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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第二部 第四章 接触 × 価値観 境界の崩れ
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答え:足下から立つ鳥に、今さら気が付くことも

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

「池田。今日業務後、ちょっと話せるか?」


月末の作業まとめを進めている時に、いつもの先輩から声をかけられた。

最近、何度も何か言いたそうにこちらを見ていた先輩だ。


「どうしたんですか?ちょっと早めに帰ろうかと思ってますけど、何かありましたー?」


パソコンから顔を上げ、返事を返す。


「いや。ちょっと、来月以降のメンバーもまだ分かんないし、できれば話がしたいなぁと。」


「…?分かりました。」


仕事を定時で終え、リュースがいた時のように一緒にビルを出た。


「あっちの喫茶店に寄ろう。」


そう言うと、以前リュースが案内しようとしていた、少し離れた先にある喫茶店へ先輩は歩いて行った。

あの時のことが、何か気になっているのかもしれない。

一応しばらく様子は見ていたけれど、詳細をはっきり覚えてはいないようで、夢のように感じている様子だった。


しばらく歩くと、リュースの扉を入る前に私が引きずり込んだ、手前の路地に一瞬視線が向いた。

やっぱり覚えているのだろうか。


喫茶店に入りそれぞれ注文を終えて、テーブルに着いた。

時間的に少し人は多いけれど、会話ができないほどではないだろう。


「どうかしたんですか?」

「えー・・・と。あのさ。・・・こないだ、俺変な夢見たって言っただろ?」

「そうですね。それがどうしたんですか?」


やっぱり、あの時のことを聞きたいのだろう。


「夢まで見るってことは、やっぱり言うべきかと思ってさ。」

「はい?」


今日は、相談所のミーティングは少し遅かったはず。

多少、話をしたところで遅れることはないだろう。


「あのさ・・・。」

「はい。」


しばらく言葉を選んでいるようで、沈黙が流れる。

店内の人の声が騒がしい。

それでも先輩の口からなかなか要件は出てこない。


「・・・えぇと。あのさ。」

「何ですか?」


少し緊張するように肩をこわばらせて、何か溜めているような表情をしている。


これは…もしかして。

いや、そこまで先輩との関係があったとは思えないけれど。

やや顔を赤くしている様子は、見覚えのあるものだった。


「先輩…あの。」

「お!」

「待ってください。」

「俺と付き合って下さい!」


言われてしまった。

周りの席の人達の視線が集まる。


「先輩。」

「・・・・はい。」


先輩はやっと言いたいことを言えたことで、少し緊張は抜けたようだけれど、私の声に肩が跳ねた。


「まずは返事しますね。すみません。」

「・・・・・・・・・・はい。」


先輩の声と一緒に周りの人からも溜息が漏れる。

とはいえ、受け入れる訳にもいかないだろう。


「申し訳ないです。もしお話が以上なら――」

「なぁ。」


この空気の中、長居をしても良くないだろうし、話を終えたいのだけど。


「はい?」

「もし良かったらさ・・・まずは試しに付き合ってみたり・・・。」


まだ諦めてはいないようだ。


「…ダメですね。」


もちろんお互いがまだ分かり合えてない関係同士、この年にもなればそういう考え方もあるだろう。


「申し訳ないですが……」


あいつも昔、同じ顔をしていたな。


「私にとっても、大切な人がいるので。」


このセリフは断る上で、使いやすい言葉として使うこともある。

それでも今回使った理由は、違うのかもしれない。


「そっか。・・・でも、前に付き合ってる人はいないって噂も聞いてたから、お前も片思いって感じなのか?」


時々、女性同士の会話ではどうしてもそういう話題になる。

その時、面倒くさくてそういうことを言ったかもしれない。


でも。


「そうかもしれないですね。」


「・・・・・そっか。告白しないのか?」


この話に踏み込んでくるのか。

やけくそなのか吹っ切れたのか、いつもの先輩になっている気がする。


「しないですよ。……大切な人が幸せなら、それでいいので。」


それに、そういう感情とは少し違う。

頼ってしまうくらいには依存していた。

けれど、自分と同じ重さを相手に求めたいわけじゃない。


「くそう。めっちゃ想ってんじゃん。ダメかぁ。」


「…そうですね。それに、先輩。また来年も一緒に働くかもしれないですよ?」


「・・・そうなんだけどさぁ。違う部署に行く可能性もあるだろ?

