答え:その命短し、急ぎ足で丁度いい
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
「失礼。」
「お、来たね。熱が出たって?」
一階の応接室に入ると、すでにナオが準備をして待っていた。
「疲れてたんだと思う。」
「まだ眠そうだね。」
そう言われると、まだ少し眠いような気がする。
「ひとまず熱から測ろうか。」
「ん。」
体温計を受け取る。
–コンコン
部屋をノックする音は聞こえたけれど、確認する気が起きない。
顔も上げず、そのままソファに座り込んだ。
「水持ってきた。」
「あぁ。忘れてた、ありがとう。スズこれ飲んで。」
「ん。」
和の声。
テーブルに置かれた錠剤と水。
「なんか眠そうだな。大丈夫か?」
「ね。珍しくぼやっとしてる。」
「特には。」
体温計を落とさないようにしながら、テーブルの錠剤と水を手にして口に含んだ。
確かに少し、二人の声が遠い感じはする。
眠気が、まだ頭の奥に薄く霧のように残っていた。
「和。もしかしたらこのまま寝そうだから、そこで待機してもらっていい?」
「それは構わないけど・・・。」
「いや。寝ないよ。」
「スズ。今どんな顔してるか分かってる?」
「普通の顔。」
そんなに眠そうな顔してるだろうか?
昨日は、かなり寝た方だと思う。
夕食後、少し話して寝た。
そして朝に一度起きて、二度寝したことも考えると10時間ちかく寝ている気がする。
隣側のソファが沈み、和が腰を下ろしたのが分かった。
「一応鎮痛剤も入ってるから、多少眠気はあると思うけど、それにしても普段より眠そうな感じだよ。」
和の匂いがふっと近づき、余計にぼんやりとした感覚が強くなった気がする。
「そう。じゃあ診察が終わったら、もう一度寝ておく。」
体温計が鳴った。
左側の視界に和の手が入ったので、体温計を渡した。
「やっぱ高いな。そうだな、今日は寝ておいた方がいい。」
「ん。」
右目の視界がないけれど、右側に和が確かにいるのが分かりそちらに寄りかかる。
「!?」
「わぁ。これまた珍しい。けど服脱げる?」
「ほら、脱がすぞ?」
「ん。」
「もう眠いなら寝てしまっていい。こっちで勝手にする。」
「眠い…わけではない。まだ確認したいことがある。」
多分昨日のことでアーシャからも連絡が入っているはず。
ルーナの報告書もまだ見れてない。
ミランダからの件もある。
あとは……
とにかく、急ぎの内容もあるかもしれないから、先にそれを確認しておいたほうがいい。
少し目を離しただけで、状況はすぐに変わる。
放っておけば、時間なんてすぐになくなる。
後回しにしたものから、取り返しがつかなくなることを私は知っている。
そういえば、勘右エ門とも話の途中だった。
クラーレンのことといい、フォーラスからの命令といい、やっぱり和には引き続きアリスのことをお願いすることになるだろうな。
あぁそうだ。ミランダからの連絡は確かシャロンの件についてだったはず。
確か、もう一度話がしたいとかで言ってきてるとか。
思い出すと、少し体が重くなる。
情報を持っていることは確かなんだろうけれど、彼女と交渉するとなるとフィフのことと言い、あまりこちら側にとって釣り合いがとれる材料ではない可能性が高い。
しかも、それが罠の情報である可能性まである。
それならクラーレンやブルースと交渉する方が、よっぽどマシだ。
何もない静寂より、問題を積み上げている方が、まだ足場がある気がした。
「…ん。」
気が付くと、寄りかかっていたはずの和の肩はクッションに変わっていた。
それに腕には包帯が巻かれ終わり、既に診察もほとんど終わっている気がする。
「かなり、ぼんやりしてるね。和は服を取りに行ったよ。」
「ん。」
「スズは自覚が薄いだろうけど、和のことを他の人より信頼してるんだから、もう少しそれを口にした方がいいかもね。」
「…?ナオ達のことも信頼してるよ。」
「それは分かってるけど、その中でも和への信頼が一番高いでしょ?」
「……そうかな。」
「さっき横に座ったのがアリスさんなら、スズ寄りかかる?」
和じゃなくてアリスなら…彼女なら多分。
「寄りかからない。」
「そういうこと。」
「…そうなのか。」
「和はそこを不安に感じてて、スズはそれを自覚してない。
そりゃ本人達は噛み合ってないって感じるよ。」
「……和は、楽だから。」
「それを信頼って言うんだよ。」
最後にナオが、私の右目の眼帯をつけなおした。
「はい。終わり。」
「ありがとう。」
「僕が言えるのはここまでね。後はよろしくー。」
そういうと、和が開いた扉の前に立っていることに気が付いた。
ナオは早々に片付けて、和の横を抜けて部屋を出て行った。
「お前、やっぱり眠いだろ。」
「……。」
和はそれを不安に感じてる?
