↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第二部 第四章 接触 × 価値観 境界の崩れ
192/201

疑問:全部は分からなくても、大事なことは分かるよ?

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

「和。いるかなぁ?」

「アンジェラー。そういえば、この後はどうする予定?」


アンジェラさんに向かって、日向と秀人が少し不安そうな声を出した。


一つ上の階へエレベーターで移動する。

降りると、さっきとほとんど同じように、いくつかの仕切りに分かれた職場が広がっていた。

交渉人って、思ったより人数が多いね。


「この後のことは、ひとまずカイルを見つけてからだね。んー・・・・・・あ。いたね。」

「え!?どこどこ?」

「どこー??」


いた?


アンジェラさんの視線を追って日向達と顔を向けたけど、そこにはやたらと人が集まっていた。

人が多すぎる。

というか、女の人が多くない?


「アンジェラ?見えないよ?」

「いや、あれだろ。」

「あれ?」


アンジェラさんが、女の人達が集まっている場所に向かって進み始めた。


「カイル!」

「!」


あ。本当だ。

女の人達がアンジェラさんの声に反応して振り向くと、その奥に座っていた和さんの姿が見えた。

和さんだ。


「和ー!」

「かーず!」


相談所の時とは少し違い、Yシャツにジャケットのきちんとした格好をしている。

アンジェラさんの後ろに私達がいることに気付くと、見慣れた驚いた表情を浮かべた。

それを見て、少しホッとした。


「は?アンジェラ?・・・はぁ?みんな連れてきたのか?!」


人垣をかき分けるように、和さんがこちらへ歩いて来た。


「相変わらずだねぇ。」

「「和!!」」


近づいて来た和さんに日向達が抱き着くのを見て、和さんの後ろから黄色い声が響いた。


うわぁ・・・

女の人達の視線が、細い針みたいに刺さってくる。


「・・・わざわざ来たのか。」

「まぁね。昼飯は?」

「行こうか。ちょっと集中できなかったし、助かった。」


こちらを睨んでくる視線を無視しながら、和さんと一緒にエレベーターへ戻った。

もうそのぐらいの視線なら気にならなくなってきた気がする。

それにしても和さんは、相変わらず女性からの人気度が高い。


日向達が、和さんがもし良い人見つけたら戻ってこないかもって、心配してたこともよく分かる光景ではある。

でもなんとなく、和さんがスズ以外に怒る姿はあまり想像できない。


「日向、秀人。」


エレベーターの中に入り、和さんはお腹に顔をうずめてる二人に声をかけた。

それに反応して、二人とも首を振る。


「悪かったよ。」


「・・・でも出て行った。」

「・・・和。いなくなった。」


重い空気が流れる。


「少し時間が欲しいんだよ。」


「・・・出て行かなくてもいいじゃん。」

「・・・僕達何も言わなかったのに。」


日向と秀人の責める声が、エレベーターの中に響く。


「アンジェラ・・・何で連れてきた?どうするつもりだよ。」

「ははっ。ちゃんと数日は放っておいただろう?

スズに助けに来なくていいって言われて、カッとなった頭も少しは冷めたんじゃないかい?」


「・・・何で知ってんだよ。」


そういえば、その話は私がアンジェラさんに伝えたんだった。

その時も、ニヤニヤしてましたもんね。


「そんな何日も、ネチネチと怒りつづけるタイプじゃないだろ?お前は。」

「いや、そりゃあ。多少は落ち着いたけど、はぁ・・・」


エレベーターを降り、一階のフロアに出た。

和さんの両脇には日向と秀人が張り付いたまま歩いている。

来た時とは違う意味で、かなり注目を集めている気がする。


「さて、確かこの先に、ラーメン屋があったね。ごちそうさまー。」

「はいはい。あ。アリスさんもラーメンで大丈夫ですか?僕が奢るので、お金は気にしないでください。」


「すみません。はい!ラーメン好きです。」


和さんの料理ではあまり出てこないから、ラーメンは久しぶりかもしれない。

それに、いつも通り私に気を遣ってくれる声に、少しホッとした。


「カイル。リュースはどうなったんだい?」

「保留中。多分だけど・・・あ、いや後で話す。」


一瞬、和さんが私の方を見た気がした。

なんだろう?