もしまた同じチームなら、ちょっと頑張ってみる!俺も良い男だぜ?」

「はいはい。まぁ配置は分からないですけど、先輩ならもっと良い人見つかると思いますよ。」


「うわぁ。めっちゃ断ってくるじゃん。」

「返事はハッキリした方がいいですからね。それじゃあ先輩、お疲れ様です。」


再びしょんぼりした先輩を残して、喫茶店を出た。

先輩はプライベートと仕事をちゃんと割り切れるタイプではあるし、問題ないだろう。


それよりも、会話の時に思い出した顔の方が気になる。

颯太が来た頃、関係性について気にしている様子はあった。

恐らく、期待している関係は先輩が考えていた様な関係なのだろう。


…それに答えられる気がしない。


いつもの駅のプラットフォームに入れば、そういう関係の男女が目に入る。

家系を気にすることもなくなり、上下関係というのも目立たなくなった今の時代。

そういう恋愛関係に、今の時代はあまり隔たりもない。


生き物としては、当たり前のこと。


「……。」


こういう考え方をしてる時点で、自分とは別に考えてしまっていることになる。


きっと遠い昔。

最初の頃は、そうじゃない時もあったのかもしれない。


–めっちゃ想ってんじゃん


そういうことになるのだろうか?

勝手に幸せを願うだけの中途半端な答えのつもりだった。

和へ伝えた伝言と同じく、ただ投げただけの――つもりだった?