「おい?おーい?目を開けたまま寝てるのか?」
「起きてる。」
「大丈夫か?本当に尚弥が言うように、かなりぼんやりしてるぞ?」
「私の言葉が、お前にとって負担になるくらいなら、何も伝える気はない。」
「・・・・。」
あくまで、引き留めたいわけじゃない。
傍にいて欲しいと同時に、自由であって欲しいのも事実。
「お前の基準だと、そういう距離感が正しいのかもしれない。
でも俺は、一方通行なら意味ないと思う。」
「…そう。」
「ま。お前が言わない分、俺が言えばいい話だな。」
「それだと、不安にさせるだけだろう。」
「前はそうだったけど、今は少し分かった。
お前は嫌な時は嫌って言うしな。これでも今のお前を一番よく知ってるつもりだからな。」
「……助かる。」
「ひとまず何かやりたいことがあるんだろうけど、一度寝ろ。1時間したら起こすから。」
「ん。」
和の気配が近づいてくる。
その安心感に引かれるように、意識を手放した。
—
スズが、そのまま力を抜いて倒れ込んできた。
慌てて支えながら、ソファへ寝かせ直す。
「お前は勝手に、俺の先のことまで負い過ぎだ。」
完全に寝入っているスズに届くはずもない言葉。
長命のくせにスズが生き急いでるのは、恐らくはこちらの為。
アリスさんからすれば魔法使いもそれなりに長命とはいえ、こいつからすればそれも短い。
「おや?お邪魔かい?」
「どうした?」
アンジェラがスズが寝ているのをみて、声を抑えた。
「いやね。あんたが今サポートに入っている、怪異とエルフの交渉とは別に、あたいもちょっと怪異のサポートに入ることになったよ。」
「は?なんで?」
「怪異側でちょっと問題が起こってるみたいでね。フォーラスが暴れてるんだろう。
多分あんた達が見た狐の家のことと同じことが、他の場所でも何件か起こってる。」
「・・・あいつら、本当にさっさと捕まえたい。」
「そりゃあそうなんだが、そのせいで交渉人の魔法使いも疑われたりでバタバタしてんだよ。」
そうなると、俺もアンジェラも時折、怪異の世界に出向く必要が出てくる。
その間、相談所をどうするか。
「だからグェンには、早めに来るように伝えたよ。多少は急いでくるだろう。」
「そうだな。グェンが、いてくれるなら助かる。」
そういえば、グェンのことを忘れてた。
「まぁそういうことだから、スズにも伝えておいてくれるかい?」
「分かった。あと、アンジェラ。」
「何だい?」
要件を済ませてすぐに立ち去ろうとするアンジェラを引き留めた。
「今回は色々迷惑をかけた。悪かった。助かったよ。」
「ったく、このくらいのことで、いちいち何回も謝んじゃないよ。」
これくらいとは言ってるが、こういう時頼りにできる相手は限られる。
アンジェラが、いてくれたことには本当に感謝してるつもりなんだが。
「あたいから見れば、あんた達がそうやって表情を見せてくれて安心してんだ。」
「俺はそこまで無表情じゃないが?」
アンジェラが、扉にもたれる。
「いいや?戦時中のあんたは酷いもんだったよ。まるで人形のようだった。」
「・・・まぁあの時期は、家族を亡くしたばかりだったから。」
あの時期は確かに、考えることを放棄していた。
「それに、スズも。出会った当初は、ここまで話さなかったしそもそも付き合わなかった。」
「そうか?こいつ結構面倒くさそうにしながら、面倒見は良い方じゃないか?」
「そうだったんだろうけど、こいつ自身が全く喋らないし、すぐにどっか行くから、そんなの知りようが無かったよ。」
そういえば、最初の頃は要件だけ言ってすぐに立ち去っていくイメージがあるな。
「言われてみればそうか。」
「そんな二人が、こうして良くも悪くも色々な表情で、喧嘩するんだから、そりゃ安心もするさ。」
「面白半分に見てるようには見えるが。」
「そりゃ、その為にそれなりに苦労もしてんだから、多少は良いだろう。」
尚弥と一緒におちょくってくるのは、時々イラっとはするけど、結局それも含めて優しさなのは分かってるつもりだ。
「程々に頼む。」
「それは、あたいより日向達に言うんだねー。」
アンジェラは、静かに扉を閉めて出て行った。
そうか。
そういえば、スズは出会った当初からほとんど変わってないように見えてたけれど、アンジェラが言うようにもっと喋らなかったな。
最低限だけ要件を伝えて、すぐに去っていく。
それでもスズには、
「これで合ってるか?」
「これで良いのか?」
と、何度も確認していた気がする。
そして、日向達と一緒に言葉足らずだと何度も言ってきた。
でも、アリスさんがいる今、アリスさんに対してもかなり話をしている姿を見てきた。
それに、最近だとルーナさんに関しても、本人は線引きを引いてるつもりだろうけど、それなりに気にしてる様子が伺える。
自分を軽く見積もるなと何度も喧嘩して、そういう選択も知らず知らずのうちにちゃんと変えようと努力している。
まぁその中で多少は、合理的過ぎる部分はあるけれど、それがスズだからな。
「お前も、結構変わろうとしてくれてたんだな・・・。」
スズは、考えることを諦めず、地道に考え続けていた。
「でも、もう少しくらい、ゆっくりでも良いだろ。」
お前にとっては短い時間でも、急ぎ過ぎる背中を追いかける俺達は、時々息が切れそうになるんだよ。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