大きな道の一つ隣奥に入り、細い道を進んだ先に、ラーメン屋が見えた。

お昼時間には少し早い時間だから、テーブル席にもすぐに座れた。


「「和。」」


「・・・・まずは二人とも元気そうで良かったよ。」


和さんは両脇から日向達に睨まれ、その正面のアンジェラさんはニヤニヤ眺められている。

エレベーターに乗ってきた時と同じ状況に戻ってしまい、和さんは、逃げ場を探すみたいな顔で私を見た。


私に助けを求められても――


「アリス。忘れないうちに伝えちゃいなさい。」

「ん?あ。そうだ。」


イザベルが、リュックから出てきた。

スズからの伝言を思い出した。

ちょっとだけ忘れてたけど、ちゃんと覚えてたんだよ?


「和さん。」

「はい?」

「スズからの伝言です。」


「・・・はい。」


そんなに身構えるほど、重い内容じゃないと思うけど。


「・・・『馬でもいい、灯でもいい。』だそうです。」


「・・・?」

「馬?」

「灯?」


和さんと一緒に、日向と秀人も「?」を顔に浮かべた。


あれ?

これってもしかして伝わらないかも?


でも和さんはすぐに天井に視線を向けて、考え始めた。


「あんた達は、どれにするんだい?」

「私は醤油ー!」

「僕は味噌!」


「アリスは?」

「私は塩で、イザベルはこの小さいのお願いする?」

「そうね。よろしく。」


「カイル。」

「あー適当に頼む。・・・ちょっと分かった気がする。」

「はいよ。」


アンジェラさんが店員に注文し、和さんの分はどうやら豚骨になったみたい。


「はぁ・・・・・・・あいつらしい・・・のか?」


和さんは、どうやら意味が分かったみたい。

良かった。

このまま分からなかったら、違う意味で困るところだった。


「どういう意味?」

「馬?灯?詩っぽい。」


「あー秀人は、そういう直感力はあるな。」

「詩?何々?秀人どういう意味?」

「えぇ?わかんないよ。何となくそう思っただけだって。」


詩?

どういう意味なんだろう。

和さんは、その答えを口の奥にしまい込んだまま黙っていた。

むしろ意味が分かってからの方が、余計に悩み始めてしまった。


「スズも遠回しに言うのが好きだねぇ。」


「・・・・分かりづら過ぎる。」


「えーアンジェラ分かるの?」

「教えてーどういう意味?」


遠回しな意味。

つまり馬や灯は直接的な意味じゃなくて、何か比喩っぽい感じ?


「どうしようかねぇ。」

「いや何でお前が分かるんだよ。」


「ふはっ!そりゃあ分かるさ。

言葉は遠回しだけど、今までの状況から見たら、スズにしてはシンプルな答えじゃないかい?」

「・・・・。」


「ああでも、若い日向や秀人達には分からないかもしれないね。」

「アンジェラ!」


和さんはアンジェラさんに声を上げたけど、すぐに申し訳なさそうに店内を見渡した。


若いと分からない?

つまりちょっと昔の表現とかなのかな?

昔って言われても、スズの昔ってどのくらい前のこと?


「えぇぇ?馬?灯?」

「和が、馬か灯かってこと?」


「そうだねぇ。どっちなんだろうね。」

「・・・・・。」


日向達と悩んでいる間に、ラーメンが来てしまったので、みんなで食べ始めた。

馬?灯?


馬でもいい。灯でもいい。

つまりどっちでもいいけど、和さんはどっち?ってことなのかな?