つまり――

隠している“つもり”だったのは私だけで、気持ちはとっくに漏れていたんだろう。


気付かないまま飛び立とうとしていた鳥に、今さら気付いたような気分だ。


「ちゃんと伝えたよ!」

「そう。」


アリスからは元気な返事が返ってきた。

もし、伝言を伝えるタイミングがなくまだ伝えていなければ、取り消そうかと思っていたけれど既に無理だった。


「ぶふっ・・・。」


アンジェラには、伝言の意味が分かったのだろう。

その様子を見て、アリスが「え?え?ダメだった?」と困惑している。


「いや、大丈夫だよ。ありがとう。」


今日は一件のミーティングを終え、三階へ上がるとアリスとアンジェラが喋っていた。


「その様子を見るに、自覚はあんまりなかったんだね。ふっははっ。」

「キュウ?」


アリスから肉うどんを受け取り、ダイニングテーブルに座った。

アンジェラは三つ隣の席で、面白がるように肩を震わせ続けていた。


「まぁそういうことだね…。」

「お?素直じゃないかい。」


困惑した表情のままアリスも私とアンジェラの間の隣に座った。


「今さら誤魔化せるとは思ってないよ。」

「おやおや。日向達が喜びそうだ。」

「???」


「とはいえ、どっちに受け取るかは和次第だよ。」

「ふふっ・・・あいつもアリスと同じく、困惑した顔をしてたよ。」


そうだろうな。

私自身、そこまで明確な意図で伝えたつもりはなかったのだから。


「スズ・・・えーと。聞いちゃダメかな・・・?」

「そうよ。気になるわ。」


「…できれば和の回答を聞いてからにして欲しい。」

「ぶふっ!あははははっ!」


気になっているアリスとイザベルには申し訳ないけれど、私にも答えづらいことはある。


「むー・・・。」


アリスの持っている古い本に目がいく。


「懐かしい本を読んでるね。」

「スズ・・・これ知ってるの?」


「昔、魔法使いの学会に参加した時に貰った物。

そのしばらく後に、確か和が一から魔法を学びなおしたいと言い出していたから、私が持っているより良いだろうと思って渡した。」


本の端はボロボロになっているけれど、ちゃんと読める状態で保存していたのだろう。


「そっか。スズのだったんだ。今頑張って読んでるよ。」

「当時学会で発表されたものや過去の魔法詳細もまとめてあるから、勉強には良いだろうね。」


「でもかなり古いわよね。明かりの魔法も松明の火をベースに考えたりしてたわ。」

「当時は、怪異や基本の世界とトラブルもあったけど、交流も多かったからそういう交流情報から生まれた魔法もあるだろうね。」


その後に少しずつ隣り合った世界でも、それぞれ別々に成長をし始め、その価値観の差も広がっていった。


「そっか。その時に魔法が生まれた経緯は、その時の環境によっても変わるよね。」

「そういう基礎の経緯については、グェンのほうが詳しいだろうね。」


アリスの瞬きが多い。

眠いのだろう。


「…アリス。片づけは自分でできるから、先に寝て大丈夫だよ。」


「・・・そう?」

「そうそう。あたいももう少しいるから、先におやすみ。」


まだ食べてる途中だし、最後まで付き合わせるのも申し訳ない。


「分かった。スズ、アンジェラさん。おやすみなさい。セイ行こう。」

「キュウ」


「おやすみー。」

「おやすみ。アリス。」


アリスは、セイを手に乗せてゆっくり階段を上がって行った。

その足音が遠くなっていき、最後に扉を閉める音が小さく聞こえる。


「で?」

「アリスは最近精神的にも落ち着いているし、目立った異変はないよ。

カイルが怪異の世界で捕まえたリュースについては、シャロン・フォーラスが留置されている場所を気にしている様子があるとは言ってたね。」


以前、この三階まで襲撃が入った時。

アリスが、ブライアンからの命令をその真名に受けているという話は聞いていた。


「真名に関しては、様子を見るしかなさそうだね。

シャロンについてもミランダと連携して、リュースにもフォーラスにも居場所が漏れないようには頼む。」

「そうだね。スズの方は何か気になることはあったかい?」


「私は攫われた種族探しに関連して、エルフと妖怪のトラブルに少し参加する予定。」


「・・・それは、また面倒そうだね。」


それは今週末に会議の席に同席するとして。


「妖怪の世界については、カルとイェがフォーラスの痕跡を追っているけれど、今見つけた場所はどれもクラーレンの通路を使っていた時の拠点が多く、今使っている場所はまだ見つかってない。

先日狐への襲撃もあったことは、ミランダにも連絡したけど、すぐに撤退しているから追いかけきれなかったそうだよ。」


「ふーん?今後はどうするんだい?」


フォーラスを追いかけることについては、妖怪の世界はミランダも交渉人を使って少しずつ包囲網を広げている。


「先日のトラブルの件も注意喚起はしているから、妖怪の世界をこのまま自由に動くのは徐々に難しくなっていくはず。

別の世界も攫われたエルフの世界や他のドワーフ、神獣関連の世界と合わせて確認する。」


妖怪の世界で、ミランダ達が捕獲できればそれで良いけれど、他世界への移動方法を持っている以上、また悪魔の世界等に逃げてしまう可能性の方が高い。


「アンジェラは、アリスを頼む。クラーレンも干渉してきているみたいだし、フォーラスもまた手を出してくる可能性はある。」


精霊や妖精の能力を借りて、アリスの夢に干渉していることについては勘右エ門の手を借りているけれど、クラーレンも他の方法に変えてくるかもしれない。


「色々あるのは分かるけど、あんたの目的はあくまでアリスの保護だよ。」


「…そうだね。気を付けるよ。」


フォーラスを追いかけることも、攫われた者を探すことも、できる範囲の引き際も意識しているつもりはある。

それでも、トラブルが重なってアンジェラの言う通り、本来の目的に手が回らなくなっては意味がない。


「カイルのこともスズにとっては大事なことだろう。」

「そうだね。」


アリスの魂が見える特性についても、精霊にもう少し話を聞きたい。


和のことも…

エルフと妖怪の話し合いが終わった後にでも、魔法の世界に行こうか。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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