

「そう。」


「それでも、全部納得したわけじゃない。」

「だろうね。」


和はあの時をなぞるように、庭の中央まで足を進めた。


「でも、お前がそういう奴なのは知ってる」

「そう。」


「・・・・。」

「……。」


「だから、俺はいつも好きに選んでる。・・・・馬も灯も両方選んでるつもりだ。」

「そう。」


和が私の方へ振り返った。


「お前は?」

「……。」


「俺は好きにしてる。なら、お前はどうなんだよ。」


私が、どうなのか。

みんなそれぞれ違う言葉であったけれど、そこに必ず含まれていた私への質問。


その私の答え…


「…私は、先に失うリスクばかりが前に出る。」


「・・・そうだろうな。」


和のその言葉に、少しだけ笑ってしまいそうになった。

やっぱり私の周りの方が、私の知らない私のことをよく知っているようだ。


「だから、見ないふりをし続けていた。…結果、本当に見えなくなってしまっていた。」


無意識に、私は和の方へ向かって少し足が前に進んだ。


「質問に質問を返してしまうけれど、良ければ教えて欲しい。

…私が…もしも私が、傍にいて欲しいと願ったとしても、お前は幸せだろうか?」


「・・・・・・・・・。」


月明かりに照らされた和の表情はハッキリ見える。

それは、かなり驚いているように見える。


でも返事はしづらいのか、静かな風の音だけが流れ続ける。


「変なことを言ってることは、分かってる。」

「いや!ちょ・・・待て。言葉に悩んでるだけだ。」


和もこちらへ歩み寄り、互いの距離はもうほとんど残っていなかった。


「お前最近、無意識や無自覚が多すぎないか?」


「そう…だろうか?」


今の言葉は、意識的に口にした。

たしかに、伝言には近い内容だとは思うけれど――


「私は、大切なお前には平和でいて欲しいと思う反面、どこかで…傍にいて欲しいとも願っている。

だけど、その願いを私だけの都合にしたくない。だから――」


視界が暗くなる。

久しぶりの和の匂いに、止まっていた眠気が静かに戻ってきた。


「・・・・俺が好きでここを選んでんだから、それくらい分かれよ。」


何故か、温かい気がする。


「俺はここを選んでる。だから、お前も勝手に決めんな。」


「それなら、嬉し――」


言葉が途切れた。


嬉しい。

けれど同時に、胸の奥に残った不安はそこにある。


「……それでも。」

「ん?」

「私は多分、また同じことを考える。」


和が少し眉を寄せた。


「失う方を先に考えて、距離を取ろうとする。」

「・・・・。」


「エルフも妖怪もそうだけど、結局それぞれ大事にしてるものが違う。

私も、お前も、多分違う。」

「あぁ。」


「だから、いつかまた、同じことで悩む気がする。」


それはなんとなく確信が持てる。


「失うのが怖いから距離を取るのか、距離を取るから余計に失うのが怖くなるのか、もう分からない。」


少しだけ沈黙が落ちた。


「・・・・それでも、今はここに居る。」


和はそう言って、小さく笑った。

その答えだけで、十分だった。


問題や不安が消えたわけじゃない。

価値観の違いも、失う怖さも、多分これからも残る。


それでも、見ないふりだけは、もう出来ない気がする。


「で、会議中ずっと気になってたんだけどさ。」

「何が?」


「お前寝てないだろ。クマが出てるぞ。」

「あー…何故か最近眠れないんだ。けど、今はかなり眠たい。」


「・・・・。」


和が私の手を引いて、玄関へ足を向けた。


「風呂、先に入れば?」

「明日でもいいだろ。」


それでもいいか。

そのまま真っすぐ地下の寝室へ入った。


布団に沈んだ瞬間、今まで堰き止められていた眠気が一気に押し寄せてきた。


あぁでも、色々と聞きたい事もあるんだ。

なんだったか。


「そういえば……。」

「ん?」


「…崑癒の家に、和達もいたんだな。」

「あぁ。そうだよ。崑癒さんと話してたけど、途中でリュースが入ってきたりで撤退する形になったけどな。」


「私もそこにいたんだ。その途中でアリス…と、目が合ったらしい…。」

「は?お前あそこにいたのか。」


瞼は自然に落ちてきて、視界は真っ暗になったけれど和の気配は分かる。


「なんだよ・・・あと少しだったんじゃねぇか。」


「……まぁそうだね。…こないだ、一緒に寝た時に…アリスもそう言ってた。」


さっきまでとは違う、静かな声が落ち着く。


「またアリスさんと寝たのか。」

「…心配、かけたから。」


「・・・・・。」

「…お前はお前だよ。」


安心させられる明確なものはあげられないけれど、それでも…


「・・・はぁ。もう簡単に手放す気はない。おやすみ。」

「……ん。」

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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