でも結局、馬も灯も言葉自体がどういう意味なのか分からない。


「ちゃんと飯食うようには言えよ。ほっといたらあいつ、何食かスキップするぞ。」


ですよね。

和さんの言葉に、反射みたいに同意してしまった。


「それはアリスが頑張ってるよ。」

「は?アリスさん?」


「そうそうアリスが、お昼ご飯はー?とか、夕飯とかも頑張って準備してるし、なんか和みたいだよね。」

「うん。こないだ、『また食べてない!』って怒ってたー。和みたい。」


まぁ和さんがいない間だけですけどね。


「アリスさん・・・すみません。」

「私は少しの間だけですからね。和さんみたいに遅くまで起きたりもできないですし。」


この体はやっぱり子供だから、日付が変わる頃にはどうしても寝落ちしてしまうし。

それにやっぱりこのポジションは、和さんじゃなきゃダメだと思う。


スズの表情はいつも通りだけど、時々そんな私を見ながら、和さんの姿を探している気がする。


「それに、あたいがそんな面倒なことするわけないだろ?心配なら自分で面倒見るんだね。」


「・・・分かった。」

「和!?」

「戻る!?」


「でも今は無理だ。ちょっと頼み事も受けたばかりなんだから、今の仕事が終わってから一度考える。」

「「ええぇぇぇぇ!?」」


ラーメンを食べ終えると、和さんはさっきのビルへ戻って行ってしまった。


・・・戻ってきますよね?

伝言の意味は私には分からないけれど、きっとスズの大事な気持ちだと思う。

それをちゃんと伝えられたのは良かったし、和さんならきっと伝わってる。


ビルの入口へ入っていく和さんの後ろ姿を見送った。


「むー・・・・。」

「うー・・・・。」

「二人も少しは分かっただろう?結局はカイル次第だよ。

あいつも頑固なんだから、周りが急かしたところで本人にその気がなきゃ動かないさ。」


アンジェラさんは二人を引っ張って、帰り道へ進み始めた。


「ねぇアンジェラ。」

「ん?」


「馬とか灯とかの説明は、しなくても良いけど・・・。」

「スズは、和に戻ってきて欲しいって言ってるの?」


たしかに、伝言の意図が分からない。

もし戻ってきて欲しくないって言ってる伝言だったら・・・まぁそんな気はしないけども。


「うーん。難しいねぇ。」

「えぇぇぇ?」

「そんなぁ・・・。」


「でも悪い意味じゃないよ。スズも悩んでんのさ。」


悩んでるよね。

スズとの会話を思い出す。


答えを選ぶのが怖い、か・・・。

選びたい答えが分かっててもその答えを選ぶことで、悪いこともあるのかもしれない。


それがどんなことなのか私には予想もつかない。


一緒に考えたいって私は言ったけど、スズからしたらきっと力不足だろうなぁ。

そうなると、力になれるのはフィフさんとかフィーさん達だけなのかな?


相談所に戻ってからは、メールやスズのスケジュールを確認したりしながら時間を過ごし、夜を迎えた。

スズは夕方に会社から帰ってきてすぐ地下に行ってしまい、しばらく上がって来る様子はなさそう。

先に夕飯やお風呂を終え、ここ数日と同じように三階で勉強しながらスズを待ってみた。

一応「夕飯はー?」ってメッセージを送ったけど、画面は静かなままだった。


「アリス。」

「ん・・・。」


和さんから借りた本を読みながら、意識が何度も水の底へ沈みかける。

ふと足音が聞こえたので顔を上げると、アンジェラさんが階段から降りてきた。


「また待ってるんだね。そろそろ日付も変わるから限界じゃないかい?」

「そうなんですよね・・・もう寝そうで・・・。」

「半分寝てるわよ。」


一応おにぎりとお味噌汁は、温めるだけの状態で用意しておいたけど。


「あんたも無理すんじゃないよ。夕飯の準備できてるんなら寝るよ。いつ帰ってくるか分からないんだから。」


「うー・・・おかえりだけでも・・・。」


できれば言いたい。

それに、ちゃんと和さんに伝言を伝えたことも言いたいし・・・


「はいはい。あんたが倒れたら意味ないだろう。」


アンジェラさんに抱き上げられた記憶を最後に、意識は沈んでいった。

今日も白い夢なのかもしれない・・・

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。